悪魔様との出会い
とても心地いい。
このまま眠り続けることができたならどれだけ幸せか。
目の前がいきなり真っ白を通り越して赤く染まった。
太陽なんてめじゃないほどの光に叩き起こされた。
目を閉じているのに眩しいと思ったのは産まれてはじめてだ。
だれだこんな気持ちよく寝ていたのに起こす人は・・・
「ぬしよ、起きるのだ」
ゆっくり目を開ける。
前には生意気そうな少女が満面の笑みで立っていた。
目はツリ目で気が強そうな印象を受ける。
ゴスロリなんかが似合いそうな美少女ってやつだろうか。
「わしの名は開かせぬ、今は悪魔様と呼ぶがいい」
ごっこ遊びにつきあっていられるほど俺は暇じゃないんだ、もう少し寝かせてくれ。
俺はもう一度この心地よき欲求に従いたい。
「わしの、わしの話を聞け!!!」
あー、うるさいこれじゃ寝れないじゃないか。
手を耳に当てる。
「おい、なんで耳に手を当てておるのじゃ、聞かぬか」
うん少し雑音が聞こえるが寝れないことはなさそうだ。
「頼むのじゃ、聞いてくれ、、、なんで、なんでみんなわしのわしのおお」
片目を開けてみる。
肩をぷるぷると震わせながら目に涙を堪えている。
これ以上無視すると今にも声を上げて泣きそうだ。
面倒だが泣かれてもしょうがない。
「で、ここはどこなんだ」
言ってから気付いたが場所どころか自分の名前すらわからない。
「フンだ、わしのことを無視するようやつなんて知るもんか。プイッ」
フンもプイもほんとに言う奴をはじめてみた。
「悪かったよ、俺も突然のことに驚いて頭が働いてなかっただけなんだ、悪気はなかったんだ」
両手を合わせてチラッと相手を見ると機嫌を直した悪魔の姿があった。
ちょろいと言うかなんと言うか・・・
「うむ、おぬしの誠意は受け取った、寛大なわしは許してやろうではないか。ここがどこだという話だったな、ここはわしがおぬしとの対話のために作り出した空間、ルームと呼ばれるプライベート空間じゃ」
満足げに腕を組みなんども頭を降っている、こいつはアホなんだろうか。
「で、なんで俺はここにいるんだ?」
「わしが召喚したからじゃ」
「なぜ?」
「暇だからじゃ」
ん?
「なんで俺なんだ」
「気分じゃ」
ん?
「俺お前の暇つぶしのためにここにいるってことか」
「そうじゃ」
ん?
意味がわからん。
OKそういうことかこいつはアホだ。
なぞは解けた。
「俺はで、なにをすればいいんだ。お前とこうやって話していればいいのか」
「よくぞ聞いてくれたお前にはこれからわしの代わりにお主にとっての異世界に行き波乱万丈の人生を歩んできてもらう」
ニンマリとした笑顔を浮かべたその顔に、俺は本能的な恐怖を感じた。
「おぬしに選択権はないと思え、断れば消滅あるのみぞ」
説明不足もいいとこだが、俺は彼女、悪魔の笑顔に呑まれてしまい、うまく思考することができない。
これは悪魔の取引というやつなんだろう。
「よいな」
築いたら俺の首は縦に振られていた。
自分の体が自分のものでないようだ。
「ではたのんだぞ、チュートリアルを用意しといた。街についたらまた話そうぞ。またその時まで」
足元に魔法陣が現れた。
「心配しんでもよい、すぐにまた会えるのじゃ」
悪魔の笑顔は女神のそれだった。