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クローロテースの王宮生活

 クローロテースの容姿は人というよりはエルフに近い顔立ちだけど、耳は尖っていなくて赤毛の美しい容姿と歌声を持った16歳と私よりも年上だったわ。

 だけど人の世界に疎いせいで私と変わらないぐらいに見えるの。




「クローロテースはララに似て好奇心に溢れた子だな」


 王宮に戻って数日経ったある日の食事時にお父様がそんな事を呟いたの。



「ヴォーグ様、お言葉ですがララは好奇心に溢れているのではなくて、後先考えずに突っ走るだけです」


 なにそれ! サーラってば酷い! って言おうとしたら、お父様とお母様、それにブリーズお姉様まで笑うのよ!



 とまぁクローロテースが王宮に来て数日が経ったのだけど、来たばかりの日はそれは大変だったわ。


 まずは人魚ということは内緒にするのは当然として、王宮でもクローロテースの存在も秘密にしたいからって、知っているのは旅行に行った私たちの他にはログェヘプレーベだけで、常にサーラかブリーズお姉様がそばに連れ添う形になっていたわ。

 そんな状況で、食事はナイフとフォークの使い方はもちろん知らないしなんでも触ろうとするし……って、火を触ろうとしたこともあるのよ。


 でも私とブリーズお姉様と一緒に入浴した時はお湯に驚いていたけれど、クローロテースが歌った時は、私もブリーズお姉様も歌うのをやめたほどそれは美しい歌声だったわ。

 サーラが言っていたけど、確かにこんな歌声を聞かされたらつい聞き入って手元も狂っちゃうわね。




 そんな中、やっとサーラの許可が出て王宮の中だけならという条件で自由に行動できるようになったの。



「これは鯨の潮吹き? この下に鯨がいるの?」


「違うよ、これは噴水って言って水圧を利用して水を噴き出させているのよ」


 そして今、私とクローロテース2人で王宮の中庭を散歩中よ。

 私にとってはごく当たり前の景色やオブジェもクローロテースにはどれも真新しいものらしく、とにかく色々と質問されるの。



「外が明るいね」


「当然よ、外だもの。 あ、でも曇る日や雨の日もあるわよ?」


 クローロテースはへぇ〜って嬉しそう。 なので理由を聞いてみると、人魚が住む場所は深海にあるから暗闇を見通せる目を持つ者じゃないとなにも見えないんですって。





「なるほど、ララと2人きりにしたのはこういう理由だったのか」


 モニモニ……



「そういう事だ……で、ヴォーグは何をしているんだ?」


「何って久しぶりにサーラの胸を揉んで堪能しているんだが?」


 サーラの強烈なキックがお父様の脇腹を狙うのだけど……



「フオォォォォォォォォォ! 相変わらず漲るいい蹴りだぜ!」


 なぜかお父様の股間に的中した……というよりもわざと股間で受けたようだわ。



「ヴォーグ……お前も相変わらずだな……」


 ぷるぷるとサーラが震えながら怒りを抑えているようね。


 私たちの様子をお城からお父様とサーラはそんなおふざけをしながら見ていたわ。





「あ、プリンセス……と?」


「アルバロ久しぶりね。 あ、あああ、この子はねクローロテースって言って、今ちょっと御忍びでこの国に来ているプリンセスよ」


 アルバロはここ最近マクシミリアンの命令でフィンと共に冒険者まがいの事をさせられていたみたい。



「そうなんですかぁ……ってプリンセスなんですか!?」


「初めまして、クローロテースです。 プリンセスと言っても姉が6人いる末娘です」


 アルバロったら顔を赤くさせてクローロテースに見入っているわ。

 そしてその後をフラつく身体を必死に耐えながらこちらにフィンが向かってきたわ。



「すっげぇ疲れた……冒険者のスタミナって本当に凄いな……って姫様! すいません、みっともないところをお見せしました」


「大変だったのね。 一体何があったの?」


 クローロテースに全く気がつかないまま、フィンはここ数日の出来事を思い出しながら話しはじめるわ。

 なんでも私を守れなかった罰だっていって、アルバロと一緒に、〜取って来い、〜倒して証を持ってこいって冒険者まがいな事をさせられたそうよ。


 さほど難しい事ではなかったようだけど、期間までしっかり決められていて、アルバロが間に合わせるための段取り通りにやるととんでもない移動量や戦いだったみたい。



「いやぁあれは兵士じゃ絶対味わえない体験でした……ところでそちらの女性は?」


 やっと気がついたフィンにもクローロテースを紹介したのだけれど、当のクローロテースは今の話を聞いて冒険者というのに興味を持ってしまったみたいなの。



「その冒険者というのはどうしたらなれるんですか? 私もやってみたい!」


「駄目よクローロテース、冒険者は15歳にならないと冒険者ギルドに登録できないのよ?」


 とそこまでいったところで、クローロテースが16歳である事を思い出したわ。



「冒険者ギルドっていうところに登録すればいいのね?」


 にっこり笑顔で返してきて、返事に困っているところにアルバロが助け舟を出してくれるの。



「冒険者は遊びじゃないですよ。 危険を冒す者という意味ですし、プリンセスはなにか身を守る術があるんですか?」


「歌と泳ぎなら得意だわ」


 自身満面にクローロテースが答えるのだけど、アルバロ、フィンの2人は、はぁ? と少しだけ呆れた顔を見せていたわ。





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