21 ˇ 血の繋がった妹(弟?)だから、絶対駄目だぞ
大きい似海とのお風呂が終わった後、一緒にあたしの部屋に入ってきた。
「ほら、ドライヤーはお前先に使って」
ここ元々ドライヤーを使うのはあたし一人だから、当然一つしかない。
「いいの?」
「お前の方が神長いし。それにお風呂上がったらすぐ小さい似海とお話をしに行くと言っただろう。あたしは後でいいわ」
「そうね。わかった」
初めてだよね。誰かと一緒にお風呂に入って、ドライヤーを一緒に使うのは。
それにしてもお風呂から上がった似海はなんかいい匂い。同じシャンプーを使ったはずなのに、どう違うの? これは大人の余裕かってやつか?
「じゃ、行ってくるね」
「うん」
その長くて美しい髪を乾かした後、大きい似海は小さい似海の部屋に行った。そういえばあっちの世界でなら、あの部屋は彼女自身の部屋でもあるね。でもこっちでは男の子の部屋だから、飾りや家具はいろいろ違うだろう。
その後あたしは水澄の部屋に行ってみた。
「姉貴? 彼女は?」
「小さい似海の部屋に行った。2人で話があるって」
「そうか。似海と」
「お前も彼女と2人きりで話したいのなら構わないよ」
「いやいや、それはちょっと。2人きりはなんか……。やっぱり要らないよ」
「……」
水澄は随分動揺した。今彼女と2人きりで何かしていると想像しているのかな?
「でも彼女と2人きりで本当に大丈夫?」
「別に。お前、何か心配なの?」
「まあ。ね、姉貴。結局のところ彼女は一体誰なの?」
「やっぱりお前も気になるよね?」
「お姉ちゃんが信頼している人だから、俺も大丈夫だと思うけど。やっぱりちょっとね……」
「そうよね」
いきなり知らないお姉さんが家に泊まる……いや、『泊まる』だけでなく『住む』と言ったのだからね。いくら男がちょろいからって、少なくとも警戒心あるだろう。
しかも彼女の自己紹介は全然説明不足だ。ただ『私ももう一人の似海』と言っただけ。水澄にとって何がなんだかあまり意味わからないのよね。
「彼女ももう一人の似海だよ」
「ただ名前同じではないか?」
「それは……」
ただそれだけじゃないのよ……。と、そう言いたいけど、今似海はまだ言うかどうかまだ躊躇っているから、やっぱり……。
「彼女の名前は本当に『似海』なの?」
「うん、それは間違いないよ」
「やっぱり、彼女の正体はどうしても秘密?」
「それは……まあ、ごめん。彼女の事情はいろいろあってね。でも悪い人じゃないのはあたしが保証するから心配無用だ」
ただの怪しくて厄介な人だけど、悪い人ではない。何よりあたしの妹だから。
「姉貴がそう言うのなら」
「一緒に住むことは嫌じゃないはずだよね?」
「もちろん、嫌じゃないよ。でもやっぱり美人のお姉さんが一緒にいると思ったら、ちょっと……」
「あ、そう……」
確かにきついかもね。緊張とかするの? 年頃の男の子だから。
「エッチなこととか考えてる?」
「そ、そんなこと……ない」
水澄は一応否定したけど、目を逸らしながら答えてもあまり説得力はないよ。やっぱりエッチなことでも頭の中に浮かんでいるのはバレバレね。
でもね、2人本当は兄妹だよね? 少なくとも彼女もそう認識している。でも水澄はこのこと知らないから、もしかしたらそれと違う気持ちが湧いてくるかも。やっぱり早く本当のこと言っておいた方がいいのでは?
「もしかして水澄、お前彼女に惚れたりなんかしていない?」
「え? そ、それは……そうだね」
「……」
何迷っているの? 早く否定してよ! それにそっぽを向くな。まさか本当に? 駄目だよ。彼女はお前の妹(弟?)だから。血も繋がってるのよ。
「とにかくだ。絶対に変なこと考えないでね。彼女は駄目」
「……そこまで駄目なの? なんでだよ?」
こんな反応、やっぱりお前期待しているの!? もう危険だ。
「彼女は似海だよ」
「ただ同じ名前だけで、全然別人じゃないか」
違うわ。本当に同じ人だよ。
「あの2人は似ていると思わないの?」
「それはまあ、確かに似ているところもあるね。でも全然違うし」
「だよね」
確かに性格も似て、顔もある程度似ているけど、性別も年齢も全然違うから、普通はどう見ても同じ人物だと思わないだろう。ショタっ子の弟と美人のお姉さんが同じだと言ったら、頭おかしいよね。
「やっぱりいろいろ面倒くさいから、今のところもういいのよ。この話は後でね。あたしはもう部屋に帰る」
「あ、うん。おやすみ」
今まだ説明したらいいかわからないから今日はこれでいい。でもやっぱり手遅れになる前によく考えて何かしないとね。お前たちのために。




