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ホントのチュートリアル!!?

城壁の外をしばらく走る。

辺りは闇に包まれていき、現代っ子が夜は暗いことを理解していなかったことがよく分かる。

漆黒なんて表現される理由がよく分かる、常に目の前は闇に埋もれている。

それでも、俺の目は経験したことがない明度、鮮明さをもって周りの情景を脳に伝えている。


後ろから、光を感じる。

城壁の上にいる、兵たちが慌ただしく動いている、怒号があちこちから上がり統率が取れていないようだ。

それもそうか、走ってくるモンスターは闇の中を灯りもなく走っているのだ、兵たちは音しか聞こえなだろう。距離も規模もおおよそしかわからない状態で戦闘なんてできるのだろうか。


もう100メートル弱しか距離でモンスターと接触する。

無数の足音と聞いたこともない獣らしき声。

恐怖に身がすくむかと思ったが見えているからかそんあことはない、冷静に剣を構え前を見つめられている。


『きたぞ、きたぞ!さあ皆殺しじゃ』

俺の悪魔様は随分と楽しそうだ。

『戦いほど楽しいものはないだろうが、ぬしの力をここで奴らに見せてやるのじゃ』


あと5秒で戦闘と接触する。

「俺はどうしたらいい?」

『決まっておるのじゃ、前をよく見て切ればいい。切って切って切れまくるのじゃ』


一呼吸で剣を振るえる距離まで来たことが俺の感覚が伝える。


一気に詰め寄ると獣の、野生のニオイが鼻をつく。

姿形はまさに醜い二足歩行をする豚だ、それが()をつかって数えると1千と40。

まさに悪魔の軍隊。


剣が肉にのめり込む。


グシュというという音と共にモンスターが崩れ落ちる。

そのまま、走り去ろうとする横のヤツを土手っ腹に剣を突き刺す。


本来は硬いであろう革も肉も目が何処を切ればいいか教えてくれる。


敵も俺が脅威であることを認めたようだ。辺りに集まり、一斉に襲いかかるタイミングを図っている。

『よく、見るんじゃ。見ればわかる』


一匹が動きだした、それに倣って周りのやつも動き出す。


はじめに動いたやつを突き刺す。

勢いが削がれたのか、それとも驚いたのか、横の獣がやられたヤツに目線が動く。


それを逃さず、また切る。

すかさず、空いたところから囲いから飛び出し、こちらを意識していなかった敵を倒す。


――やれる、簡単だ。敵は俺の速度に着いてこれていない。

『まだまだじゃ、もっとじゃ、もっと行ける』


右へ左に、

簡単だ。敵の体も、考えていることも、行動も全てが見える。


悪魔が言ったように、切って切って切りまくった。

敵は攻撃することもできない、武器を振りかぶったヤツから死んでいるからだ。


途中から俺も戦いが面白くて仕方がなかった。

思ったように体が動き、思ったように世界を駆け巡る。


俺が最強だ。


気づいた時にはもう片手で数えれるほどしか残っていない。


『よくやったのぬしよ、合格じゃ』

――そういえば、お前には色々言いたいことがあったのを忘れていた。で、いつになったら俺の名前を呼んでくれるんだ?

『ら、ラヴェイ。ぬしを選んでよかった』


朝日が昇り、俺の体を包む。

もう、俺以外にだれもこの場に立っていない。



ツンデレ悪魔ってのも悪くないかもしれない。

そんなことを思いながら、獣が肉になった惨状を眺めていた。

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