13/232
5-3
「今からあと2曲叩かせるから、録ってくれ」
それだけをコンソールルームに伝えると、俺にインカムを返してくる。
「何だよ、RiskとWheelは明日以降の予定だぜ?」
「いいから叩け。それが終わったら俺は帰る。後はお前の好きなようにやれ」
「プロデューサー様がディレクションしてくれるんじゃなかったのか?」
ははっと笑うと、宵闇は唇の端をあげて笑顔のようなものを見せた。
「お前にディレクションはいらない。セルフでやってくれ」
「いいのかよ」
「面白くなってきた」
笑顔のようなもの、じゃないな。こいつ、笑ってやがる。
「ベース録りのディレクションはお前に任せるから来い。スケジュールは大丈夫だっただろ」
「俺? まあいいけど」
俺のドラム録りの後、そのまま次の3日間はベース録りの予定だ。確かにスケジュールは入ってない。
「じゃあ、始めろ」
宵闇はくるりと踵を返してコンソールルームに戻って行った。





