22 ˇ やっぱり美人お姉さんと一緒に寝るのは無理なの?
「「お姉ちゃん……」」
「お前たち?」
あたしが自分の部屋に戻ってしばらく一人で柔らかいベッドに寝そべて待っていたら、2人の似海は一緒に入ってきた。
「僕、もう話を聞いちゃったよ。似海姉のこと。まさか本当にもう一人の僕がいるなんて」
「はい!? お前まさか……」
おい、待ってよ。まさかの急な展開? そんなことは……。
「ごめん、お姉ちゃん、似海くんに私の正体のことを言ってしまった。えへへ」
「……」
やっぱり、こんな簡単に……。お前、結局あっさりと正体を打ち明けたか。まあ、こんな展開は予想できたけどね。この2人が話し合ったら秘密を隠せるわけがない。
「お前、驚かないの?」
私は小さい似海に訊いてみた。こいつもなんかあっとりとこの状況を受け入れたようだ。本当にあまり何も深く考えない性格なんだから。
「僕も本当は随分驚いたよ。でもなんかドキドキしたね。まさか未来人とか平行世界が実在するなんて。しかも自分の前に現れた」
「ならよかったけど」
この子はこういう軽快なキャラだから助かったかも。
「なら、彼女がここにいることは本当に問題ないよね?」
「もちろん、僕も似海姉のこと気に入ったよ」
「そのようだね。お前たち、本当に仲がいいね」
話はそんなに軽いのか。まあこれでいいか。もしぎくしゃくしてしまったら厄介になるだろう。
「だからやっぱり今夜、私は似海くんと一緒に寝るね」
「うん……へぇ!?」
大きい似海にそう言われて、小さい似海は随分唖然として取り乱した。
「ちょっと、似海姉、なんでいきなり!?」
「同じ私だから問題ないよね?」
「いや、でも……」
この2人、さっきまで息ピッタリだったのに、こういう時だけはやっぱりこうなるのよね。
「私と一緒じゃ、嫌なの?」
「別に嫌じゃないけど、僕はお姉ちゃん以外の女と一緒に寝たことはない」
「私もお兄ちゃん以外の男の子と一緒に寝たことがないよ。でも似海くんは他の誰でもない私自身だから」
そうだろうね。むしろもし彼女は『私はいつも男の子と一緒のベッドよ』とか言ったらそれはそれでショックだな。でも確かにもう大学生だから、ちょっとくらい経験とかあってもおかしくないかもしれないかもね?
「そうだよね。似海姉は僕自身……って、いきなりそう言われても、やっぱり無理だ。こんな綺麗なお姉さんと一緒に寝るのは……」
「あら、自分で自分を褒めるの? 君だって、結構可愛い男の子よ」
「ぼ、僕なんか……」
似海、お前照れてるね。お前たち、結局自分で自分を褒めるということなってない? 確かにどっちも魅力あるね。大きい似海は美人のお姉さんって感じであるのに対し、小さい似海はショタっ子らしい可愛さだ。
「お風呂もやっぱり私と似海くんと一緒でいいよね?」
「なんで!? あれは尚更駄目だ!」
お前、終わったはずの話題まで蒸し返すつもりかよ……。
「大丈夫よ。私は全然気にしないから」
「僕は気になるよ!」
「私のこの体は、君のものでもあるよ」
「いやいや、なんかそんな言い方おかしいよ!」
何だよ、この茶番は? やれやれ。ご苦労だったね。少年。てか、こういう漫才はわざとあたしの前で演じる必要があるの?
「お前たちいい加減にして。やっぱりお前はあたしと一緒にこの部屋で寝ていい」
「でも、私は似海くんと一緒にいたい」
「あたしと一緒じゃ、不満なのか?」
あたしはわざとちょっと悲しそうな顔をしてみた。
「うっ……。違うよ。わかった。お姉ちゃんと一緒に寝る」
拗ねたフリをしたら、こんなすぐに効果が出るとはね……。
「これでいい。最初からそう決めたのだから」
どうやらこれで解決みたいね。
「お姉ちゃん、助かったよ!」
小さい似海はホッとしたような顔になった。
「似海くん、今なんか残念そうな顔をしてるね?」
「べ、別にしてないよ! じゃ、僕は自分の部屋に戻るね。おやすみ、お姉ちゃん、似海姉」
そう言い残して、小さい似海はこの部屋から出ていった。
「似海くん! 待って! 私も一緒……」
こっちの似海は、まだ往生際が悪いようだね。
「お前はこっちの部屋だろう!」
「は、はい……。わかったよ」
すごく残念そうな顔をしているね。あたしと一緒ではこんなに不満なの? ちょっと傷ついたかもね。
とりあえず、これであたしは弟の貞操を守れたってことね? 本当によかったね、似海。




