表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/84

【11】6月25日+千星

初めて、五十鈴に会ったのは中学の入学式。


あの笑顔を見た瞬間、心を鷲掴みにされてしまった。


女の子相手に“心を鷲掴みにされた”なんて表現はおかしかもしれないけど…。


これ以外に、適切な言葉が見つからないのだから仕方が無い。


確かに、あの時、私は五十鈴しか見えてなかった。












五十鈴は、私が欲しくて、なのに手に入らないものを全て手にしてるような少女だった。


暖かな家庭と家族。


愛されているという満足感、守られているという安心感。


誰にも優しく、誰からも優しくされていて…。


羨ましいとか、妬ましいとか――。


それ以上に、一緒に居るだけでそんな感情が浄化していくから不思議。












入学早々、中学の制服のスカートが慣れなくて――。



「足がスースーして、落ち着かない」



と、言ったら



「わたしもそうだよ」



と、五十鈴が言う。



「でも、千星ちゃんはモデルみたいに背が高いから、何でも似合うよ~!わたしも千星ちゃんみたいに大きくなりた~~い!!」

「何、言ってるのよ!男の子に間違われるわよ!!」



そう言うと、きょとんとした顔を見せる五十鈴。



「ヤだ~~、千星ちゃん!間違えたりなんてしないよ!だって、千星ちゃんは千星ちゃんだもん!!」



と、五十鈴は無邪気に笑う。


その笑顔は――まるで、クリスタル。


五十鈴の中では、私は――男とか女とか性別なんて関係無く“千星ちゃん”は“千星ちゃん”として認識してるようで。


他の誰でもない、私はありのままの私であっていいのだと、思う事にした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ