24 ˇ 昨日と今日と明日の境界線ってどういうもの?
全然眠れない!
今日一日はこれで終わりだ……と思っていたのに、やっぱりいろいろありすぎてつい考え事してしまう。
いや、すでに零時過ぎたからもう『昨日』ってことか。あたしが眠れなくてもいやっぱりこの長い一日というものは終わったんだね。
それにそもそもあたしは事故で死ぬという運命だったよね? 本来なら次の日を迎える資格なんてあたしにはないはずだった。そう考えるとなんか不安になって落ち着けなくなる。
もう大丈夫よ。これでもう助かったはず。全部似海が現れたおかげだよ。そのはずなのに、やっぱり心の中でなんか恐怖感はまだなかなか消えてくれない。
「お姉ちゃん、まだ起きてるの?」
「似海、お前もか?」
今眠れないのはあたしだけでなく、似海もそうだったね。
「うん、やっぱり今日いろいろあったね」
「すでに『昨日』になったけど」
「まだ朝じゃないから『今日』でいいんじゃないか」
「でも実際に日付は変わったし」
確かにそもそも『今日』と『明日』の境界線は曖昧なものだ。『零時になったら次の日』っていう判断基準も所詮ただ人工的に決められたものだよね。でも朝が来て日差しが現れたら、その時こそ本当に『次の日』って感じがするんじゃないか。
「そういえば、昔こんな話で似海と言い争ったことがあるね? 『零時過ぎたらもう明日か』って話題」
「あ、そうね。確かに。あの時お姉ちゃんも『日付が変わったからもう次の日だ』って」
「まだ覚えてるの?」
あたしにとってこれは2年くらい前のことだ。でも似海にとってもう10年くらい過ぎたことであるはずだ。
「うん、やっぱりこんな話は記憶一致してるね」
「そうね。一致しまいこともいろいろあるのに」
この話は性別とは関係ないから、やっぱりこっちの世界でもあっちの世界でも同じだね。
「やっぱり私もベッドに寝るよ」
「お前、まだ諦めていないのか!?」
「だって、お互い眠れないんだから、一緒に寝ると眠りやすいかも」
「そんなの関係あるの!?」
ただの言い訳っぽい。こいつ、こんなにあたしと一緒に寝たいの? 別にあたしは嫌ってわけじゃないけど。
「昔私はお姉ちゃんと一緒にこのベッドに寝ていたのに」
「そうなの? でもあれはあたしじゃないあたしだよ。それにお前はこんなに大きいから無理」
「ギュッと抱き締めたら大丈夫よ」
「お前、本当にあたしを抱き枕にする気満々ね! っていうか、いつの間にかここに!?」
似海はすでにベッドに上がってきた。あたしはまだオッケー言っていないのに!
「お姉ちゃんは今までずっと一人ベッドだったね?」
「まあ」
「なら誰かと一緒に寝るのがどれくらい気持ちいいかわからないでしょう?」
「そ、そうだけど」
「やっぱり私が教えてあげる」
「お前、今の声なんかエロっぽくない!?」
一体何を教える気なのよ!?
「ふー!」
「呼吸までなんか!」
あたし、これからどうされるの? そんな……。でも似海とならあまり嫌じゃないかも。とにかく優しくしてくれよね。
「やっぱり、抱いて寝ると暖かくて気持ちいいね」
「まあ」
似海はすでにベッドに上がってあたしを抱き締めている。触れ合った体から彼女の温もりを感じている。しかもこんな柔らかさ、本当に気持ちいい。それにいい香りだ。
意外と優しくしてくれているね。彼女はあたしより大きくて力があるはずなのに。今強く抱き締めているわけではなく、ちゃんと力加減をしているようだ。
そういえば、昔こんな風にあたしはお母さんの腕の中で寝ていたね。幼かった頃だから、本当に久しぶりだ。懐かしい。今の似海はお母さんみたいな感じだ。
今更だけど、確かに似海は死んだお母さんと似ているよね。今までこんなこと想像したことなかったが、似海が女だったらこんなにお母さんと似ているのか。彼女自身は自覚しているのかな? でも母さんが死んだ時似海はまだ小さかったから、似海にとって母さんと過ごしていた頃の記憶がないはずだよ。
やっぱりお母さんと似ている。顔とか、髪の毛とか。長い黒髪の美人で、いつも元気で。それなのに性格は子供っぽくて悪戯好きで……。
こうやって抱き合って寝るのも悪くないかも。なんか癒やされる。なんかまるで子供の頃に戻ったみたい。
気持ちいいから、いつの間にか眠気が……。
もう何も考えない。このままあたしの意識が薄れて遠くなっていく。そして……。




