1-1 章 異世界とあたしとトンガリ帽子
「…ー……」
「…………ー!」
「…………(おーい)!」
!!!!
飛び起きる
空、星が綺麗
月、明るい丸い
お姉さん。髪、白い、長い
猫の…耳…
????????????
「ーーーーーーーーーー。ーーー?(起きて良かったよ。大丈夫?)」
????????????
「ーーーー?ーーー?(名前は?分かる?)」
ただひたすらに頷く
「ーーーー!ーーーーーーー(良かった!寒いから早くおうちに帰りな。じゃねー)」
彼女は手を振って階段を降りて行ってしまった。
何語だったんだろ…?
そ し て
ど う し て
外なの!
「くちゅん!」
寒い…
寝てたせいで体温下がって厳しい。早く帰ろ。
立ち上がり回りを見渡す。
ん?
ここはどこだ????
柵に駆け寄る。
すると丁度朝日が照ってきた。
暖かな光が全身を灯す。
綺麗…
だがそれと同時に現実も明らかになった。
右!コンビニの看板が見えてた…ない!
左は!?あっちには野球場があっ……。
ない…
スマホで位置を…
ポケットを弄りスマホを探す
あった!
圏外
ど…どうしよう…
ふらふらと階段へ向かって歩き出す。
………
「痛!」
「痛!」
日本人!トンガリ帽子の魔法使いコスの黒髪ロングの女の子!
私は思い切りその人に抱きついた。
「え…ちょっと…すみません…」
「離さない!」
「ほんっ…と…危な…」
彼女は引き剥がそうとするが離すわけもない。
「分かりました!下にベンチがあるのでゆっくり話を聞かせてください!」
「…どうぞ」
「ありがとうございます」
階段を降り、ベンチでくつろぐ。
そして彼女が買ってくれた温かい飲み物を飲む。
表紙の文字を見るが当然読めない。
牛乳と雪が混ざったような味だ
「……」
「……」
「あ、あの…これからどうしますか」
先に口を開いたのは彼女だ。
「どうしましょう…」
「私と一緒に行動しませんか」
「もちろんです!お供させていただきます!」
天から蜘蛛の糸が垂れてきたみたいだ。
「そういうの抜きで…あなたと一緒にいたいです…」
「なんていい子!!!」
思わず彼女を抱きしめる。
「分かりました!分かりました!!!いい子です!いい子ですので離して!!」
満足。
「えー…とお名前は…」
「伊藤美雪です」
「私は結月。これからよろしくお願いします」
「よろしくね」
2人は握手を交わす。
「……」
「……」
「…何らしましょうか」
「文字読めません。言葉話せません。お金ありません。この世界での仕事経験ありません。運転免許持ってません。道分かりません。県の名前も知りません。寝床ありません。スマホも圏外です。なんでここにいるかも分かりません」
結月は苦笑いする。
「多い」
「えー…と、ではまず集会所へ行きましょう」
「行きましょう!せーのっ!」
「『テレポート』」
????????????????????????????
ーーーーーーーーーー
〜集会所〜
「到着です」
魔法陣が下に浮かび上がったと思ったら目の前に年季の入った木造の大きな建物が現れた。
「??????」
「どうしました?」
「え…魔法…?」
コスプレ…じゃない!?
コスプレじゃないです。
「では中に入りましょう」
結月に連れられ戸を開け中に入ると中には職員しかいない。
寝てる…。
疲れてるみたい。
たくさん置かれたテーブルと椅子に座っている人はいない。
「美雪さんこっちです」
見ると3mもあるであろう機械の前で手招きしている。
近寄るとやっぱり大きい。
青い電気がデザインの隙間から見える。
「これは自分の情報を登録する魔導具です。ここに手を」
彼女に言われた通り目の前にある手の形の凹みに手を置く。
すると魔導具は動き出し魔法陣が至る所に浮かび上がる。
うおおおおおおおおおおおお。
急に魔導具から光が消える。
「終わったみたいですね」
「はい」
あっけない
モニターが目の前に表示される。そこには私の顔と何か文字が書いてある。
「じゃあまずジョブを決めましょう」
「ジョブ?」
「rpgみたいな感じです。武器屋とか、農家、魔法使いとか戦士とかです」
なるほど
だから彼女は魔法使いに格好をしているのか。
「じゃあ魔法使いで!」
「あ」
“承知いたしました”
機械が喋る。
“初期装備を用意いたします”
美雪の足元に魔法陣が現れ全身を光が包み込む。
トンガリ帽子。黒いローブ。
結月と同じ格好。
まさに魔法使いだ
「すごい!」
「やっちゃった…」
「え?」
「美雪さんは魔力の量が多くないので魔法使いは苦手職なんです…」
「え!…まあ仕方ない!」
満足してるならokです。
「じゃあ次、クエスト、行きましょう。
初心者なので簡単なクエストにしますね」
そう言い結月はスマホを取り出して操作し始める。
「兎の討伐なんてどうでしょう?」
「う…グロいのはちょっと…」
「慣れです」
「はい」
「それでは町の外荒野行きま…」
ぎゅるるるるるる
「恥ずい…」
「朝ごはんにしましょうか」
私たちはそこの食堂で食事をとることにした。