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第十三話 聖女の壁ドン

タイトル、なかなかのパワーワードだと思ってます。

いや、でも壁ドンって言葉もう使わないか、、、



 ザイオン砦は甚大な被害を受け、多くの兵を失ったラグナス王国軍。国境での防衛には辛くも勝利したが、喜んでいられる状況ではなかった。騎士団のツートップが重傷を負い、指揮する者が不在となった今、再び攻め込まれれば王都は一気に陥落してしまうだろう。急ぎ王都防衛のための会議がバルフレア宮殿にて行なわれることになり、そこにセシルと麻生も招聘された。


「やべぇ…王宮の中ってこんな感じかぁ。つーか、よく考えりゃ俺、海外も初めてだからよ…緊張してきたぜ」


「カイガイって何?」


「あーえっと…海の外?違う国ってことだよ。俺がいたところは小さな島国だし、文化も違う…ていうか時代が違う…のか?」


「いや知らんよ。今さら何言ってんのさ」


 緊張で訳のわからない話をしながら、従者に連れられ王宮の長い廊下を歩いていく2人。通り過ぎる宮廷のメイドたちに"おのぼりさん"と思われているのか、メイドたちはクスクスと笑いながらこちらを見ている。

 廊下の突き当たりにある大きな扉の部屋の前に案内され、2人は部屋に入ると中央に円卓が配置されており、その周りには豪奢な装いの貴族たちの他に魔導学院の理事長、ラーニャ司祭やダン騎士団長などがすでに席に着いていた。


「陛下!こんな何処の馬の骨ともわからない子供を会議に参加させるのですか!」


「ボルティモア卿。お言葉ですが、彼らは此度の国境防衛の1番の功労者です。何卒、無礼な物言いはお控え頂きたい」


 頭や腕、様々な場所に包帯を巻いたダンが見せたことのない鋭い目つきで傲慢な態度の男を窘める。


「フン!士爵風情がこの私に意見するとは偉くなったものだな、え?ダンよ」


 空気の悪い中、セシルたちは引かれた椅子に腰を下ろしたが、麻生はすでに"不愉快!"という言葉が顔に大きく書いてあった。師事するダンがこき下ろされているのだから無理もなかった。


「よさぬか、ボルティモア卿。話が始められぬではないか」


 貴族の中でも最高位の伯爵家である傲慢なボルティモアに上から物を言ったのは、冠を頭に乗せ立派な白鬚をたくわえた老人だった。この老人こそラグナス王国、国王シリウス・ヒルデバルト・ラグナスその人である。


「王様ってマジで王冠頭に乗せてんのな」


「バカ。処刑されるぞ」


 小声でひそひそと馬鹿話をする2人。殺気を帯びた目と誇張した咳払いでダンがこちらを見ている。2人は口を閉じ俯いた。


「それでは、僭越ながら私が此度のザイオン砦で起きた国境防衛戦の顛末をご説明させて頂きます。まず、これまで違い帝国側も本腰を入れてきたのか、敵将は初めて見る顔でドラゴンに騎乗して飛来したアスタロトという手練れの者でした」


「ドラゴンだと?何を馬鹿な。高い知性を持ち気位の高いドラゴンが人間に飼い慣らされる訳がなかろう。飛行型の獣ではないのか?」


「いえ、あれは確かにドラゴンでした。その証拠に放たれた高熱のブレス攻撃で砦はすぐに半壊しました。また、それを従えるアスタロト自身も強大な魔法を使えるばかりか、戦闘能力も非常に高く、私でも歯が立ちませんでした」


 ダンが説明を行なう度に貴族から何かしらの異議が唱えられ、会議は泥沼化していた。そこに一石投じるかの如く、立ち上がった者がいた。


「皆様、この窮地とも言える情勢で不安視されるお気持ちはわかりますが、今は団長のお話を最後まで聞きませんか?そこから博識な皆様のお知恵を拝借させて頂き、対策を練ればよろしいのではないかと…」


 席に着いている者たちの中でも一際異彩を放っている者がいるのはセシルたちも気付いていた。金糸で神聖な紋様の刺繍が施された白いローブを纏っている、いかにも聖職者風の少女がその中にいたのだ。

 彼女はセシルたちが通う魔導学院の母体、イレニア大聖教のトップ、聖女セレスティア・マリーゴールド。見たところ、年齢はセシルたちとそう変わらない様子で、彼女の席の後ろには同じようなローブを纏い、帯剣している護衛の男2人が立っていた。


「めちゃ可愛い子がいるなとは思ってたけどよ、貴族サマを一瞬で黙らせたぜ。最高かよ」


 怒ったり浮かれたり喜んだりと、麻生ほど気性の浮き沈みが忙しない奴もいない、とセシルは思った。

 聖女の言葉で場は鎮まり、セレスティアが腰を下ろす際、一瞬こちらを見て微笑んだように見えた。面識のない聖女に微笑みかけられる訳がない、気のせいだろうとセシルは気にも留めなかったが、その様子を隣の麻生迅は口元をへの字に歪ませてしっかりと目撃していた。


「おい、セシル。お前とは今日で縁を切る」


「……は?なんで?」


「俺のピュアハートを踏みにじったからだ、バカヤロウ…」


 結局、授業中にするような話ばかりをして学生気分の抜けない2人をある者は目くじらを立てながら、ある者は微笑ましく見つめ会議は進んでいき、ようやく本題に入ろうというところまできたが、その前に一旦休憩を挟むことになり、それぞれ席を立った。

 壁際で給仕しているメイドにお願いして水を受け取ったセシルと麻生は歩きながら水を飲み部屋を出ようとしたが、背後から鈴を転がすような声で呼び止められた。


「あの、敵将を退けた騎士というのは貴方様ですか?」


 振り返ると、そこには聖女セレスティアがいた。期待に満ちた瞳でこちらを見つめている。だが気のせいか、麻生が白目をむいているような気がした。


「騎士ではないけど。うん」


「よかったぁ。ぜひお話ししたいと思っていましたの。よろしければ、あちらで少しお話ししませんか?」


「んー。ジン、先にいっ…」


「あー何も聞こえない。俺とお前は絶交したからな〜あーヤダヤダ、イケメンはどうしてこうどこでも無双しちゃうかねぇ…」


 麻生はブツクサとボヤきながら先に出て行ってしまった。訳がわからないセシルは仕方なくセレスティアに連れられ部屋を出て、しばらく歩いて部屋から離れると人気のない場所で足を止めた。

 すると、セレスティアが突然セシルの背後にある壁を思いきり叩いて怒鳴り出した。


「アンタさあ!あたしが聖女ムーブとって品よく貴族なだめてんのにさあ、その後もあのガチムチとべちゃくちゃとくだらない話してジャマしないでよ!!」


 ーーえぇぇ…


 豹変したセレスティアにセシルは言葉を失うのであった。


新キャラ登場〜。

異世界ファンタジーといえば、聖女!

聖女といえば、異世界ファンタジー!

そんな訳でセレスティア・マリーゴールドのご紹介!

イレニア大聖教という組織の中で最高位に位置する聖女。

某宗教の法王みたいな感じです。

あどけなさの残る童顔で17歳、白い肌、長い銀髪、赤い瞳!

そんな彼女の正体はズバリ、、、ナイショ。←ウゼェ

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