12-3
「夕、アルミホイルは」
「はいよ」
流し脇にある、もう何年ものだかわからんくらいのアルミホイルを手渡すと、宵闇がパリパリとちぎってトースターのトレイくらいのサイズにする。
食いたいっつったのは宵闇だし、やらせとこう。
冷蔵庫からビールを取り出して、呑みながら皿を出す。箸はいらねぇよな。食った後の骨は…コンビニ袋に直で放り込むか。
宵闇は何回かトースターに手をかざして温度を確かめ、中にホイルを敷く。
「25本は並び切らないな」
「積んじまえよ」
「マジで? 下になったのがあったまらない気がするけど」
「上も下もヒーター付いてんだから、大丈夫だろ」
「確かに」
宵闇は頷いて、手羽先を積み上げる。それから、もう一度パッケージに目をやる。
「1、2分…これやっぱり重なってるとあったまりきらないだろ」
「ちょっとくらい冷えてても構わねぇだろ」
割と細かいとこ気にするヤツだな。キンキンに冷えてなきゃ上等だろ、こんなの。
「せっかくお前が買って来てくれたんだから、ちょっとでも美味く食いたいだろ」
「そんじゃ、お前に任せるわ」
手間かけるのは俺じゃないし、まあいいか。
「何か箸とか貸してくれよ」
「その辺の適当に。皿はこれな」
洗いカゴに干したままの箸を指で指して、皿は出しておいたのを渡してやる。
「サンキュ」
宵闇は箸を持って、25本の手羽先を二手に分け始める。
そういや、俺は途中で寿司食ったからそこまで腹減ってねぇけど、こいつ何も食ってねぇな。足りんのかな。だからって手羽先を全部は譲ってやる気はないけど。半分は俺のもんだ。ここの食ったことねぇし。
何か出してやれるような食いもんあったかな。流しに置きっぱなしの空き缶に吸殻を捨て、買い置きを置いてある流しの下を開けてみる。
「宵闇、チキンラーメン食うか」
「チキンラーメン?」
俺がチキンラーメンを差し出すと、心底意外そうな声でチキンラーメンを復唱する。
「お前、今日全然食ってねぇだろ。その手羽先、半分しかやらねぇからな。足りねぇ分はチキンラーメン食っとけ」
「悪いな」
宵闇はにこっと笑う。にこっと笑うのな、こいつ。ヴィジュアル系のクセに。
「ポットはそこ。ドンブリはそこの洗いカゴの中」
「鍋は」
「贅沢言うな」
こいつ、チキンラーメンは鍋で煮る派だったか。俺はドンブリで3分派だ。こいつは戦争だな。





