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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
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22-5


「うん、バンドエイド。キズパワーパッドはダメだよ。あと、バンドエイドじゃないバンドエイドはあんまり良くないかなー」

 バンドエイドじゃないバンドエイド…。それは、あれか。カットバンとかオーキューバンとかそういうヤツのことか。

「バンドエイドですね。水膨れはどうしたらいいです?」

「うーん、そっとしといた方がいいけど…でもライブもうすぐだもんね」

「はい。だから、ヤツも頑張っちゃって」

「じゃ、潰しちゃう? えーとね、バイ菌入らないように焼いた針でぷちって」

「ぷちって」

「で、バンドエイド貼っとくんだよ。弾きながら潰しちゃうよりは安全。変だなって思ったら、ちゃんと病院行って消毒してもらってね?」

「はい、わかりました。ありがとうございます」

「ほんとは弾かない方がいいんだけどな。出来たら、左手お休みして、ピッキングとかカッティングの練習に集中するといいよ、って教えてあげて」

 オフの時は無邪気な長崎さんも、ギターの話になると声のトーンが段々変わってくる。流石、講師歴12年。

「でも、頑張ってるんだよね。集中してそんなにいっぱい練習してるって」

「そうなんですよ。ツインギターなんですけど、二人とも頑張ってますよ。近いうちに、インストラクター探して基礎から勉強し直すよて」

「僕教えてあげよっか?」

「えっ!?」

 思いがけない申し出に驚く。それ、イチローにキャッチボール習うみたいなもんだぞ!?

「長崎さんが!?」

「うん。優哉くんがそんな一生懸命になるんなら、その子たちも頑張ってるんでしょ。サキさんもダメって言わないと思うよー」

 サキさんっていうのは、セルスクェアのヴォーカルで、長崎さんの所属事務所の社長。長崎さんが何かするなら、サキさんの許可は必須だ。

「マジですか!?」

「うん、ツインギターなんだし、二人一緒に教えてあげるよー。僕、教えるの好きだからやりたい」

「ありがとうございます!!」

 これはヤバい。かなり凄いことになった。長崎さんが師匠になるなんて、二人ともとんでもなく光栄なことだぞ、おい。

 それに、セルスクェアはヴィジュアル系だし、長崎さんのソロは完全にヘヴィメタル。今後の方向性にとって、こんなに願ってもないインストラクターはいない。

「じゃ、また詳しいこと相談しよ。カウンセリングあと一人いるから、またね」

「あ、今日講義でした?」

「うん。今大阪にいるよ。サキさんも一緒に来てるから、後で話しとくね」

「はい、よろしくお願いします!」

「じゃあねー!」

 通話が切れる。アドバイスもらうだけじゃなくて、ここまで親切にしてもらえるなんてめちゃくちゃラッキーだな。いや、ラッキーじゃ足りねぇ。神様ありがとう。

 すぐにスタジオに取って返して、礼華のところへ行く。礼華はまたギターを弾いてる。

「礼華」

 肩を叩くと、俺を見て小声で「はい」と言う。

「バンドエイド貼る。あと、その水膨れ潰しちまおう」

「えっ、それ大丈夫…?」

「ああ、長崎さんに聞いたから大丈夫だ」

「長崎さん!?」

 お、今まで聞いた中で一番ボリュームある声だな。やっぱ礼華も長崎さん知ってたか。

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