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Hate or Fate?  作者: たきかわ由里
23/232

9-4


「餃子もそれで食うのか?」

「ああ。やらないか?」

「やらねぇ。餃子は酢醤油だ」

「やってみろよ」

「あー? じゃあ…一個だけな」

 宵闇の取り皿から、箸先に少しだけ辛味噌を取って、餃子に乗せる。そりゃ不味かないだろうけど。

 まだ熱いその餃子を口に入れる。火傷しそうな肉汁と、辛味噌が合わさって口の中に広がる。

「…あ…美味いな」

「だろ?」

 宵闇は手元の辛味噌を、俺の取り皿にも取り分ける。いやこれ、割と美味い。やってみるもんだな。

 そこでビールを流し込むと、これがまた合う。ツマミとして最高の部類だ。

「今度からこれで食お」

 俺が呟くと、宵闇はにっこりと笑った、っぽい。顔が良く見えないんだよなぁ。

 ラーメンを食いながら見るともなく見てると、やっぱり長い前髪が邪魔なのか、かきあげながら食ってる。アーティスト写真で見た時もそれなりに綺麗なのかとは思ってたけど、こうやって見るとなかなか顔立ちは整ってるみたいだ。やっぱそれなりに下地があって、あんだけ綺麗に仕上がるんだな。

「ラーメン食いに来る時ぐらい、前髪上げとけよ」

「ああ…そうだなぁ。こうか?」

 両手で前髪とサイドをまとめて、頭の後ろに持って行く。初めて顔全体が見える。ああやっぱり、ほんとにこいつ美形だ。

 少し面長で、細い顎。目は切れ長で幅の狭い二重のラインが鋭く入ってて、鼻筋も通ってるし、色が白い。

 自分の髪をひとまとめにしていたヘアゴムをほどいて、渡してやる。宵闇はそれを受け取って、まとめた髪を結わえる。

 その方がいいじゃねぇか。

「よし、それでゆっくり食えるだろ」

「確かにな」

 笑うと、切れ長の目が線みたいに細くなる。やっぱ狐みたいだ。

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