再びの森とエルフと
悪魔の目についてわかったことがある。
この目はMPを使って、能力を発揮していることだ。
俺のMPは100/0だったが、悪魔の目を使いながらだとこんなステータスになる。
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Name ラヴェイ
Level 23
職業 無職
HP 32/162
MP 50/0
種族 異世界人
装備 チュートリアルの剣
スキル
剣術 2.3
魔法 1.0
【コレクト】
空魔法 1.0
【エアハンマー】
ボーナス2.3
特殊スキル
悪魔の目
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ちなみになんで俺のMPが0分のかと言うとこれも悪魔のせい、らしい。
悪魔のおかげとも言えるが、俺は100のMPの枠内であれば無制限に魔法を行使できる。
普通の人が悪魔の目を使おうとすると、毎秒50づつ消費していくため、2秒も使うことができないらしい。
俺のMPは本来のMPとは全くの別物だと考えたほうが賢明だろう。
目の力だが、透視、遠視、未来視、過去視、拡大視など多くのことができる。
しかし、その力はMPをより多く消費する。
透視しようと思えば木一本なら問題ない、でも森の向こうまで見ようと思うと力が足りない。そのせいで遠くまで見ることができない。
簡単に川をみつけることができたのは運の要素が強かった。
透視しながら、遠視では、範囲が狭い。
未来視も過去視も1秒程度。戦闘で使えば無双できそうな気もするが、すぐに目が霞みだす。
目にたいして脳みそが足りてない。使うにしても瞬間的に使うことになるのだろうが、そんに簡単にオン・オフが出来るわけではない。
俺は眠い目をこするながら、他のところよりもすこし高い丘に向かっている。
他の木よりも目線が高くないと遠くまで見れないのだ。下手に目を使ったせいで頭痛がする。
どこか安全そうなところを見つけて早く眠りたい。
その一心で足を動かす。
「おい、悪魔」
『呼んだか?』
「この近くに他の街はあるんだろうな?」
『知らん』
「はあ、なんで知らないんだ」
『街の近くに召喚しただけで、ここらの土地に明るいわけではないのじゃ』
歩きでたどり着ける場所に街があればいいが……
ようやく、小高い丘に着いた。さらに木に登る。
異世界に来てから木に登るのはこれで、はや2回目だ。
目に魔力を足す。
辺りを一通り見渡すが、街があった方向以外には森しか広がっていない。
獣はかなり見るけることができた。でも人もモンスターも街もない。
これは、かなり面倒なことになりそうだ。
――ってか、街に行ってもいいんじゃないか。顔が割れている訳じゃない、血も洗ったし悪魔の使いだとバレる要素はほぼないんじゃないか…
周囲を見るのではなく、一方方向のみを見るようにするればさらに遠くを見ることが出来るかも知れない。
魔力を操作することができればいいのだろうが、オンとオフしかできていない。
遠視、遠視、えんし……
片目だけに全力で魔力を流せば、両目づつでは50、片目なら100の魔力を使える。
片目なら倍の距離が見えるかも……
片目だけに魔力を加える。よし、森の端。その先まで見える。
距離感はだいたいしか分からないが、方向はわかる。
街も見つけた、でも遠い。
寝る場所を見つけないと、どうしようもない。
「兄さん、なにやってるの?」
――え、なぜそこに人が、俺の目はふしあな……
「森にいることを咎めるつもりはないけど、人間の間では木登りでも流行ってるの?」
黄金色に輝く、髪。先が尖った、耳。緑色の目。
エルフ。
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Name エラ=ワルワラ
Level 21
職業 狩人
HP 117/117
MP 159/159
種族 エルフ
スキル
弓術 2.8
ショートボウ 3.1
長弓 4.6
遠視 1.8
特殊スキル
弓の専心
魔力0 知力2.1 筋力1.3 技力4.5 俊敏3.6 意志0 素質6.1
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森の種族、その美しさに目を奪われる。
「はじめまして、高いところからでごめんね」
そんなに気になるのか?木の真下、そこに居られては降りれないんだが、
「気にしないよ。で、なぜに木登り?」
「あ、いや。バカだからかな……降りたいからそこをどいてもらえる?」
「ああ、すまなかったな」
下に降りる。あれ、パーソナルなあれが足りない。
もう少し退いて欲しかった。目の前に立つと彼女と同じぐらいの背なことがわかる。
――目と鼻の先、近い、近い……
『うむ、タイミングじゃな』
体が勝手に倒れる……
え
口に柔らかいものが当たっ「――なに、さらすんじゃワレー!!」
言うのが先か拳が先か、飛んで来る。
『避けてはだめじゃぞ』
――な、なんd
重い一発をくらって、体が浮く。
あ、だめなやつだ。