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【10】6月25日+つかさ

今日の3時限目は化学。


実験室で、という事で教室を移動中の短い休み時間。


私の隣を歩くのは、私の大切な親友の千星さん。


その千星さんが「あ…」と何かに気が付いたのか、小さな声を出して歩みを止める。


千星さんの視線の先には――。



「あら、あんな所に五十鈴さんと――姫野くん」



廊下の隅で二人が楽しそうに笑い合っている姿が見えた。


すっかり仲良くなった二人は、時々一緒に居る所を見かけることが多くなった。


千星さんが、そんな二人を見つめている。



「千星さん、気になるなら私たちも行きましょうよ」

「…い、行かないから!」



と、言って千星さんは先を急ぐ。


私は背の高い彼女の後ろを小走りに追いかける。



「あの二人って、似てると思わなくて?」

「…似てる?どこが?」



前だけを見て答えてくる、千星さん。



「どこがって…、笑顔かしら」



可愛くて、無邪気で、幸せそうな笑顔は本当に似ていると思う。



「“類は友を呼ぶ”って言うでしょう」

「“類は”って…」

「それに波長が合うんだわ、あの二人って」

「波長?」

「えぇ」

「は、波長なんて、私には見えないからっ!!」



うふ…。


おかしな事を言うのね、千星さんも。


“波長”なんて見える人が居たら、お目に掛かりたいぐらいだわ。


二人は、似てる。


笑顔が、雰囲気が似ている。


愛されているという安心感から生み出される、あの笑顔。


千星さんは、気付かないの?


それとも、気付かない振り?


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