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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
24/232

10-1


     ◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇





 ラーメン食いながら、宵闇は「そういえば」とハロウィンイベントライブに緊急出演が決まったって教えてくれた。

 そういえばじゃねぇだろ、それ。寧ろそれ用件だろ。緊急出演なんだから緊急だろ。

 あと一ヶ月弱か。

 レコーディング終わったら、すぐにリハに入る日程になるな。回数は少なそうだ。俺は急なサポートの仕事とかには慣れてるから対応出来るけど、あいつらが俺に慣れてくれるかが問題だ。

 宵闇にはさっさとセットリストを作れって言っといた。ディスコードのライブと、ベルノワールのレコーディングの合間にマスターしとかなきゃいけない。時間はあんまりないし、大きな改変は控えてやろう。宵闇はともかくとして、礼華たちが着いてこれねぇだろうから。

 次の日も、宵闇はLINEを寄越してきた。またしても用はないっつーから、こっちからレコーディングの様子を聞いた。それを伝えてこいよな。

 礼華のレコーディングは、案の定伸びた。予定の3日間で2曲しか録れなかった。予備日は本来4日しかないっつーから、かなりヤバい。まぁ、そこの調整もプロデューサー様に頑張ってもらうしかないからな。理想形が見えかけてる今、今回はどこまで妥協するかだ。欲が出るのはいいけど、欲張り過ぎになるとバンドが動かなくなる。

 今後は、もうちょいこういう日程も考えてもらって、リハーサルも増やすようにしていかないと。今までみたいに適当に録ってミックスで誤魔化す手法は通用させない。

 そんなこともありつつ、俺の個人練習はちゃんと成果があがり、不安材料はクリアになった。

 今日はディスコードのライブ初日、大阪だ。初日だけどトラブルもなく、しっかり盛り上がった。一曲が割とどれも長めだからいつもはアンコール1回なんだけど、今日は特別に2回。その分体力は食われたけど、テンションが勝った。

 ライブが終わってから、メンバーと軽く呑みがてら飯を食って、ホテルに帰って来たのは日付が変わる頃。

 部屋に入って、ふと尻ポケットのスマホに気付く。さっきまでメンバーと話が盛り上がってたから、存在を忘れてた。

 ベッドに座りながら取り出して、ずらりと並んだ通知をスクロールする。

 相変わらずのいらないDMの山と、アプリの通知。この、メトロノームアプリからの通知とかマジでいらないんだけど。どうやって切るんだっけな、めんどくせぇ。

 LINEもいくつか入ってる。…いくつかって、これ、全部宵闇じゃねぇか。

「そろそろライブ始まるな。頑張れ」

「終わった頃か。どうだった?」

「飯食ったか?」

 …何だこれ。ほんとあいつヒマか、っていうか、今日は前半で礼華を片付けてそのまま朱雨のギター録りだろ。全然ヒマじゃねぇだろ。絶対今頃までかかりきりのはずだ。

「バカだな…」

 思わず呟くと、同室のリュウトくんが振り向く。

「何が」

 30代後半がメインのディスコードの中で、一人だけ20代のリュウトくんとは結構気が合う。ツアー先のホテルは、大抵同室だ。確か俺より2つ上だから…宵闇と同い年か。この歳でディスコードの正規キーボーディストだ。これはかなり凄い。日本で十本の指に入るキーボーディストって言っても差し支えない。

「いや? これ」

 LINEの画面をリュウトくんに見せる。別に隠すような内容は一切ないしな。

「ん? 優哉、彼氏?」

「はぁ? ベルノワールのリーダーだよ」

 確かに彼氏っぽいわ、このLINE。考えたこともねぇけど。言われてみりゃ、確かにすげぇ彼氏面だ。

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