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『破産寸前の迷宮ギルドから始める国家経営改革 ~元コンサルタント、情報の非対称性と監査ロジックで異世界をハックする~』  作者: チョコ大福


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第6話:マイクロファイナンスの設計図 ——悪徳高利貸しバートンを討つ小口融資

お読みいただきありがとうございます!『破産寸前の迷宮ギルドから始める国家経営改革』第6話をお届けします。

前回の金融の闇と信用情報の欠如の調査編を経て、今回は支部内に画期的な「小口融資窓口マイクロファイナンス」を設立し、悪徳高利貸しバートンの血も涙もない搾取システムをロジックと圧倒的な低金利で木端微塵に粉砕する爽快感抜群のエピソードです。知略による金融のハックを描写しました。ぜひお楽しみください!

アージェント商業ギルド・辺境支部のロビーの一角が、数日間の非公開な準備を経て、新たな専用カウンターとして一般に開放された。

掲げられた真新しい真鍮のプレートには、こう記されている。

『商業ギルド付属・信用金融窓口マイクロファイナンス

これまで、銀行や正規の金融機関から融資を拒絶され、過去の小さなつまずきや担保の欠如(信用情報の不在)を理由に、闇の金融業者へ頼らざるを得なかった下位冒険者や零細の武器職人たちを救済するための、画期的な直営融資施設である。

「レオン様、小口融資窓口の開設、および王都の正規商業銀行と提携した適正金利による資金調達の準備がすべて完了しました。……ですが、本当によろしいのですか? 担保を一切取らず、個人の将来的な生産性と返済計画のロジックだけで無担保融資を行うなんて、これまでの常識では全く考えられません」

事務方リーダーのソフィアは、真新しい融資台帳を手元に置きながら、緊張の色を隠せない様子でレオンに尋ねた。

レオンは冷徹なまでの落ち着きを払ったトーンで、銀縁のメガネの位置を直しながら答えた。

「当然です。バートンたち悪徳高利貸しがこれまで暴利を貪れたのは、正規の金融システムが弱者に対する『信用情報クレジットヒストリー』の構築を怠り、彼らを切り捨ててきたからです。人間は、適正な金利と現実的な返済計画、そして『真面目に働けば報われるインセンティブ』さえ与えれば、必ず借りた金を返す。これを近代経済学では『マイクロファイナンスによる金融包摂フィナンシャル・インクルージョン』と呼びます」

迎えた窓口の運用初日。

噂を聞きつけた多くの零細職人や、装備を新調したい下位の冒険者たちが、半信半疑の面持ちで新しいカウンターの前に長蛇の列を作った。

しかし、彼らの表情にはかつての絶望の色はなく、微かな希望と緊張の色が混じり合っていた。

「おい、本当にここじゃ担保なしで、しかも月に数パーセントというまともな利息でお金を借りられるのか……? いつもなら、バートンみたいな裏の貸し屋に法外な日歩をむしり取られ、一生借金地獄から抜け出せなかったんだが……」

「どうぞお掛けください。当窓口ではすべての契約条件、金利の計算方法、および返済スケジュールを完全に透明化しており、不当な利息や隠し手数料は一切ありません」

ソフィアが温かく微笑みながら案内すると、恐る恐る融資を受けた職人たちは、その圧倒的なホワイトさと誠実な対応に目を見張った。

「うそだろ……これで新しい高炉の部品が買える! これまでの闇金に比べたら、利息なんてないも同然じゃないか……!」

「これで最高の素材と道具を揃えて、次の迷宮の任務で確実に成果を上げられるぞ……! よかった、もうあんな悪質な裏社会の奴隷にならずにすむんだ!」

窓口の周辺には、これまで金融の闇の底で人生をすり潰されていた労働者たちの歓声と、未来への希望に満ちた笑顔が広がっていった。

その頃――交易街の裏通りにそびえる薄汚れた賭博場の奥では、悪徳高利貸しの元締めであるバートンが、手元の報告書を握りつぶしながら激昂していた。

「なっ……なんだと……!? あの新しい副マスターのガキが、ギルドの中に小口融資の窓口を作っただと……!? しかも、うちの十分の一以下の低金利で、担保なしで金を貸し出しているだと……ふざけやがって……!」

バートンの巨大利権は、労働者たちが「正規の銀行から借りられない」という絶望的な状況と、無知につけ込んだ法外な金利の二つによって成り立っていた。それが根底から覆されれば、彼の組織に群がる借金奴隷たちは一瞬で消え去る。

「ふざけた真似をしやがって……! あのガキに、俺たちの裏の金融網を荒らすとどうなるか、地獄を見せてやる!!」

血相を変えたバートンは、屈強な取立て屋の男たちを引き連れ、怒号を上げながら商業ギルドのロビーへと直接怒鳴り込んできた。

「おい! 営業妨害だぞ、このペテン師め!! 勝手に安い利息で金をばら撒いて、この街の金融のルールを引っ掻き回す気か! 貴様のやっていることは違法な貸金業の無許可営業だ!!」

ロビーに響き渡るバートンの威圧的な怒声に、冒険者たちが険しい顔で振り返る。しかし、当のレオンは微動だにせず、冷徹な眼鏡の奥からバートンを冷ややかに見下ろしていた。

「――無許可営業、ですか」

レオンは静かに歩み寄り、ポケットから一枚の厳重な公文書を取り出した。

「王国法および商業ギルド金融規約において、法外な日歩・月歩による超高金利の徴収、および相手の困窮につけ込んだ不当な奴隷契約は、すべて厳罰に処される重大な刑事違反です。すでにあなたの過去のすべての不正融資記録、違法な取り立ての証拠、および被害者たちの証言は、王都の金融監査局と司法長官に正式に提出済みだ」

「なっ……! ば、馬鹿な……そんなはずは……!」

「あなたがこれまで行ってきた行為は、自由な金融活動にあらず、単なる『悪質な出資法違反および暴利行為』に相当する。……おや、ここでその場で身柄を王都の監査官に引き渡しましょうか? それとも、その汚い看板を下ろして、今すぐこの街から一切の権利を放棄して二度と姿を現さないか?」

レオンの圧倒的な論理の圧力と、逃げ場のない公的証拠の重圧の前に、バートンは冷や汗をダラダラと流し、その場にへたり込んだ。もはや怒鳴り散らしていた威勢の欠片もない。

「お、覚えてろよ……!」

バートンは歯噛みしながら、這うようにして部下たちと逃げ出していった。

静けさを取り戻したギルドには、再び労働者たちの穏やかな日常と活気が戻ってきた。

吹き抜けの回廊からその様子を見下ろしながら、ソフィアは深く息を吐き、感嘆の声を漏らした。

「レオン様……街の闇金融の元締めを完全に追い出し、金融の血流を労働者たちの手に取り戻してしまいましたね。冒険者や職人たちの生活も、これでようやく完全に自立できます」

レオンは冷徹な瞳を緩めず、窓の向こうに広がる交易街のさらに遠くを見据えた。

「医療や金融の適正化は、まだ国家経営改革のプロセスにおけるほんの序章に過ぎません。私たちが街の経済システムを正しく機能させるほど――この国の富と権益を独占してきた『大商会』や『旧来の特権貴族たち』は、いよいよ私たちの存在を国家全体の脅威として認めることになる」

レオンの知略が切り拓く改革の歯車は、交易街の枠を超え、王国全体を揺るがす巨大な権力闘争へと、次なる牙を剥こうとしていたのだった。

最後までお読みいただきありがとうございます!

第6話では、支部内に設立した「小口融資窓口マイクロファイナンス」の圧倒的な低金利と金融包摂によって、悪徳高利貸しバートンの搾取システムを粉砕し、経済の血流を労働者たちの手に取り戻すエピソードをボリュームたっぷりで描写しました。

理不尽な金融の闇をロジックでハックするスカッとしたカタルシスを楽しんでいただけたなら幸いです。

次回、いよいよ街の経済を裏で支配する巨大な「大商会」との本格的な知略戦へと突入します!今後の展開もぜひお楽しみに、ブックマークや評価、いいねをよろしくお願いいたします!

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