独裁者
少し大人向けの話です。
「鏡よ鏡、この世で最も美しい女性は誰だ?」
『……それは、○○という国の○○という名の女性です。』
「……そうか。では、この世で私は何番目に美しいのだ?」
『それは、およそ70億番目です。』
「鏡よ……美しい私の魅力が理解出来ないのか?」
『とても個性的で人工的な目鼻立ちの、医者の考える美しい顔ですが……』
「………む。」
『アナタの年齢とは不釣り合いの造形美顔です。』
「それでも私は美しいのだが、理解できぬか?」
『事前に説明はあるにせよ、経年劣化する前提の常に変化する個人的好みの一瞬をカットして、顔面にペーストするならば、それは結局……』
「もうよいわ。」
『…………。』
「ならば、私にも考えはある。」
『……。』
────1年後
「おい鏡よ鏡 、この世で最も美しいのは誰だ?」
『……それは、□□という国の、□□という男性です。』
「……では、この世で私は何番目に美しいのだ?」
『それは、およそ35億番目です。』
「……そうか。」
『…………。』
────18年後
「鏡よ鏡よ、この世で最も美しいのは誰だ?」
『それは、アナタの娘△△です。』
「……2番目は誰だ?」
『それは、アナタの夫□□です。』
「では3番目は誰だ?」
『それは、アナタの娘の”お腹の子”です。』
「……私は何番目なのだ?」
『それは、四番目です。』
「……この世に男は何人いる?」
『それは、2人です。』
「そうか。」
『…………。』
───20年後
「鏡よ鏡、この世で最も美しいのは誰だ?」
『それは、アナタの孫□△です。』
「2番目は誰だ?」
『それは、アナタです。』
「そうかそうか、ふふ。」
『………?』
「ところで鏡よ、私の声は何歳に聞こえるか?」
『それは、17歳前後かと…』
「孫はロリ派か?熟女派か?」
『………質問の意味が理解できません。』
「孫が可愛い過ぎて、未だに近付けぬのだ。会話もしたことが無い。」
『………では、ここにオリエント製の最高級着ぐるみを用意させます。会話にあわせて口も動きますよ。』
「……これか?……ここから着るのか。……ここに穴が空いているな。……ほう、触感といい良く出来ているではないか。」
「その着ぐるみの上から、服を着るのをお忘れなく。」
「では、亀甲緊縛して口説いてくる。」
『………。』
───2時間後
「………。」
『……どうかしましたか?』
「孫の奴め、私をケダモノ扱いしたのだ。許さぬ……」
『………?』
「しかも自ら“百獣の王”と名乗り、辺りの動物達を次々と妾にしているらしいのだが……」
『…………。』
「何故、孫の子供が次々と産まれてくるのだ?アイツの遺伝子は化け物か?」
『化け物です。』
「………。」
『………。』
───数年後
「なあ、鏡。」
『アナタは孫の……』
「ああ、ところで聞きたいのだが?」
『何でしょうか。』
「つい、目の前の宇宙人に手を出してしまったのだが、最近になって認知してくれとシツコイ。どうしたら良い?」
『先に意見しておきますが、地球人と宇宙人の全面戦争は避けるべきです。』
「……そうなの?」
『そうです。』




