19-13
「で、こう」
宵闇がその右手をこっちへ伸ばして来たから、俺も左手を差し出す。
「こうやってくっつける」
親指同士、人差し指同士の指先を触れ合わせると、そこにハートマークが出来上がった。
「あー、なるほどな。そういうことか」
「多分、夕の見た目だとこういうリクエストありそうだから、覚えとくといいよ」
「おう、サンキュ」
素直に礼を言う。自分の見た目を考えると、それは否めない。俺は宵闇とか朱雨みたいな所謂カッコいい、じゃなくて、ちょっと童顔だって自覚はある。宵闇のとこに来るファンと、俺のとこに来るファンじゃ層が違うだろうってこともわかる。
「あ、これ写真撮ろう」
「あ?」
宵闇は手元にあったスマホを持って、もう一度右手を伸ばしてくる。
「いや、何の為に」
「可愛いだろ」
「何がどう可愛いんだ! ツイッターにも使えねぇだろ!」
「使わないよ? 俺のイメージもあるからな」
「じゃあいらねぇだろ」
わけがわからん。いや、わかる。こいつは俺との記念写真的なものが欲しいだけだ。きっとそうだ。もうわかったから、もういいだろ。
「ほら、夕、左手貸して」
「だが断る」
宵闇は微笑んだまま首を傾げる。首を傾げたいのはこっちだ。お前はファンか。
「夕」
「あのなぁ」
「手元だけだから、いいだろ?」
…手を握られるわけでもないし、いいっちゃいいけど。何かもう、スタンバイしてる宵闇の右手が恥ずかしくなってきた。俺は仕方なく左手を出す。さっさと撮らせてこれは終わらせよう。
互いの指が協力してハートマークを作ると、宵闇はそれを写真におさめて満足そうにスマホを置く。やれやれ。
「あとはどんなリクエストが来る」
参考にいくつか聞いて、心の準備をしとかないとな。来月にはインストアイベントがあるんだから。チェキあるらしいし。
「バックハグとか良くあるかな」
「ばっくはぐ? 何だそれ」
「知らないか」





