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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
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18-2


「宵闇、ちょっとこっち」

 宵闇に手招きをして、スタジオを出る。そのまま1スタに招き入れてドアを閉める。

「何だ? 手伝いか?」

「お前に手伝ってもらわなくてもセットくらい組めるわ。じゃなくて」

「なくて?」

 搬入を手伝ってもらったスタッフは4スタに戻ってるから、今ここには誰もいない。宵闇はプライベートの時の優しい表情に戻ってる。俺はこっちの顔も好きなんだけどな。でも、宵闇のパブリックイメージを考えると、こんなふわっとした表情は表では出せない、とつくづく思う。

「花!!」

「はな…ああ、あれな」

 レコーディングに完全に持ってかれてて、今朝までうっかり忘れてた。ディスコードのライブの花束の件はツッコんどきたかったんだよ。

「ディスコードのメンバーからは、礼を伝えてくれって言われた」

「どういたしまして。夕が世話になってるから」

「それはいいんだよ。花束が余計だろ!」

「あれは…個人的に」

「バカだろ。なぁお前バカだろ」

「何で」

 宵闇はまったく理解してない様子で首を傾げる。あのなぁ。

「俺はサポートなんだよ。メンバー差し置いて花束が届いていい立場じゃねぇよ」

「だから、ディスコード宛でスタンドを」

「ちょっと待てそっちがついでか!?」

 完全に話がおかしいだろ、それ。

「いやぁ…何て言うか……」

 確かにこいつはディスコードと面識ねぇんだから、ついでかもしれない。ってか、ついでじゃねぇだろ。バンドメンバーが世話になってるバンドに花贈るのは、面識関係ねぇし。そもそも俺に花束を贈る意味がわからん。

 宵闇の視線は空中をさ迷っていて、何て言うかの続きが出て来ない。

「どっちがついででもいいわ、この際。何で俺宛に花束だよ」

「…応援?」

「ファンか!」

 何だよその純粋なるファンみたいなやつ。こいつ、そういう習慣があるのか。

「いつもそういうことしてんのか」

「いや、初めてだけど」

「意味わかんねぇよ。めちゃくちゃ気まずかったんだぞ」

「それは…ごめん」

 ちょっとしゅんとする。そうだ、反省しやがれ。

「レコーディングじゃなきゃ、行きたかったんだけどな」

「それはいいけどな…」

「行けないかわりにと」

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