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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
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12-4


 冷蔵庫の卵を一つ出して差し出してやる。

「これやるから」

「卵か…じゃあしょうがないな…」

 何だ、簡単に買収出来たな。

 互いに目を見合わせ、吹き出す。いい大人がバカなことやってるのがおかしくなってきた。

 宵闇は卵を受け取って、洗いカゴから取り出したドンブリに入れる。それから、きちんと並べた手羽先をトースターに入れた。

 俺は新しいタバコに火をつけ、少し残ってたビールを飲み干す。もう一本いこうかな。

 そうだ、Arch EnemyとEvanescenceのCD出しておいてやらねぇと。

 部屋の壁を占拠してるCDラックに向き合う。一応、アルファベット順になってる、はずだ。たまに適当なことするから、ちょっと自分が信用ならんが。

 デジタル配信が一般的にはなってるけど、俺はやっぱり現物があるのが好きなんだよなぁ。資料や参考で聴いたりする時は、アップルミュージックなんかを使うこともあるけど、好きなアーティストの作品は必ずパッケージで買う。

 指でCDの背を順に辿る。

 キッチンではトースターがチン、と音を立てる。いい匂いもして来た。

 CDで貸してくれってことは、宵闇もCD派なんだろうな。何となく信用出来る気がする。

 Arch Enemyは…とりあえずこのベスト盤がいいだろう。Evanescenceは最新盤のこれで。まあ、レコーディングもあるし、そんなにたくさんは聴けないだろう。

 ライブアルバムとDVDもいるかな。そっちはまた今度でいいか。

 トースターがまた音を鳴らす。

 ああ、こいつにはGALNERYUSも聴かせときたいな。絶対勉強になる。

 聴かせたいCDを選んでたら、キリがない。どれもこれも聴かせたいものばかりだ。何せ、俺が選び抜いたアーティスト揃いなんだから。

 振り返ると、テーブルにはあっためられた手羽先と、宵闇の分のチキンラーメン。卵がいい感じにほんのり白くなってる。美味そうだなぁ…俺も食おうかな。

 俺はCD2枚を宵闇に渡しながら座る。

「Arch EnemyとEvanescence」

「サンキュ。聴いてみるよ」

「おう。それと」

 テーブルの上のペンスタンドに引っ掛けてある髪ゴムを取って、これも宵闇に渡す。

「俺と飯食う時は、前髪しばれ。うっとうしい」

 宵闇はちょっと驚いた顔をしてから微笑んで、前髪をかきあげた。

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