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「おう、やって来い! 楽しみにしてるわ」
がっちり握手を交わす。ほんと、ここはいい先生ばっかりだ。
長崎さんも名古屋校の卒業生で、ここでギター科の講師をやってるし、同じくマヤバンドのもう一人のギターである山田先生も名古屋校の講師だ。
缶コーヒーを飲みつつ、今日の学生との面談の内容を伝える。普段から接することの多い高井先生に話しておけば、後から助けになるかもしれない。
話が一段落ついたところで、何気なくスマホを見る。19時30分か。
てか、宵闇か。LINEの通知。
開いてみると、「おつかれ。飯行かないか?」って入ってる。これ何時だ? 一時間前か。
とりあえず、時間だし退勤しよう。
「じゃ、先生、今日はこの辺で失礼します」
「おつかれ。気を付けて帰れよ」
「はい、ありがとうございました」
頭を下げ、荷物を持って表に出る。
飯か、どうしようかな。一時間前じゃ、宵闇も流石にもう食ったかな。
電話をかけてみる。
2コール目ですぐに出た。
「おつかれ、夕!」
「おう、おつかれ。今仕事終わったわ」
「そうか。飯は?」
「まだ。お前は」
「まだだよ」
俺の返事を待ってたのか? どっちにしろ、こいつも食ってないなら、一緒に飯行ってもいいな。
「じゃ、行くか」
「夕はどこにいるんだ?」
「御茶ノ水。今からそっち帰ると…30分ちょっとか」
「車?」
「いや、今日は電車だよ」
「じゃあ呑めるな」
何でお前がちょっと嬉しそうなんだ。ほんと訳分からんやつだな。
「お前呑まねぇだろ」
「夕は呑むだろ? 駅で待ってるから、着いたら連絡してくれよ」
「わかった。じゃ、後でな」
通話を切って、駅に向かって歩き出す。
そういえば、あいつから最初に用件言ってくるのは珍しいな。珍しいってか、初めてだ。いつも「何してる?」の定型文しか来ないのに。
って言っても、飯だからな。そりゃそれくらい言うか。
METALLICAのマスターオブパペッツをBGMに、中央線と京浜東北を乗り継いで最寄り駅で降りる。歩きながらイヤホンを外して、宵闇に電話をかける。





