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スタート∽ライン―天上天下唯我独尊―  作者: 宛 幸
天花咲唯の天上天下唯我独尊説
1/1

line1 明記されし事実

これは転校先で出会った少女、天花咲唯(てんげさきゆい)が僕、相場利幸(そうばとしゆき)を(勝手に)下僕にして平凡と平和な生活を壊して行く、無理難題な活動記録である。



僕は目の前に広がる、蛍光灯と白い天井を仰ぎ見ながら思う。

「……どうしてこうなった」

と。

僕が今いるのは学校の保健室のベッドの上。

なぜ僕はここにいるのか、ここ小一時間前後の記憶があやふやで理解していない。

「あ、起きた?」

首を横に向かせると、そこには見知った女の子がいた。

てか、こうなった原因の張本人だった。

「……起きたじゃないよ。天花咲さん」

彼女の名前は天花咲唯。自分が世界の中心にいると思って疑わないゴーイングマイウェイな女の子だ。

「にはは。人のせいにするなんて、下僕のくせに生意気だね」

笑って誤魔化す天花咲さん。

ちなみに下僕とは僕のことだ。それも、彼女勝手に公言してるだけだけど。

「それでなんでこうなったんだっけ?天花咲さん」

「なんでだっけね。忘れちゃった。にはは」

この人は知っていてすっとぼけるんだから。

段々と頭がクリアになり記憶が鮮明される。

こと細かではないけれど、こうなった理由が思い出しつつあった。

「……てか、爆発物の実験とか、止めてよね。危ないから」

「え~。別にいいじゃん。別に迷惑かけるわけでもなし」

かけるよ?めっちゃかけるよ?むしろかけてない方がありえないよ?

「それに、楽しければなんでもいいじゃん」

うわ、ぶっちゃけたよこの人。まるで悪魔のようだ。

理科の授業。その時に試験管に火薬入りの癇癪玉を『実験だよ、実験~』とか言って楽しそうに入れた天花咲さん。

その時入っていたのは化合された科学物質。それに反応して物の見事に癇癪玉は爆発し、試験管ごと破裂した。

そして近くにいた僕は被害に合い、気を失ったという分けで……。

「……僕、めっさ被害者じゃん」

理解はしたが、納得がいかない。

「にはは。それは不幸だったねぇ」

あんたが他人ごとのように言うなや。

「んじゃ、あたし、教室戻るわ。我が下僕よ、さっさと体調をよくし、あたしの前で跪け」

そんな自分勝手なことを言い残し、返す言葉を与える暇なく出て行く。

…………。

「……現実は非情なり」

そんな言葉を吐いた僕は、異様に虚しさを感じていた。

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