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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
25/232

10-2


「へー。見てもいい?」

「いいよ。大した内容ねぇよ?」

 リュウトくんは俺のスマホを受け取り、画面をスクロールして、吹き出す。えっ、何でこんなめっちゃ笑ってんの。

「ちょっとさぁ、用もないのに毎日LINE入って来るわけ?」

「そうなんだよ。今レコーディング中で、他のメンバーのケツ叩いてるからヒマじゃねぇはずなんだけどな」

「寂しがり屋なのかな」

 リュウトくんはまだくすくす可笑しそうに笑ってる。

「いや? 知らねーけど、毎日メンバーの誰かとは会ってるし連絡もとってるんだから、寂しかねぇだろ」

 ほんとさぁ、聞かなきゃレコーディング状況も言わないし。俺が聞くから結果的に業務連絡になってるけど、聞かなかったら全然意味ないぞ。

「ふぅん…そんな忙しいのに、会えないか、とか言って来るんだ」

「多分、バカなんだろ」

 適当にそう答えて、立ち上がる。汗もかいてるし、さっさと風呂入って寝よう。明日は名古屋だし。

「そうかな?」

 どっか含みのある、リュウトくんの口調。振り向くと、ニヤニヤしてる。

「なに」

「何でゴリゴリのヘヴィメタルな優哉が、キラッキラのベルノワールに入ったの。全然、優哉のレベルに合ってないしさ」

 俺がベルノワールに入ったって聞いて、リュウトくんも音源を聴いてみてくれた。余りの下手さにひっくり返ってたけどな。

「ん? ああ…うーん。勢い、かな」

「勢い」

「ああ、オーディションで…つっかかられたっつーか、舐められたっつーか」

「どんな風に?」

「ドア開けた瞬間に、合格って言われた。バカにしてんだろ」

 リュウトくんは、また笑う。笑いごとじゃねぇよ、ほんとに。

「それ、リーダーが? えーと、宵闇くん?」

 LINEの画面を見ながら、名前を確認する。

「そう、宵闇。あいつのワンマンだから、決めるのは全部あいつだ」

「あー、そうかぁ。そうなんだぁ」

「何だよ。何納得してんの」

「だってさ、絶対宵闇くん、優哉が好きじゃん」

「はぁー? どの辺が」

「全部、全部。用もなく毎日欠かさずLINE、時間割いて会いたい、他の人に会ってても優哉に連絡」

「いや、ないない。ないわ。ない」

 それは考えたこともない。別に男に好かれたら嫌だとかそういうんじゃないけど。宵闇のことは、一緒にやってみてもいいベーシストだと思ってる程度だ。そういう、恋愛っぽいのは想像してもみなかった。

「ありありじゃん。優哉は全然かもだけど、宵闇くんは完全に惚れてるね」

「そうかぁー? 俺が入ったばっかだから、コミュニケーションとろうとかそういうヤツだろ」

「それなら、メンバー全員で呑みに行こうとかそういう感じにならない? バンドなんだからさぁ」

「あー…」

 それは、確かに。宵闇以外とは、オーディションの日以来会ってないし、連絡もとってない。つーか、連絡先も知らねぇわ。

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