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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
55/232

18-3

「お前が来られないのは知ってたし、そこで気を回すな。わけがわからん」

 自分が行けないかわりに花束をって、何だそれ。…ん? 何かそんなようなことを聞いたような。

「ごめん。次からはスタンドだけにする」

「ああ、そうしてくれ」

 …リュウトくんだ。リュウトくんが「行けないけど頑張れ、俺がそばにいると思って」じゃないかって言ってたんだったな。

 ……何だよ、当たりなのか、あれ。

 まあ…その気持ちは、ありがたくなくもないか。

 何となく、イライラと昂ってた気持ちがすっと落ち着く。

 あー、宵闇、俯いちまってるよ、情けない。

「ま、アレだ。それはそれでサンキュー」

「夕?」

 少し明るい声で俺の名前を呼ぶ。

「でも、マジで気まずいからもうやめてくれ」

「わかった」

「応援はLINEとかで頼むわ」

「そうするよ」

 満面の、笑み、だな。前髪かかってても何となくわかるようになって来た。手を伸ばして、ヤツの前髪をつかんで上げる。いい笑顔だなおい。俺も何か笑えてきた。

 ポケットからスマホを取り出してロックをはずす。

「宵闇、イケメンに戻れ。写メ撮る」

「ん?」

「持てよ、俺自撮り苦手だから」

 宵闇はそれを受け取って、カメラを起動する。それから、斜め上に画面を翳す。

「まだへらへらしてる! ツイッターに載っけるからキリッとしやがれ」

 まだ何回かしかツイートしてないけど、一応ツイッターやんなきゃいけないことは覚えてんだよ俺も。

 宵闇はきゅっと唇を引き結んで、乱れた前髪を直す。

「夕、もうちょっとこっち」

 微妙にフレームアウトしてる俺の肩を、宵闇がぐいっと抱き寄せた。画面の中にぴったり収まる。

「撮るぞ?  3、2、1」

 シャッター音が鳴る。見事な角度で写った宵闇に比べると、俺はちょっと微妙だな。

「もう一回」

「ああ、じゃ、3、2…あっ、夕、顎上がってる」

「うわ、またか!」

 なかなか顎を引くってことを覚えられないな、俺は。ぐっと顎を引いてレンズを見る。

「うん、その角度が一番綺麗だ。よし、3、2、1」

 2回目のシャッター音。今度はよく撮れた。宵闇と並んでも遜色ねーじゃん。

 撮れた画像を確認して満足する。

「俺にもそれ送っといてよ。俺もそれでツイートするよ」

「おう」

 その場でLINE経由で宵闇に送る。

「じゃ、宵闇は行ってよし。セッティング終わったらまたそっち行くから」

「ああ。こっちはまだまだかかるから、ゆっくりでいいよ」

「OK。後でな」

 宵闇はまたにっこりと笑うと、軽く手を振ってドアを出て行った。

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