表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
42/232

15-2


「話すくらいは大丈夫だけど、歌となるとほぼダメなんだ」

「そうか…」

 レコーディングの突然の変貌に着いてこられなかったか。でも、着いてこられないからと言って、綺悧だけを置いてけぼりにするわけにはいかない。

 何とかしないと。とにかく、行こう。行ってどうにかなるのかならないかは別だ。会ってみないことには始まらない。

「宵闇、今からそっち行く」

「来てくれるのか?」

「ああ。俺が行くまで、綺悧はそのまま休ませろ」

「わかった」

 すぐに電話を切り、少し考える。俺には、ヴォーカリストにとって良いことが何かはわからない。それなら、ヴォーカリストに聞くのが一番だろう。

 連絡先をスクロールし、電話をかける。

 日本にいればいいな。海外でもかかるっちゃかかるけど、時差がある。

 数回コールの後、向こうが出た。

「おつかれ、優哉くん。なぁに?」

 少しだけハスキーな、艶っぽい声。話し声もいいんだ、この子は。

「マヤちゃん、今どこ?」

「日本よ?」

 良かった。スパイダーリリーは海外遠征も多いから、ちょっと心配した。

「あのさ、うちのヴォーカルが」

「うちの?」

「ああ、そう、こないだバンドに入ったんだけどさ」

 そういえば、それから連絡取ってなかったな。ただ、それを詳しく説明してる暇はない。

「レコーディング中にヴォーカルの声が出なくなっちまった。どうしてやればいい?」

「大変じゃない! どんな感じなの?」

 マヤちゃんは驚いた声を上げる。ヴォーカリストにとって、それがどんなに致命的なことか、辛いことかは、俺よりこの子の方がよほど感じ取れるはずだ。

「まだ直接会ってないから詳しくはわかんねぇけど、突然音域が狭まって、話せるけど歌えないらしい」

「レコーディング長引いてるの?」

「いや、まだ3日目なんだけど、マヤちゃんみたいにトレーニング全然出来てねぇからさ」

「そうなの。うーん、そうだなぁ…」

 唸りながら、少し間があく。

「この時間ならドラッグストアまだ開いてるわよね。響声破笛丸ってヤツ、喉にいいから買ってあげて」

「きょうせい…?」

「響く声に破壊の破、笛、丸。言えば出してくれるわよ。結構速効性あるから。あと、マヌカハニー。コンビニにあるのど飴のでもないよりいいかな。この時間からほんとのマヌカハニーは間に合わないわ。あとは、私の場合は何かあったかい飲み物。コーヒーとかお茶じゃなくて、はちみつレモンとか」

 流石、当代随一の鋼鉄の歌姫。頼りになる。その3つを記憶に叩き込む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ