宮廷司祭
いつも読んでくれてありがとうございます。
王宮の中庭に戻った私は何もなかったように火蜥蜴とグリフィンとその日は過ごしたわ。
そしてその日の夕方になって、お父様に呼ばれて昼間に王都へ1人で行った事を叱られちゃった。
「まったくララはどうしてそう落ち着きがないんだ」
「……あなたの血じゃないかしら?」
お母様がすかさず突っ込むと、違いないってお父様が笑ったわ。
そしてお父様の合図でアルバロが姿を見せたのだけど、歩くのすらままならないほど緊張で体をガタガタ震わせているわ。
今から少し前の話。
フィンがアルバロを連れてお父様のところへ行ったの。
「あいつの警護は大変だろう。 いつも悪いなフィン」
「いえ、身にあまるお言葉!」
「それで? 隣にいるのは冒険者か。 一体どうした?」
「陛下、お初にお目にかかります。 僕は【愛と美の神レイチェル】の神官戦士アルバロ=ロドリゲスと言います」
アルバロは今に至るまでの話をして、それをお父様は親身に聞きながらも途中途中で呆れたようにため息をついていたわ。
「つまりあいつはお前に警護につかせると言ったわけか」
そのつもりだったんだけど何か間違った事言ったかしら?
お父様の口調から、悪い冗談か何かだったと勝手に勘違いしたアルバロは、頭を下げて立ち去ろうと立ち上がったの。
「僕の勝手な思い上がりでした。 プリンセスにはフィンとサーラさんがついているんですから僕なんか必要ありませんでしたね」
そう言うと踵を返して謁見の間から立ち去り出したわ。
「いやぁ悪い。 うちの娘の突飛な行動に呆れかえっていただけだ。
アルバロといったか、お前はララの言ったことをやり遂げられるか?」
立ち去ろうとしたアルバロがお父様の言葉で立ち止まったわ。
「今度こそ僕の命に掛けて……」
「よし、決まりだ。 そうだな、ならお前は今日からララの……ララが女王になった時の宮廷司祭になってもらう」
お父様がアルバロを宮廷司祭に決めちゃった。 アルバロはアルバロで引きつった顔を浮かべて、フィンも驚きの顔を隠せないでいたわ。
「冒険者のしかも駆け出しのぼ、ぼぼ、僕が……宮廷司祭ぃぃぃぃ!?」
アルバロがなんとか席に着くのを待ってからお父様が私がいない間のことを話してくれたの。
「よかったねアルバロ!」
「え?」
僕なんかがとでも言いたそうに私の事を見てきたのに、私が喜んでいるのを見て驚いたみたい。
「プリンセスは女王になった時に、僕なんかが宮廷司祭なんかで本当にいいんですか?」
「何か問題でもあるのかしら?」
「ありますよ! だ、だって僕はまだ冒険者の駆け出しなんですよ! それがあとたった3年後には宮廷司祭ですよ!?」
「ふーん」
「……え、それだけ?」
アルバロが呆気にとられた顔を見せているけど、おかしかったかしら?
「……なんならララのお婿さんになってもいいんですよ?」
「ぼ、ぼぼ、僕がプリンセスと……」
おかしな冗談を言いだすお母様もお母様だけど、アルバロも上の空でなんかおかしな想像でもしちゃっているのか、「僕がプリンセスと……」とか言ってる、クスッ。
「まぁもしそうなることが間違ってもあるなら、流石にその時は俺も黙っちゃいないから覚悟はしておけよ」
「そ、そんな事は間違ってもありません!」
「そう祈ってるぜ?」
よくわからないけれど、これが男の友情というものなのかしらね?
ただ今のアルバロの立ち位置は宮廷司祭になるための修行をしながら私の警護をするという形に決まったわ。
この国には温泉は湧かないけれど、お母様の頼みで作られた大きな浴場が王宮にはあるんだ。 私は小さい頃からこの浴場に入っていたせいか、お湯にゆっくり浸かるのが大好きなの。
「火蜥蜴もうちょっとあったかくして〜」
“ララっちは精霊使いが粗いさぁ”
文句を言いながらも火蜥蜴は全身を赤くさせながらお湯の温度を上げてくれる。
「ん〜、気持ちい〜ぃ。 ありがとう火蜥蜴」
“ヘイヘイ”ってむくれた声で火蜥蜴は答えるけど、これはいつものやり取りなのよ?
“ララっちは俺っちを一体……”
誰かが入ってきたから火蜥蜴はそこで話すのをやめて、おとなしく私の頭に乗ってきたわ。
「あ、サーラ?」
「げっ! ララ!?」
「げって何よ、一緒に入る?」
「い、いえ、ララが入っているのなら出直します」
女同士なのに慌ててサーラは出て行っちゃった。 初めてサーラと会った時からずっとそうなんだけど、サーラって人に見られたくない傷とかでも身体にあるのかな?
これでやっと主役級メンバーが全員出揃いました。
現状では主人公のララノア、その付き人兼護衛のサーラ、同じく護衛のフィン、未来の宮廷司祭のアルバロ、火蜥蜴、グリフィンで物語は進んでいく予定です。
……あれ、後1人いたかな。




