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食料調達の出来事

 バーベキューの準備を済ませたお父様は、今度は上半身裸になって網籠と銛を手にしだしたの。



「大量に取ってくるから期待して待ってろよ〜」


 そう言い残してお父様は波打つ海に入っていったわ。



「お父様大丈夫かな?」


「……ララ、お父様ならきっとたくさん取ってきてくれるわよ」


 私はお父様の心配をしたんだけどなぁ。


 お母様はブリーズお姉様と何かを話しながら潮風を受けていて、サーラは砂浜にあった大きな岩の上から海を眺めている……というよりは、お父様の潜っていった海面辺りを見ているようだわ。





「おーい、大量に取れたぞ〜!」


 しばらくして海から顔を出したお父様が手を振りながら声をあげてきたわ。

 手を振ってお父様の方を見ると後ろから何かが迫ってきている何かが見えるわ。



「お父様! 後ろ!」


 私が叫んだのと同時に、お父様が海に引きずり込まれるように消えてしまったの。

 話をやめてお父様の方を見ていたお母様とブリーズお姉様も慌てて海辺まで走って、私はすぐにグリフィンに飛び乗ってお父様が消えた辺りに向かったわ。



「お父様! お父様! どこですか!? サーラ、お願いお父様を助けて!!」


 どれだけお父様の名前を叫んでも返事はなく、サーラがいた岩の方へ顔を向けて叫んだけれど、そこにはすでにサーラの姿はなかったの。



「お父様……サーラ……」


 まさかサーラまで……そう思った直後、海面が大きく膨れ上がってきて、慌ててその場から離れて浜辺まで戻ると6メートルはゆうにある大きな魚が水面に浮かんだと思ったら、お父様とサーラも浮かび上がったわ。



「お父様! サーラ!」


「喜べ、大物が取れたぞーー!」


 ……ぇぇええぇぇぇぇえええ!?


 そのままお父様とサーラ2人がかりで浜辺まで引っ張って、だいぶ浅いところまで来るとロープを使ってみんなで引っ張り上げるのだけど、コッソリと火蜥蜴(イフリート)が手伝ってくれたおかげであっさり引き上げ終えたわ。



「いや〜、いきなり後ろから襲いかかりやがったから食われかかったぜ。 サーラ、助かった」


 サーラはびしょ濡れになった侍女服や髪の毛を搾っている手を止めて、お父様に一例だけして濡れた服と髪の毛をとても気にしているみたい。


 改めて浜辺に引っ張り上げた魚におっかなびっくりで触れてみると、ザラザラとした触り心地で口には歯がびっしりとあって、髪の毛がごわごわになったサーラがサメという魚だと教えてくれるのだけど、思わず吹き出しちゃった。



「それでサーラ、コイツは食えるのか?」


「……そこまでは私にもわかりませんが、ヒレが美味しいとか」


 私が笑ったことを気にしているのか、髪の毛を気にしているのか、少しだけぶっきらぼうな返事が返ってきたわ。



「そんじゃあ、とりあえず掻っ捌いて焼いてみるか?」


 お父様がサメのお腹辺りを切り開いていくのだけど、途中で渋い表情を見せてきたわ。



「コイツ……俺に食いつく前に何か食ってるぞ!」


 先ほどより丁寧にお腹を切り開いていくと、サメのお腹から人の手が見えたの。

 小さく悲鳴をあげるとブリーズお姉様が優しく抱きしめて頭を撫でてくれたわ。



 どうも丸呑みされたようで、外傷は見られないからゆっくりと引っ張り出すと、中から出てきたのは赤毛の可愛い顔をした私と同じ年頃の女の子で……でも本来ならあるはずの足はなくて、代わりに魚みたいに尾ひれになっていたの。

 お母様が上半身裸なのに気がついて、着ていた上掛けをかけて脈があるか調べて、お父様に生きてるって言ってホッとしたけど……



「な、何だこいつは!?」


「人魚……」


「サーラ知っているのか?」


 サーラは少しだけって言って、人魚について話し始めたの。

 どれに当てはまるかわからないらしいのだけど、人魚は美しい歌を歌って船乗りが船の舵を取り損ねさせて船を沈めさせるものや、人魚を見ると嵐が来るとか言われていて、普段は海底で人知れず暮らしているそうよ。



「さすが詳しいな」


「いえ、噂を聞いただけで見たのは私も初めてです」


 そんな話をしていると人魚が「……う」って声を上げてからゆっくりと目を開けたの。



「あ、目が覚めたみたいよ」


 そう言った瞬間に人魚が器用に体をくねらせながら逃げ出そうとするのだけど、陸での移動は困難なようで這いながら海を目指して必死に逃げようとしているの。



「大丈夫、私たちはあなたに危害は加えないわ」


 手を広げて何もしない、何も持ってないのをアピールしたんだけど、言葉と意味が通じていないのか、酷く怯えた表情を浮かべながら人魚が私に向かって貝殻を投げつけてきて、それが顔に当たってちょっとだけ血が出たみたい。


 それでも私は何もしない何も持ってないってアピールを続けていると、人魚が何か喋ってきたの。



「う、うわ……ゴメンなさい。 何言ってるか全然わからないよ」


 人魚も私の言葉がわからないようで、首を傾げてからゆっくり這いながら私に近づいてきたから、私もしゃがんで笑顔を見せていると私の顔にそっと手と顔を近づけてきて……ペロッて貝殻が当たったところを舐めてきて驚いたわ。



「きゃっ! え!? なに!なに?」


 ……ぺろぺろ、ちゅちゅちゅっ。


 おでこを舐めてきてびっくりしたんだけど、口を離したときにはもう痛みがなくなっていて、触って確認すると傷がなくなっていたわ。



「治してくれたの?」


 聞いてみてもまた首をかしげられちゃった。



「……ララ、私に任せて」


 後ろから声をかけてきたお母様がゆっくり、人魚が怯えないように近づいてきて私の横に同じようにしゃがむと、お母様が人魚みたいな言葉を話しだしたわ。




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