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第七話 神よりの使者

近いうちに更新しますと宣言しつつ、正月休みを挟んでしまったためちょっと時間かかっちゃいました、、、


悪魔マルバスに追い詰められたセシルと麻生。

絶体絶命のところから、続きをどうぞ!


 教師に扮し学院に紛れ込んでいた悪魔、マルバスの攻撃により重傷を負ったセシルと麻生。他の生徒も皆、咆哮による衝撃波で気絶している。もはや、悪魔になぶり殺しに遭うだけの運命となった生徒たち。


 外であれだけの大きな咆哮が聞こえたのだ。他の教師たちも当然ながら、すでに異変に気付いていた。しかし、学舎の窓から見下ろすだけで誰一人として助けに行こうとはしなかった。

 ある日を境に突如、王国中に現れた異形の獣ーー魔獣の被害は今や誰もが知っている。グラウンドにいるあの人外の生物もきっとその類なのだろうと、教師たちは二の足を踏んでいるのだ。しかし、彼らも"最高峰"イレニア魔導学院の教師。少なからず教育者としての矜持を持っている。

 "せめてグラウンドにいない生徒たちだけでも守らねば"と考えた数名の教師たちが、先導して魔法障壁の最上位魔法"絶対障壁"の張られた地下シェルターへと生徒たちを避難させた。


「魔力の高いガキを殺して眷属にすれば上質な駒ができる。やはりここを狙って正解だった」


 マルバスは地に沈み込むような圧の強い足音を立てながら、項垂れているセシルの元へと歩み寄ってくる。


 ーーこれは終わった…かな。仰々しくチカラを授けるとか言われて得たのがオッドアイになるだけのゴミスキル。役に立たなすぎてちょっと腹立つな…


 朦朧とする意識の中でファントム・メナスへの不満に思いを馳せる。しかし、そこで麻生が立ち上がるのが見えた。


「お、おい…セシル。諦めてんじゃねぇぞ…俺らにはまだアレがあんだろ…」


 ーーアレ?いや、何のことかさっぱりわからないけど…


「しぶとい人間め。いっそ跡形もなく消し飛ばしてくれる!!」


 マルバスは天を仰ぎながら大きく息を吸い込んだ。何かとてつもない攻撃がくる。セシルは麻生の言う"アレ"がわからないまま、とにかく動かなければと激痛の走る身体に鞭打って立ち上がった、その瞬間ーー


「いくぜ!!ザ・ワールドタイムレス!!」


 その瞬間、世界が完全に静止した。能力発動と同時にセシルの元へと走り始めていた麻生はそのままセシルを掴んで建物の裏へと駆け込む。そして、時間が動き出した。セシルは自分が立っていたはずの場所から変わっていることに一瞬固まった。


「え…ここ…は……校舎裏?」


 溜め込んだ力を吐き出そうと前を向いたマルバスは目を見開き、動きを止めた。目の前にいたはずのセシルと麻生が消えている。


「なっ…なに!?どこだっ!!」


 何が起きたのか理解できず周囲を見渡すが、どこにもいない。怒り出したマルバスはその場で吼えている。


「今朝話してた能力…こんな使い方はしたくなかったけどな。しゃーねぇ。命あっての何とかって言うしな。セシル、大丈夫か?」


「うん。息するだけで全身が痛いけど」


「はは…それ、大丈夫って言わねぇ…だ…ろ……」


 無理を押しての能力発動の反動が来たのか、麻生は意識を失くして膝から崩れ落ちた。すぐ近くでマルバスがまだ2人の姿を探している。状況は何も変わっていなかった。麻生は意識不明、セシルは重傷を負い、この最悪の状況をどう動けば挽回できるのかーーセシルは意を決して麻生を背負い、折れた肋骨の痛みを堪えてその場から走り出した。学院にいる教員に助けを求めるために。そう、戦略的撤退である。

 口元から血を流しながらも、ようやく学舎の入口に到着し、入ろうとしたーーしかし、目に見えない何かに遮られて入ることができなかった。


 ーー結界だと!?ふざけるなよ…僕たちを見殺しにするつもりなのか。


 多くの生徒を守るため、学院がとった対策はグラウンドにいる少数を切り捨て、籠城することだった。ありえない暴挙にセシルは絶望した。


「……生贄ってことか。ハハ…すごいな。これだけの結界が張れるなら、悪魔とだってやり合えるだろ…ふざけるなよ…」


 麻生を地面に下ろすと、怒りでアドレナリン全開なのか、セシルは結界を拳が砕ける勢いで殴り続けた。今こうしている間にも、気絶しているワッツたちは一人また一人と殺されているかもしれない。そう考えると、セシルは拳を収めることができなかった。


「開けろ!開けろ!!開けろ!!」


 セシルの拳が真っ赤に染まっていく。しかし、結界が解かれるどころか、誰一人様子を見に来る気配すらない。


「おい、君。そんなことしても無駄だよ。結界を拳で割るなんて無謀が過ぎるんじゃないか?」


 必死に殴り続けているセシルの背後から声がした。ようやく教師の誰かが現れたのかと、怒り狂った目で振り返ると、そこには学院では見たことのない男が革袋を手に立っていた。


「あんたは…先生?」


「ザンネン!俺はこの学院の用務員サンっす。でも、ただの用務員じゃないすよ。君に贈り物を持ってきた、痒いところに手が届く用務員サンっす」


 用務員を名乗る謎の男は身長180cmほどの長身でくせっ気のある金髪を後ろに流している。用務員ということは特に高貴な生まれでもなさそうだが、飄々とした口調とは逆にどこか高潔な雰囲気があった。男は革袋を漁り出し、中から取り出したものは何の変哲もないただの剣だった。しかし、明らかに革袋の大きさよりも長いはずの剣が出てきたことにセシルは驚きを隠せなかった。


「それ、ど、どうなってるんだ…?」


「あ〜これは企業秘密っす。カタイことは気にしないでくださいよ〜。さ、これでアイツを倒してください」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。僕は見ての通り重傷だし、剣など素振りくらいしかしたことがない。野の獣を倒すのとは訳が違う」


「でも、今の今まで結界を殴ってたじゃないっすか。それだけの元気があればいけますよ〜」


 男は強引に剣の柄をこちらに向けて差し出してくる。結界を殴ることが出来ていたのは、怒りが痛みを凌駕していたからであって、こうして冷静に剣を渡されても、持つことすらままならない気がする。


「いや、無理だって。あんたがやってくれよ」


「俺はお助けキャラだからさ〜戦うのは専門外なんだよ。頑張りなって。同窓生の命がかかってるんだぜ?」


 たしかに今こうして不毛な時間を過ごしているだけ無駄かもしれない。セシルは諦めて剣を握った。すると刀身が薄らと光だし、身体の奥から力が湧き上がるのを感じた。


「な、なんだ、これ…傷が…癒えた?」


「ね?要はやる気の問題なんすよ〜。さ、悪魔なんてサクッと片付けて同窓生を助ける救世主になっちゃいましょ」


 セシルは剣に秘められた不思議な力に疑問を感じつつも、マルバスのいるグラウンドに向かって走り出した。


「うんうん、青春っすねぇ。若いって素晴らしい」


 グラウンドの側まで来て、学舎の陰からグラウンドの様子を確認すると、マルバスは男子生徒の首を鷲掴みにして、今まさに喰らおうとしていた。


 ーーやれるのか、僕に。いや考えてる場合じゃないな…やるしかない。


 セシルはグラウンドへ駆け出し、剣を振りかぶった。マルバスはそれに気付き、生徒を放り捨て口角を吊り上げた。


「逃げたのかと思ったぞ。そんな鉄クズを取りに行っていたのか?そんなもので俺が斬れるか!!」


 セシルに向けて獅子の鋭い鉤爪が迫る。無我夢中でセシルは剣を振り下ろした。手応えがない。剣はわずかにマルバスの腕には届かなかった。


 ーーほらね。剣技は向いてないんだって。


 空振りに終わった一太刀。もはや鉤爪の餌食になるのを待つだけのセシルは目を閉じて死を覚悟した。だが、その鉤爪がセシルに届くことはなかった。待たされすぎではないだろうかと、セシルはゆっくりと目を開けた。そこには腕が落ち、その切り口から血が噴き出しているマルバスの姿があった。


「貴様ぁぁぁっ!!なんだその剣は!!」


 おかしいーー剣はたしかに空振ったはずだ。どうして腕が落ちたのか。狼狽するマルバスと困惑するセシル。しかし、この機を逃してはならないとセシルはすぐに切り替えて、再びマルバスに斬りかかった。

 さきほどは、とにかく剣を振ることに気を取られすぎていて剣先をしっかり見ていなかったが、今度は当てることに集中して剣を振り切った。振り下ろす瞬間だけ剣を覆うようにして伸びた光が、左首筋から右ささ脇腹にかけてマルバスの身体を対角線上に通り抜けていく。


 ーーさっきの違和感はこれだ。刀身で斬ったんじゃない。光が斬ったんだ…あの光、なに?


 マルバスの身体は斜めに真っ二つとなり、斬られた上半身が地面に落ちても尚、恨み節を口にしている。


「お、おのれ…人間風情が…」


「お〜やったっすね。さっさとトドメを刺しちゃうっすよ」


 いつから見物していたのか、用務員を名乗る男は拍手しながら現れた。男の言う通り、セシルはマルバスに近づいて、頭部に剣を突き刺した。絶命したのかマルバスの身体は灰のように霧散し風に散っていった。


「あんた、何者だ?この剣、普通じゃない」


「用務員…いや、これはもういいっすね。俺はヘルメスっす。天界オリュンポスから来たんすよ。その剣は魔力を込めて打たれた鍛冶神ヘファイストス様の作品…言うなれば、魔剣ってやつっすね」

ヘルメスをゼウスの使いということで登場させましたが、ヘルメスも神様なんですよね、実は、、、

でも、ファンタジーです。細かいことは気にしないでおきましょう。


神話上は弁が立つ神様らしいのですが、口調を小者口調にしてしまったので、これから大丈夫かな、、、って感じです。

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