【42】9月16日+①
あれから――私が2学期初日、“友達宣言”をした日から2週間経った。
私の手には、昨日実施された実力テストの答案用紙と順位表。
夏休み後には、2学期に向けての自己分析と対策の為、実力テストを行っている。
お昼休み。
「さすがね、千星さん」
敢て、確認しなくても分かる。
――つかさだ。
私が眺めている“英語の結果”と“順位表”を見て感嘆の声を上げている。
「1位って、本当に凄いわ」
「まぁ、それなりに頑張ったから」
「でも、残念ね。そんな小さなミス…」
「……まぁね」
確かに小さなミス。英単語のスペルミスなんて。
「す、凄~~い!!千星ちゃん、凄過ぎ~~!!」
「五十鈴っ?!」
ひょこっと脇から顔を覗かせ、瞳をキラキラさせている五十鈴。
「千星ちゃん、どうしたらそんな点数取れるの?」
「それは――」
「わたし、どんなに頑張っても中の中ぐらいだよ~」
「五十鈴――」
「せめて、中の上ぐらいになりたいよね~」
「……何か、用があって来たんじゃ…」
ここで、五十鈴とやっと目が合う。
「ん?えーっと、あ!そうそう!!」
両手をポンっと合わせて、何か思い出したようだ。
「透もね、1位なんだよ」
「は?」
「千星ちゃんと、同じ点数!!」
「な?」
有り得ないって、そんな事ーー!!
わなわなと震えてくる身体。眉間と拳に力を入ってくる。
「あら、嫌だわ。千星さんと白澤くん、同じ箇所、間違えてるわよ」
「うっ!!!!」
何を、馬鹿な!!!!
そんな偶然、無い!無い!絶対、無ーーーいっ!!!!
五十鈴が持ってきたんだろう、つかさと二人で白澤の答案用紙を見て、“あ、ホントだ”とか“こんな所まで同じ”とか言って、ほのぼのと和んでいる。
そんな二人の様子と間近で見てると、不思議と強張っていた全身の力がプシューっと抜けて行くのを感じる。
「………千星さん?」
「……千星ちゃん?」
「なに?」
「どうかして?」
「どうしたの?」
「なにが?」
「いつのも千星さんなら、“うおぉ~!!”と叫んで隣のクラスに殴り込むじゃない」
「いつもの千星ちゃんなら“白澤~~!!”って叫んで透の事ポコポコするじゃない」
「………」
二人とも、そういう目で私の事を見ていたのね。
まぁ、そう言われたら、そうだけどさ。
「最近、静かね。千星さん、どうかなさって?」
「元気無いけど、どこか悪いの?心配だよ~!」
「………」
私って…。
常にテンション高くないとダメなの?




