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「だろ? トークは結構明るい感じでやってるんだよ。綺悧が生きるからな」
「俺もその方がいいと思ってた。あいつ可愛いもんな」
「ああ。ライブのMCとかも割とこんな感じ」
「お前はどうせ暗いんだろ」
「暗くない。無口で笑わないだけだ」
「それが暗い」
あははと笑うと、ヤツも笑う。こんなによく笑うし、可愛い笑顔なんだけど、それを知ってんのは俺だけだ。
「夕がこれから、元気系キャラって感じになるだろ」
「元気系?」
「わんぱく?」
「ガキ大将かよ」
完全に半ズボン履いてる系じゃねぇか、それ。でも、確かに全体のバランスとしては悪くない。
「俺はちょっと口が悪いだけだ」
「ちょうどそのポジションがいないからな」
音楽がイマイチなのに、ベルノワールがここまで人気を上げて来た理由がわかった気がするな。こいつの、プロデュース力だ。
可愛い綺悧がフロントマンで、左右を典型的ヴィジュアル系バンドマン朱雨と見方によっては王子様な礼華で固めて、寡黙でクールな宵闇。俺の前任がどんなヤツだったかは知らねぇけど、そこにちょっとガラの悪い俺。全方向に隙がない。これは上手い布陣だ。
このラインナップで、ヴィジュアルもパーフェクト。ファンサービスに手抜きはなし。
演奏力はイマイチだけど、しっかり暴れたり踊ったり出来る曲も揃ってる。MCは親しみやすい。
こいつのこの才能は大したもんだな。
演奏力が上がれば、そっち方面から更にファン層は拡大出来そうだ。男性ファンも取り込みたい。
「お前、やるな」
「さあ?」
宵闇はとぼけた顔で首を傾げる。そんな顔しても、そこんとこだけは策士だな。俺はそういうの、好きだよ。
軽く頬を叩いてやると、笑みを浮かべる。





