19-9
俺はビールを煽りながら、里芋サラダをつまむ。飯と酒が美味けりゃ何でもいい。ジョッキはあっという間に空になる。
「頼もうか?」
気を利かせてそう声をかけてくれる。
「ああ」
「同じでいいか?」
俺が頷くと、宵闇は呼び出しボタンを押す。
「お前、彼女とかいる?」
突然の質問。危ねぇ。ビール飲んでたら鼻から吹き出すとこだったわ。
「別に? いねぇけど」
いるならバレないようにとか、そんなような話だろ。そうだと言ってくれ。
「良かった」
ほっとした様子で微笑む。いいからお前も飲み食いしてくれ。ずっと手が止まってるぞ。
「出来てもバレないようにすっから、心配すんな」
「それもそうなんだけど、リーダーとしてじゃなくて個人的なしつも」
はい、ノック来た! 外で会話を聞いててタイミングはかってくれてんのかぐらいのファインプレーだ。MVPやってもいい。
店員は串盛りと鮪の唐揚げと秋刀魚の塩焼きを並べ、空いた刺身の皿と小皿を下げる。そして、生中の追加オーダーを聞いて下がる。
料理揃っちまった。
焼き立ての秋刀魚から、香ばしくて美味しそうな匂いが上がってる。
「秋刀魚食おうぜ。秋だもんな」
箸を伸ばす。が、俺は丸ごとの魚食うの下手なんだよな。箸でつかんだ身をむしり取って口に運ぶ。塩加減も絶妙だし、最高に脂ののりがいい。家でなかなか魚なんか焼かないから、これはありがたい。
「お前、もしかして魚むしれないのか?」
宵闇は可笑しそうに笑いやがる。
「うるせぇ。こういうのは丸ごとかぶりつくもんだろ」
やったことないけどな。
「苦手なんだろ。しょうがないな」
そう言うと、箸を取って器用に身と骨を取り分けて行く。
「ワタは食えるのか?」
「ワタ?」
「内蔵だよ」
「それはちょっと」
あれ、見た目もグロいし、食える気しないんだよな。大人になったら味がわかるとか言うけど、それなら俺はガキでいい。
「じゃあ、そこは俺が食べよう」
「ああ、食え」
「皮は付いてても」
「その方が好きだよ」
そう答えると、宵闇は綺麗にほぐした身を箸にとって差し出して来た。





