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「うん、バンドエイド。キズパワーパッドはダメだよ。あと、バンドエイドじゃないバンドエイドはあんまり良くないかなー」
バンドエイドじゃないバンドエイド…。それは、あれか。カットバンとかオーキューバンとかそういうヤツのことか。
「バンドエイドですね。水膨れはどうしたらいいです?」
「うーん、そっとしといた方がいいけど…でもライブもうすぐだもんね」
「はい。だから、ヤツも頑張っちゃって」
「じゃ、潰しちゃう? えーとね、バイ菌入らないように焼いた針でぷちって」
「ぷちって」
「で、バンドエイド貼っとくんだよ。弾きながら潰しちゃうよりは安全。変だなって思ったら、ちゃんと病院行って消毒してもらってね?」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
「ほんとは弾かない方がいいんだけどな。出来たら、左手お休みして、ピッキングとかカッティングの練習に集中するといいよ、って教えてあげて」
オフの時は無邪気な長崎さんも、ギターの話になると声のトーンが段々変わってくる。流石、講師歴12年。
「でも、頑張ってるんだよね。集中してそんなにいっぱい練習してるって」
「そうなんですよ。ツインギターなんですけど、二人とも頑張ってますよ。近いうちに、インストラクター探して基礎から勉強し直すよて」
「僕教えてあげよっか?」
「えっ!?」
思いがけない申し出に驚く。それ、イチローにキャッチボール習うみたいなもんだぞ!?
「長崎さんが!?」
「うん。優哉くんがそんな一生懸命になるんなら、その子たちも頑張ってるんでしょ。サキさんもダメって言わないと思うよー」
サキさんっていうのは、セルスクェアのヴォーカルで、長崎さんの所属事務所の社長。長崎さんが何かするなら、サキさんの許可は必須だ。
「マジですか!?」
「うん、ツインギターなんだし、二人一緒に教えてあげるよー。僕、教えるの好きだからやりたい」
「ありがとうございます!!」
これはヤバい。かなり凄いことになった。長崎さんが師匠になるなんて、二人ともとんでもなく光栄なことだぞ、おい。
それに、セルスクェアはヴィジュアル系だし、長崎さんのソロは完全にヘヴィメタル。今後の方向性にとって、こんなに願ってもないインストラクターはいない。
「じゃ、また詳しいこと相談しよ。カウンセリングあと一人いるから、またね」
「あ、今日講義でした?」
「うん。今大阪にいるよ。サキさんも一緒に来てるから、後で話しとくね」
「はい、よろしくお願いします!」
「じゃあねー!」
通話が切れる。アドバイスもらうだけじゃなくて、ここまで親切にしてもらえるなんてめちゃくちゃラッキーだな。いや、ラッキーじゃ足りねぇ。神様ありがとう。
すぐにスタジオに取って返して、礼華のところへ行く。礼華はまたギターを弾いてる。
「礼華」
肩を叩くと、俺を見て小声で「はい」と言う。
「バンドエイド貼る。あと、その水膨れ潰しちまおう」
「えっ、それ大丈夫…?」
「ああ、長崎さんに聞いたから大丈夫だ」
「長崎さん!?」
お、今まで聞いた中で一番ボリュームある声だな。やっぱ礼華も長崎さん知ってたか。





