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12 ˇ 大きいって何のこと?

 「ちょっと待って! お姉ちゃん。何なの、私が『大きい』って?」


 いきなりあたしに『大きい似海(にうみ)』と呼ばれて、彼女はなんか不満のようだ。


 「だって似海が2人いる。でもこっちの方が大きいから」

 「そうだけど……」

 「こういうのは昔のアニメもあるよね。『うざき』が2人いるから、小さい方が『ちびうざ』って呼ばれる」

 「そんなアニメあるの? 私知らない。あ、でも『小さいキュ◕べ◕』なら聞いたことあるよ」

 「何なのこれ? あたし全然知らない」

 「そういえば、これは私最近見たアニメのキャラだから、こっちではまだ放送していないね」


 なんか時代の差を感じた。それは仕方ないよね。彼女は実際に未来から来たのだから。


 でも『キュ◕べ◕』ってキャラならあたしも知ってるよ。確かに2年前に放送した『魔法少女(まほうしょうじょ)竈門(かまど)魔鍵(まかぎ)』っていうアニメだ。口車(くちぐるま)に乗せられて契約してしまったらやばいってやつ。


 「やっぱりこの呼び方は不満かしら? なら『未来の似海』とか、『美女の似海』とかもいいかも?」


 未来から来たし。しかも意外と美人だ。でも可愛さなら男の子の似海の方が上だけどね。うちの自慢の弟だよ。


 「それはなんかちょっと微妙ね」

 「そうね。どうせなら『美人お姉さんの似海』はどう?」

 「なんか長いし、おかしいよ。どうせなら『似海お姉ちゃん』とか?」

 「それも悪くないかもね。わかったわ。じゃ、『似海お姉ちゃん』」

 「いやいや、待って。悪かった。ごめんなさい。()めて。やっぱりお姉ちゃんに『お姉ちゃん』と呼ばれるのはダメージを受けちゃう」

 「そう言うだろうと思った」


 実はそんな呼び方はあたしも抵抗感があるね。年下になってもやっぱりあたしの方が姉だね。でも自分でそう言ったら負けた気がするから。


 「姉貴、まだ話終わってない?」

 「あ、水澄(みずみ)。なんかごめんね。もう少し待っててね」


 部屋の外から水澄の呼び声が聞こえた。そういえば普段なら今ご飯を作る時間だ。今日はいろいろあって遅くなってしまったね。


 「じゃ、話は一旦ここまでね」

 「お姉ちゃん、今台所に行くの?」

 「うん」

 「じゃ、今日の晩ご飯私が作るよ」

 「え? お前が料理を?」

 「お姉ちゃん、なんでこんなに意外そうな顔なの?」

 「やっぱりお前は似海じゃない。偽物だね」


 似海が料理を作るなんて全然想像できない。たとえ女になったとしてもだ。


 「なんでだよ!? まあ、確かに13歳の時私は全然料理作ったことないよね。でもその後はいっぱい頑張って作れるようになったよ」

 「あ、そうか」


 あたしがいなくなったから、似海まで自分でご飯を作らなければならないということになったね。おかしい話ではない。人は変わっていくものだ。


 もう彼女は似海だと認識し始めてしまったけど、やっぱりいろいろ違うんだね。性別だけでなく、年齢も違う。彼女はなんか子供っぽい性格だからって、(まぎ)れもなくあたしより年上だ。妹だけど……。


 「わかったわ。じゃ、ご飯はお前に任せるね」

 「うん、私に任せろ! 料理でみんなの心を(つか)んじゃうぞ」


 なんか嬉しそう。まさか彼女は意外と料理が得意とか? ならあたしも今夜の料理つい期待してしまうね。


 「一人で台所に行ける?」

 「もちろんよ。でもお姉ちゃんは?」

 「あたしはまずあの2人に事情を説明しておく」

 「説明するなら私が一緒にいるべきだね? 私のことだから、お姉ちゃんにばかり頼るわけにはいかないよ」

 「必要ないよ。あたしに任せろ。それが一番だ」


 お前が一緒だと、むしろ説明しにくくて厄介になりそうだからね。余計なことばかり言って、話にならないかも。やっぱりあたし一人で説明したら一番話が順調に進めるはずだ。


 「あの2人は、結局私のことをどう思うのかな?」

 「何だ。不安なの? 心配しないと思うわよ。一応2人は男の子だから、いきなり美人のお姉さんが一緒に暮らすと知ったら拒否どころか、むしろ大歓迎だよ」


 男はちょろいしね。うちの弟たちも例外ではない。しかもお前はさっきあの2人に抱きついたし。ひょっとして彼らはすでに魅了されたかも。変な感情が生み出されて手遅れになる前にちゃんと()めないとね。


 「ううん、そんなことも心配だけど、それより、お姉ちゃんみたいにちゃんと私のことを受け入れてくれるだろう? 家族として」

 「そうか」


 確かに不安だよね。たとえ一緒にここに住むことができても、家族から他人みたいな扱いされたら辛いよね。


 「あの2人に、本当のこと言うつもりなの? お前の正体のこと」

 「それはもちろん、そうしたいよ。最初からそのつまり。だけど考えてみればいきなり不安になって……。やっぱり躊躇(ためら)っちゃうかも」


 彼女は悩んで煮え切らない顔をしている。やっぱりまだ逡巡(しゅんじゅん)して不安になっているよね。


 「そうか。まだ覚悟決めていないのなら、今日まだ全部本当のことを2人に教えなくてもいいわよ。最初から『あたしの命を救った恩人』として紹介したし。まずそのままでいい」


 嘘ではない。これも(まぎ)れもなく事実だよ。時が来たら教えても遅くないはず。


 「そうね。わかった。今はそうしよう」

 「これでいいよね? じゃあたしが今2人のところに行くね。晩ご飯は任せるわ。似海」

 「うん」


『キュ◕べ◕』と『小さいキュ◕べ◕』の元ネタは、2011年に放送した『魔法少女まどか☆マギカ』というアニメで登場したキュゥべえです。


小さいキュゥべえというキャラは、2020年に放送した続編の『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』のキャラ。


/人◕ ‿‿ ◕人\

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