街についた
街だ。
壁に囲まれて中は見えないが門には多くの人が行き交っている。
近づけば活気がある声が聞こえる。
「初めての方はこちらからお願いします」
俺のことだ、あそこに並べばいいのか。
並んですぐに俺の番が来た。
「身分が証明できない奴は1銀貨、できる奴は半銀貨だ」
「証明できないので銀貨1枚でお願いします」
すぐに袋から銀貨を取り出す。
「確かに。これが許可書だ。そいつを持って3日以内に身分証をギルドで発行するように、出来なければ3日後また発行手続きをしにこい」
ギルドのことやらを聞こうとしたが後ろのやつに押されてそのまま人の波に流されてしまう。
門を抜けてすぐは家やらはないがしばらく行くと西洋風の町並みが見えた。
王道RPG風の家々と見たことがない服。
ここが地球のはずもない。
「とりあえず、ギルドに行って身分と情報を集めるか」
道端の露店でりんごのようなものを売っている婆さんに話しかける。
「一つおいくら?」
「3つで10銅貨だよ」
「9枚だそれ以上は払えない、銀貨でいいかな」
そういって銀貨を差し出す
「しょうがない客だね、旅人かい?」
旅人まあ、そんな感じだろう。
「そんなとこだよ、ところでギルドへはどうやって行けばいいのかな?」
「この道の突き当りの大きな建物がそうだよ」
そう言って、りんごと銅貨の束を渡してくれた。
銅貨は数えて見たところ大き目な銅貨が9枚小さいやつが1枚。
大きいのが大銅貨ってやつだろうか。
銅貨10枚で大銅貨、大銅貨10枚で銀貨1枚ってことか。
果物の価値はわからないが銀貨は普通に流通しているみたいだし、金貨はもっと価値があることを思えば当面はお金はどうにかなりそうだ。
りんごのようなものは思ったより酸味が強い。
まあこれはこれで美味しいかもしれないと思えたのは空腹のおかげだろうか。
一気に3つとも食べてしまった。
りんごが無くなるころにひときわ大きな建物が見えてきた。
その横には教会のような建物がある。
重要な施設が集まっているようだ。
なぜか体はギルドではなく教会に吸い寄せられるように動いてしまう。
この感覚はチュートリアルの時と似ている。
中に入いるとすぐにあの悪魔の声がした。
『遅すぎやしないかや?』
教会に悪魔がいてもいいのか。
「教会は神々との世界を繋いぐ場所だからの、わしがつかっても問題はなかろう」
そういうものなのか。
『あの袋に入っていた箱をここであけるのじゃ』
俺に拒否権はなさそうだし早いとこ開けてしまうか。
箱はただの木箱でしかない。
開けてみたが中身はなにもない。
これでいいのか?
『よい、ぐっじょぶってやつじゃな。もうここには用はない早いとこギルドに行って身分証を作らねば日が落ちる頃には閉まってしまうぞ』
窓を見ると空は赤みがかっている。
はやくしないと。
で、あの箱はなんだったんだ?
『わしと世界をつなぐためのものじゃ、あれでおぬしといつでも会話ができるようになった。というわけじゃ』
よくわからないが神々の世界がどうとかってことだろう。
たぶんそうだ。
早く身分証をつくって、今日の宿を決めないと。
ギルドの中は市役所といった感じで荒れ者がたむろするテンプレのようではない
新人に絡むようなイベントは発生しないだろう。
「すいません、身分証明書を作りたいのですが」
「わかりました、ではこちらに必要事項をご記入ください」
眼鏡が似合う受付嬢が渡した紙には多くの情報を書くわけではないが俺には解答に窮するものばかりだ。
文字は初めてみるようなものだが不思議と読めた 。
これが悪魔の目の力なのかも知れない 。
『わしにまかせておけ』
勝手に俺の右手が動き出す。
出身地は不明
名前はラヴェイ
年は17
所属希望には冒険者
「はい、大丈夫です。あとはあなたの魔法紋を登録しますので握手を」
俺の意思と関係なく右手が動き握手をする。
「ではしばらくそこでかけておまちください」
『ぬしよ、おなごの手ぐらいで動揺しなさるな』
そうはいっても俺はDTだし、たぶん。
ってか俺の体を勝手に操るのはやめてほしい、あまり気持ちがいいものじゃないからな。
『こころえておる。今回はしょうがなかったのじゃ。おぬしも助かったじゃろ』
まあそうだけど。あの名前はなんなんだラヴェイだったか。
『おぬしの仮の名前じゃ、日本名ではちと浮くからの授けてやった』
うまくいくならそれでもいいけど、ラヴェイって名前にしたのなら「ぬし」ではなくラヴェイと呼んで欲しい、じゃないよいつまでたっても俺の名前だと認識できない。
『……これは失礼じゃったなラヴェイよ』
なぜすこし間があったのか照れてたのか。
「できましたよ」
受付の人に呼ばれていくとドックタグのようなものを渡された。
「肌身離さず持っていてください、冒険者ギルドには明日また行って登録してきてください、ほかに何かありますか?」
「えっと、今夜の宿が知りたいんですけど」
「ここは観光案内所じゃないんですけど、、、大通りの近くは高いので西側、太陽が沈む方向にすこし行った、「そら亭」がおすすめですよ」
「丁寧にありがとうございます」
いい人だ。
それじゃあ、早いとこ宿に向かいますか。