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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
71/232

20-2


「大丈夫」

「水もらってもいいか?」

「入れて来てやるよ」

 いや、お前の目、半分しか開いてないし。

「自分でやるから、お前もうちょっと寝とけよ」

「いや…」

 両掌で両方の頬をパンっと叩き、宵闇は立ち上がる。

「お前こそ座ってろよ。水でいいのか? コーヒーとかお茶とか」

 おっ、寝起きいいな。もういつも通りの顔に戻った。

「二日酔いだから、水がいい」

「頭痛いのか? 大丈夫か」

「ちょっと頭痛くて、胃がムカつくくらい。そんなひどくねぇけど」

 俺がベッドに腰掛けて答えてる間に、宵闇は部屋の隅のウォーターサーバーで水を汲んで、グラスを持って来てくれる。

「サンキュ」

 冷たいグラスの感触が気持ちいい。一口飲むと、一気にさっぱりした気分になる。二日酔いになる度に、酒は控えようと思うんだけどさ、なかなかそうもいかなくてな。

「何かいるか? 薬とか」

「あー、それはいらねぇ。水飲んで大人しくしてりゃ治る」

 今日くらいの程度だったら、まああと一時間もじっとしてりゃ大丈夫だろう。今何時だ。時計を探すと、枕元に目覚まし時計がある。これもピカチュウじゃねぇか。9時か。ちょっとゆっくりさせてもらって、それから自分ちに一回帰ってシャワーと身支度して出れば、ミーティング開始に間に合う。

「朝飯食うか? 大したもんはないけど」

 宵闇は、俺の頭を軽く撫でながら俺の顔を覗き込んで優しく聞いてくれる。

 何かなー、これなんて言うのかなー。…こういうことされても、割と嫌じゃないんだよなぁ。

「いや、ちょっと無理だわ。ありがとな」

「そうか。じゃあ、水もう一杯入れてやるよ」

 そう言って、俺の手から空になったグラスを取ってもう一度ウォーターサーバーに向かう。

 宵闇も、部屋着はスウェットなんだなぁ。結構、普通…っていうか、そのグレーのスウェット、ワンピースじゃん。ピカチュウと言い、ワンピースと言い、趣味がちょっと子どもっぽい。面白ぇな。

「なぁ、お前ピカチュウ好きなのか?」

「ん? …ああ」

 ピカチュウの大群に目をやってから、俺にグラスを手渡して照れくさそうに笑う。

「子どもっぽいかなと思ってるんだけど、やっぱ子どもの頃から集めてるのがやめらんなくて」

「めちゃめちゃやったもんなぁ、ポケモン」

「だろ?」

 俺ら世代はガキの頃からポケモンで育ってるから、気持ちはわかる。

「俺も、リザードンとか見るとちょっと欲しくなるもんな」

「な? まあ、いい加減店で買うのは恥ずかしいから、今は通販ばっかりだけど」

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