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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
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22-4


「めっちゃ練習しまくってんだな」

「ああ…うん。一応…」

「一応のレベルじゃねぇよ。何参考にしてやってんの?」

 なかなか目は合わせてくれないんだよな。俺、別に噛みつかねぇのに。しょうがないか、人見知りだもんな。

「ネットで、ググって」

「なるほどな!」

 その手があったか。便利な世の中だよな。

「すぐに取り掛れることって何だろうと思って…」

「そっか。お前ほんとすげぇわ」

 指先に触ってみると、皮膚が固くなりかけてるところもある。これがきっちり固くなっちまえば、弾くのも楽になるだろう。そうなればもっと思い切りやれてぐっと良くなるはずだ。

「指、痛くねぇ?」

「痛いけど…我慢するしかないし」

「うーん、俺は対策知らねぇけど…待ってろ」

 またライフライン活用しますか。テレフォンで。自分の荷物のところにスマホを取りに行き、スタジオを出ようと振り返ると、ベースを弾き続けてる宵闇と目が合った。こっそりウィンクしてやると、ヤツは小さく頷く。何か起きたって状況は理解してるだろう。

 廊下に出て、電話をかける。

 餅は餅屋。ギターはギタリスト。

 あの人も忙しいから出てくれるかどうか。俺か礼華のどっちかは運を持ってると信じよう。

  3コール目、繋がった。俺ら、持ってんな。

「長崎さんおつかれさまです。今いいですか?」

「珍しいねー優哉くん! どうしたの? いいよ? なにー?」

 人懐っこい、明るい声。これが新世代のギターヒーローとして名高い長崎芳之さんだ。ちっとも偉ぶるところがなくて、誰にでも気さくに対応する、ややもすると子どもっぽくて無邪気な、俺から見ても可愛い人だ。

「うちのギタリスト…あ、俺、ベルノワール入ったんですけど」

「えー? ベルノワール? 聞いたことあるよ。何だっけ」

「今度、Monster's Foolish Night出させてもらいます」

「あっ! そうだ! それで聞いたことあるんだー! 優哉くんのバンドなの?」

「俺はこないだ入ったとこなんですけどね」

「そうなんだ! 楽しみだね。優哉くんと対バンするの初めてだもんね」

 長崎さんは本当に楽しみそうに言ってくれる。

「で、うちのギタリストが指先に水膨れ作ってんですけど、何か対策あります?」

 長崎さんは今更そんなもん作らないと思うけど、講師やってるから、そういう学生からの相談もあるだろう。

「うわー、あれ痛いよね! かわいそう」

「そうなんですよ。潰れてんのもあるんですけど」

「潰れちゃったんだ。えーとね、バンドエイドいいよ」

「え? バンドエイド?」

 あまりにも直球の回答に俺は驚く。何の捻りもなかった。

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