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(二)-3
「歳っていうな」
そう言い合う兄妹に対し、父親は「実家で顔を合わせるといつもこうじゃ。二人ともすでに独立したっていうのに」と高井戸に返事をした。
「まあまあ、いいではないですか、家族の仲がいいのは」
沈黙後のこうしたやりとりの後、玄関で来客対応をしていた幸恵が、三段の大きい寿司桶を持って部屋に入ってきた。
「はーい、お待たせ。お寿司がきましたよ」
そういいつつ、幸恵は寿司桶をテーブルに置いた。四、五人前のいくらやウニ、中トロまぐろなどの握り寿司が入った桶をソファの前のテーブルに二つ置き、「今お小皿持ってきますからね」と寿司桶の最後の一つ持ってキッチンに戻っていった。
(続く)




