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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
79/232

21-6


 吸殻を灰皿に放り込み、もう一本取り出す。

「その辺のことは、俺が下調べしとくし、心当たりのとこには打診しとく。お前は目の前のことに集中して、あいつらを引っ張っていけ」

 宵闇は頷く。まだしゅんとしてんな。

 手を伸ばして、ヤツのおでこをぺしっと叩く。

「ほれ、キリッとしろキリッと。男前はどこ行ったよ」

 そう言ってやると、瞬きをして一度笑顔になり、それから顔を引き締める。ほら、クールで男前な宵闇の出来上がりだ。

「これ吸ったら会議室戻るから、お前先行ってろ」

 タバコをくわえて吸い込むと、宵闇の指先がタバコに伸びて来た。そして、タバコをつまみ上げて、正面からすっと顔を寄せて来て呟く。

「ありがとう」

 あまりの近距離に驚いてフリーズしていると、耳元に寄せられた唇が、更に小さな声で囁いた。

 …小さ過ぎて聞こえねぇわ。

 15年もドラム叩いてんだよ、こっちは。聴力的に言えば、あんまり耳は良くねぇ。

 これ、ただの呼吸音だ。

「は? なに? 聞こえねぇ」

「えっ」

 宵闇はすっと離れて、目を丸くする。何言ったかは大体予想がついてるんだけど、マジで聞こえないから。かなり思い切って言ったんだと思うけど、悪い。

「俺、耳あんまり良くねぇからさ」

「…あ、そう、なんだ…」

「タバコ返せよ」

「…はい」

 持ってたタバコを素直に俺に差し出す。受け取って、もう一度くわえて吸い込む。ヤツはまた気が抜けた表情に戻ってる。せっかく男前に戻ったのにな。

「ラジオ何分っつったっけ?」

「30分だよ」

「ふーん。俺、どのタイミングで挨拶すんの」

「最初。始まってすぐに紹介するから、そのタイミングで」

「りょーかい。その後は?」

「ライブ告知とリリース告知。時間余ったらレコーディング裏話、って綺悧には言ってある」

「はいよ」

 宵闇は肩を落として大きなため息をつく。笑っちゃ悪いんだろうけど…笑っちまうな。いや、俺だってからかうつもりじゃねぇんだけど。昨夜からずっとこの調子だもんな。

 これを、どこまで運良くかわせるか。

 でも、いずれどっかではっきりさせなきゃなんねぇんだろうな。

 まあ、それまではこのまま行くか。

「ラジオは割とゆるい感じでやってるから。俺はあんまり喋らないけど」

「そうなんだ?」

「ダメならカットするから、お前は好きなように喋ってくれ」

「おう、よろしくな。じゃ、もう一回」

 タバコをくわえて、両手で宵闇の頬を包む。

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