ブリーズお姉様
いつも読んでくれてありがとうございます。
フィンとアルバロが兎の女獣人たちの行方を寝ずに捜索している間、私はブリーズと3日間を過ごせることになったの。
ブリーズと寝るベッドまで一緒で、いろいろなお話を聞かせてくれたり、目の前で生歌を私の為だけに歌ってくれたり、浴場に入ったりでまるで私にお姉様ができた気分だわ。
「ねぇブリーズって王都暮らしなのよね?」
「ええ、でもあまり在宅していんせんけどね」
コンサート時期以外は各地を転々と巡っているんだって。 それなら帰った時は王宮で過ごしてはどうか尋ねたのだけれど……
「身分が違いんすし、わっちはある事情から歳をとらなくなってしまいんした 。
特定の人以外と知り合いを作ると、歳月を重ねた時に悲しい思いをするのが辛いんでありす」
驚いたことにブリーズは不老だったの。
以前アルナイル先生の勉強で教わったことがあるけれど、不老化するには神様自体になるか、神様の代行者様になる事って聞いた覚えがあるわ。
「じゃあブリーズは神様なの? それとも代行者様なの?」
「わっちはどちらでもありんせん。 ただ……そう、時の狭間から追い出された存在なんでありんす」
悲しそうな顔を向けてブリーズは答えてくるの。
あまり聞かれたくない話だったのかと思って、この話は以後しないと私は心に誓ったわ。
「ならせめてお友達としていてくれる?」
にっこり笑顔を浮かべながら「喜んで」って答えてくれたわ。 だからそれで私は十分。
でもブリーズと過ごした3日間はあっという間に経ってしまって、お別れの日が来てしまうの。
「プリンセス……ララちゃん、そんなに気を落とさないでくんなまし。 たまに遊びに行かせてもらいんすから」
「うん! 約束だからね、ブリーズお姉様」
ブリーズが私の事をララちゃんって言ったから、私もブリーズをお姉様って呼んだら、とても嬉しそうな顔を向けてきて、優しく抱きしめてきてくれたんだ。
それで王宮の門まで一緒に行こうとしたところでお父様が待っていたの。
「その……なんだ。 ブリーズ=アルジャントリー、お前さえよければ王都にいる時はここでララの姉でいてはくれないか?」
「お、お父様!?」
お父様グッジョブ!
ブリーズは? ブリーズお姉様はなんて言ってくれるんだろう。
「ララちゃん、わっちがお姉さんでいいんでありんすか?」
私の返事はブリーズに抱きつくことで答えたわ。
それで捜索から帰ったフィンとアルバロがこの事を知ると、特にフィンが顔を真っ赤にして嬉しそうな顔を見せたわ。
つまり3日後以降の今もブリーズは私のお姉様として王宮にいてくれてることになったの!
そんな数日が経ったある日の夕食の時にお父様がある提案をしてくるわ。
「近いうち家族で旅行でも行かないか? たまにはのんびりするのもいいだろ」
「お父様、本当に!? やったぁ。 ブリーズお姉様、家族旅行だって」
ブリーズが何か言いたげな顔を見せてきたのだけど、すぐに続けるようにお父様が口を開くの。
「もちろんララの姉であるブリーズ=アルジャントリーも来てくれるな?」
お父様がそう言った瞬間、ブリーズの目に薄っすら涙を浮かべて「はい」って答えてくれたわ。
そうと決まれば出かける場所と付いてくるお供なんだけれど、お父様もできるだけ家族だけにしたいって事で、追加でサーラだけついてくることなったの。
「というわけだから、ログェヘプレーベにはいない間頼んだぞ」
「私には休養を与えてくれやがるという考えはないのでやがりますかねぇ」
「言ってくれればいつでも休養を取ってもらって構わないぞ?」
「ふふふっ、冗談でやがりますよ。 私はこれはこれで今の生活を十分楽しんでいやがりますからね」
その日の夜もブリーズお姉様と一緒に浴場に浸かっている時、ふと思い出した事を聞いてみるの。
「ブリーズお姉様、サーラはなんで私たちと入浴しないのかな?」
「それはいずれララちゃんがサーラさんの素性を知った時の為でありんしょうね」
「ふーん?」
サーラの素性ねぇ……いずれわかるのなら気にしなくてもいいのかな?
そのあとはおきまりの2人で一緒に歌を歌って、夜の浴場から歌声が響いたんだ。
「お姫様と歌姫の絶妙なハーモニーだニャア……
コンサートは無駄になったけど、これはこれで役得だニャ」
こっそり私たちの歌声を盗み聞く、猫の女獣人がいる事に私たちは気づかずに歌を歌って楽しんだわ。




