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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
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10-4


 ただ、かなり通るハイトーンを持っているのと、音感は悪くなさそうなのが強みだ。これは、簡単には身につかないから、それだけでも良い。

 こいつは、これが終わったらボイトレ地獄に叩き込まねぇとな。改めて基礎の裏打ちが出来たら、ベルノワールの顔として申し分ない。

 てことは、日数的には…。

「オーヴァーダビングとリテイクの時間ねぇじゃん」

「何とかあと2日もらった」

「やるじゃん」

 ちゃんと計算出来てるな。よし、それでこそプロデューサー。リリース日は決まってしまっているから、このもぎ取った2日は限界ギリギリだ。

「で、今日は何時までやんの」

「何時になるかな。このペースだと…キリがつくのは2時頃かな」

「頑張れよ。俺は寝るけど」

 気配を感じて隣のベッドを見ると、いつの間にかシャワーを浴びて来たリュウトくんが、髪を拭きながらまたニヤニヤしてる。

 あーもう、思い出しちまった。

「ああ、おやすみ。明日名古屋だろ?」

「おう。何か土産いるか?」

 何となく、ノリで聞いてみる。こいつも名古屋人なんだから、特別土産が欲しかったりしないだろうけど。

「そうだな、手羽先」

「はあ? 手羽先?」

 そこはういろうとかゆかりとか言うとこだろ。手羽先が土産って。

「明後日の帰り、新幹線だろ?」

「ああ、そうだけど」

「エスカで売ってるから、よろしくな。風来坊だぞ」

 手羽先つったら山ちゃんだろ。

「そんな日持ちしねぇもん」

「受け取りに行くよ。か、スタジオ来いよ」

「はぁ…」

 ため息をつく。そこまでして手羽先食いたいか、こいつは。しゃあねぇな。

「時間あったら寄ってくわ。おやすみ」

「楽しみにしてる。ゆっくり休めよ」

「おーう」

 耳からスマホを離し、画面を見見る。秒数のカウントはそのまま止まらない。あれ、あいつ切らないな。10秒ぐらい画面を見つめ、まだ止まらないからこっちから切る。

「絶対付き合ってるっしょ」

 リュウトくんのニヤニヤが止まらない。おいおい勘弁してくれよ。

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