第四話 死神と戦乙女
突然ですが、私ネーミングセンス無いなって思ってます。
キャラ名もそうだし、魔法名とか特に、、、
それは置いておいて。4話目にしてようやく物語に動きがありそうな感じが出てきました!
昼休みが間も無く終わりそうな頃合いに突如セシルに助けを求めてやってきた女生徒。
「…助ける?それはどういう…」
「ああ、ごめんなさい!私は魔導科C組のタニア・ミグレクトって言います。セシル君には不思議な力があるって聞いて…父を診てほしいんです」
「いやいや僕、医者じゃないから…診てと言われても…」
女生徒の話では、2日前に書斎で父親が急に発狂しながら苦しみ出したという。医者に診せたが、どうやら呪いの類ではないかとのことで医者の手には負えなかったという。
「呪い…僕は解呪の魔法なんて使えないし、解呪なら聖教会の司祭にお願いしたほうが…」
「司祭様にもお願いに行きました!それでもダメだったんです…お願いします!セシル君は人に降りかかる危険な運命を"視る"チカラがあるって聞いて…」
「セシル君、診てあげるだけならそんなに手間はかからないだろうし、一度会ってみるだけでもどうかな?」
いたたまれない表情で話を聞いていたワッツまでもが彼女の味方をし始めた。たしかに困り果てているタニアをそのまま帰すのは少し薄情な気がしてきたセシルは不承不承首を縦に振った。
「ありがとうございます!では、放課後、校門前でお待ちしてるので…よろしくお願いします!」
焦燥感に満ちていたタニアの表情は少し落ち着きを取り戻し、頭を下げてから教室を出て行った。
「セシル君ならそう言ってくれると思ったよ!」
「でもワッツ、あの子の家族と関係ないだろ?」
「それはそうだけど、困ってる人はやっぱり助けてあげたいじゃない。君もそうだろ?」
ワッツはどこまでもお人よしだな、と心の中でため息を漏らしたセシルは、周りの女子たちがタニアのことを面白くなさそうに見ていたこともあって心労を重ねた。
放課後ーー校門前にやって来たセシルはタニアと合流し、ミグレクト家の屋敷に向かうことにした。
「おぉーい、セシルくーん!待ってよぉ〜!!」
向かおうとしたが、ワッツが焦りながら走って校門前にやってきた。
「え、ワッツも行くの?」
「話を聞いた以上はね。旅は道連れってやつさ!」
ーー面倒ごとに首を突っ込みたがるなんて物好きだな、ワッツは。
こうしてワッツを加えた3人はタニアに案内され学院から数刻歩いた場所にあるミグレクト家の屋敷に辿り着いた。
「近っ!?王都内に屋敷があるって、タニアさんは寮暮らしじゃないんだね…」
「ええ、実家から通ってます…」
王都にあるだけでも十分、裕福だが屋敷そのものもユドラ伯の屋敷に比べても遜色ない立派なものだった。中に入ってもやはりなかなか豪奢な内装で、使用人が出迎えてくれた。
「父はこちらです…」
タニアに通された部屋に入ると、カーテンを閉め切った薄暗い部屋の片隅でミグレクト侯がうずくまっていた。ガタガタと震え、何かに怯えているようだ。セシルたちが部屋に入ってきても見向きもしない。
「セシル君、どうでしょうか…?」
先程からミグレクト侯を見てはいるが、ヴィジョンは浮かんでこない。命の危険性はなさそうだが、それにしてもこの様子は尋常ではない。セシルは思い切ってミグレクト侯に声を掛けてみた。
「ミグレクト侯爵、はじめまして。僕はタニアさんの学友で、セシルといいま…」
自己紹介も兼ねて声を掛けている途中で変化が起きた。ミグレクト侯の身体から黒い霧のようなものが立ち昇り、振り向いたその顔は目が赤黒く光り、まるで人間とは思えない形相だった。
「おま…えは…ナン…だ…ジャマ…する…な…」
息苦しそうに言葉を漏らしたかと思えば、急にセシルに掴みかかってきた。後ろで見ていたワッツとタニアは驚きのあまり腰を抜かして倒れ込んだ。セシルは掴まれながらも後ろには行かすまいと踏ん張って耐えている。
「これは…マズそうだ。2人とも逃げるんだ!」
返事がなかったので2人の様子を一瞬振り返って見ると、2人とも白目を剥き泡を吹いて気絶していた。黒い霧ーーこのえらく不快な瘴気のようなものに当てられたのだろうか。しかし、このまま押されて後退りすれば、2人の身体に躓いてバランスを崩してしまう。そうなれば一気に押し倒されてしまうだろうーーセシルは何とか振り解こうと足掻くが、50代男性の力とは思えない握力で振り解けない。拮抗していた力が徐々に押され始め、セシルが耐えきれず半歩下がった瞬間のことだった。
ミグレクト侯の全身が突然、淡い若草色の光に包まれた。そしてセシルを掴んでいた力が徐々に弱まっていった。
「この光の色は…治癒系か?」
ミグレクト侯は掴んでいたセシルから手を放すと、身体を掻きむしるようにもがき苦しみだした。一体、誰が助けてくれたのかとセシルは扉の前を見た。相変わらず2人は白目で気絶したままだ。しかし、その後ろに白いローブを纏いフードを目深に被った誰かが手を突き出して立っていた。ミグレクト侯を包む光はこの人から放たれたものなのだろうか。聴こえないくらいの小さな声でずっと何かを詠唱している。
「……魔よ退け!アーク・ディスペル!!」
これまでの包む光は詠唱による準備段階だったようで、魔法が発動する呪文を叫んだと同時にミグレクト侯の光は目を向けていられないほど眩く白い光の柱へと変化した。
その瞬間、ミグレクト侯の身体から何かの黒い影が飛び出したように見えた。光の柱が収束していき、やがて消えると鬼のような形相をしていたミグレクト侯の顔は本来の穏やかな表情に戻っており、そのまま気を失って倒れた。しかし、そのすぐ傍には光の柱に包まれていた時にミグレクト侯から飛び出した黒い影が蠢いていた。
「さあ、早くここから脱出を!」
フードで顔が隠れているため分からなかったが、女性の声だった。成り行きをただ見守ることしか出来ていなかったセシルに、ローブの女性は脱出するよう促した。たしかにここで見ていても仕方がない。
セシルはワッツとタニアを抱えると、やや重量オーバーだったのかフラつきながら部屋を出ていった。階段を降りていると、部屋からローブの女性が何かに押し出されるように壁を突き破って廊下へと吹き飛ぶ姿が見えた。そして部屋から這い出てきたのは牡牛の姿に黒い翼のある生物だった。ここから見る限り、女性の1.5倍ほどの背丈がある。
1階に下り、慌てふためく使用人たちにワッツたちを託すとセシルは再び階段を駆け上がっていった。
「我が名はソロモン72柱が1柱、ザガン。人間風情が我の憑依を破るとは忌々しい。消えろ!」
ザガンのテレフォンパンチに対してローブの女性は即座に前面に張った魔法障壁のようなものでガードしたが、威力が強すぎて障壁ごとじわじわと押されている。廊下の端ーー吹き抜け部分ギリギリまで追い詰められていた。
「おねーさん、避けたほうがいいよ!ブレイズ!!」
セシルは空で陣を切り、魔法を発動した。ローブの女性が横に飛び退いたのと同時に陣から飛び出した火球がザガンに命中すると、ザガンの身体は瞬く間に炎に包まれた。
「貴方バカなの!?屋内で火の魔法なんて火事になるでしょ!!危ないから下がってなさい!!」
ーーたしかに…。
しかし、ザガンは炎に包まれているのにも関わらず、あまりダメージを受けていないのか燃えたまま再びローブの女性へと襲いかかった。
女性はローブを翻して腰に携行していた鞘から剣を抜くと、応戦に出た。炎に包まれたザガンの拳を剣で受け止め弾いては斬りかかる。
セシルはこのままだと足を引っ張りそうだと渋々階段を下りて、使用人たちとともに屋敷の外に出ることにした。外へ出ても中の激しい戦いの音が聞こえてくる。心配そうに屋敷を見つめるセシルはまだ諦めきれず、何か出来ないかと考えていた。
ーー炎は効かなかった。たいていの生物は燃えたらダメージ受けるよな。あれは生き物じゃないのか?
しかし、考え込んでいるうちに屋敷の入口から女性が何食わぬ顔で出てきた。見たところ無傷だが、ローブの至る所が焦げて破れている。
「みんな、無事かしら?」
「うん。それよりさ、後ろのほうの裾、燃えてるよ?」
「えっ!?ウソウソ!?どこっ!?」
慌てた様子でローブを脱ぎ捨て燃えている部分を必死で踏みつけて鎮火している。ローブを脱いだその姿は淡い琥珀色の長い髪に、意志が強そうな大きなアクアマリンの瞳。金の装飾がアクセントとなるよう施された白銀の鎧姿で、それはまさに救世の戦乙女のようであった。
「出てきたってことは、やっつけたの?」
「ん?ええ。貴方が魔法で茶々入れなければ、ローブも燃えることなくもう少し楽に倒せたのだけれどね」
棘のある言い方だ。心配して加勢した人間にその物言いは如何なものかーー喉元まで出かかった言葉をセシルは飲み込み、ひとまず謝罪と礼を述べた。
「ところで、あれは何なんだ?あんたは何者だ?どうして助けに来た?」
「ストップストップ。ちゃんと答えるから落ち着いて。私はリエリカ・ルブラン。ラグナス王国騎士団の騎士よ。城下の警備のために街中を巡回していたら、不穏な気配を感じたから屋敷にお邪魔したの。あれの正体はここじゃ何だから、中に入って話しましょうか」
「中は…本当にもう大丈夫…なんですか?」
「ええ、少し荒れてはいますが、害虫は駆除しましたので」
不安を募らせる使用人たちであったが、リエリカの言葉を信じセシルたちは屋敷に戻ることにした。中に入ると、たしかに荒れていた。激闘を物語る爪痕とところどころ焦げた痕跡が見受けられる。
使用人たちは急ぎ憔悴したミグレクト侯を診てもらうため主治医に連絡をとり、未だ気を失っているタニアとワッツを客間に寝かせてるなど慌ただしく立ち回っていた。その間にセシルとリエリカは応接間を使わせてもらい、話を続けた。
「さて、ミグレクト侯に取り憑いていたアレだけど、貴方ほんとうに知らないの?」
「……?うん、知らない。どうして?」
「いえ、知らないのならいいわ。あれは"悪魔"よ」
"悪魔"という言葉を聞いた瞬間、セシルが頭を押さえて険しい顔をした。何かとてつもなく悪い出来事を無理やり想起させるかのような痛み。
『この異変に目を付けた者たちがおるーー悪魔だーー奴らは別次元の異界にいる為この世界に干渉する事が出来ないーー死ねなくなった人間たちの身体を憑代にすることでーー』
頭の奥で聞き覚えのある声が響く。
ーー死ねなくなった人間?憑代?ミグレクト侯はザガンとかいう悪魔に憑代にされていた?
セシルの頭に様々な情報が濁流のように混ざって流れ込んでくる。頭が割れそうなほど痛い。自分の身に何が起きているのかわからない。
「ねぇ、君!大丈夫…?かなり苦しそうだけど…」
「い、いや、大丈夫…」
リエリカに声をかけられたことで思考が止まり、濁流が治った。心配そうに見つめるリエリカに、セシルは思い出したかのように口を開いた。
「ごめん、まだ名乗ってなかった。僕はセシル。イレニア魔導学院の生徒で…」
「ええ、その制服を見れば分かるわ。セシル君…ね。とにかく、悪魔のことは他言無用よ。学生さんなのだから、あまり無茶はしないようにね。もしまた遭遇したら、王国騎士団に報せること。いいわね?」
「……うん、わかった」
少し間のある返事。どうにも悪魔という存在が気に掛かって仕方がないセシル。何か思うところがあるのだろうとリエリカはそれ以上詮索することはなかったが、もう一度無茶はするなと釘を刺してその場を去っていった。
「……はっ!?え!?ここ、どこ…あれ?セシル君?」
夜の帳が下りた頃、ミグレクト侯爵家の屋敷のベッドでようやく目を覚ましたワッツは、セシルに置いて帰られたことにまだ気付いてはいないのであった。
本編には全く関係ありませんが、リエリカは巨乳です。
鎧を着ているせいで皆にはあまり知られていません。
この場合、隠れ巨乳と言うべきでしょうか←どうでもいい
好きな食べ物はアップルパイ。
趣味は飼い犬の世話(犬の名前はジークフリード)
次回もこんな感じでキャラの設定をゆる〜く紹介していきますね〜




