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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
58/232

19-3


 今度は更に早いな。1コール切れないうちに出た。

「着いたか?」

「ああ、どこにいる?」

「マックの前にいる」

 予想した通りだ。既に俺はそっちに向かって歩いてる。

「OK。すぐ行く」

「待ってるよ」

 いや、待ち合わせなんだから待ってて当たり前だろ。

 通話を切って、歩いて行く。宵闇の姿はすぐに見えた。あいつも俺に気付いてこっちに向かって歩いて来る。

「おつかれ」

 宵闇は笑って俺を迎える。

「おう。飯はどこ行く?」

 腹減ったし、とっとと飯食いに行こう。

「あそこのさ、ゆるりって居酒屋行ったことあるか?」

 宵闇の指さす先のビルを見るが、そこには入ったことがない。大体、この辺で呑む時は鳥貴族とか庄やとかだな。

「ないな」

「行こうぜ」

 今日はぐいぐい来るじゃねぇか。どこ行くか考えるのもめんどくさいから、ちょうどいいか。

「ああ、行こう。腹減ったわ」

「俺も」

 宵闇はにこにこしながら、俺の手元に手を伸ばす。

「持ってやるよ。重そうだな」

 俺が下げてるバッグの把手をつかんで引く。あれこれと講義の為の資料や小物が詰め込んであるバッグは、確かに結構重い。重いけれども。どう見ても、宵闇の方が俺より断然ひょろくて筋肉もない。持ってもらうのおかしいだろ、これ。

「いやいい、自分で持つし」

 バッグを引くと、宵闇はいったん手を離し、今度は反対の手で俺の空いてる手をつかむ。

 は? どういうことだ。

「じゃあ行こう」

「はあ?」

 宵闇は有無を言わせず俺の手を引いて歩き出す。何なんだこれ。ちょっとビックリした俺は、抵抗出来ずにそのまま引っ張って行かれる。

 大通りを渡って向かい側のそのビルにすぐに到着し、宵闇はきょろきょろと入口を探す。

「あ、ここか」

 1階に入っている店舗の脇に入口があって、そこを入るとエレベーターがある。タイミング良く1階で待機していたそれに乗り込み、宵闇が最上階の10階のボタンを押した。すぐに扉が閉まり、エレベーターは動き出す。

 つかまれたままだった手をそっと引く。大して力は入っていなかったし、抵抗なくヤツの手は離れた。もう一回握ってくるってことはなくて、特に何のリアクションもない。

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