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一章2話 救世主
紅蓮のロープが闇夜を切り裂く。
それは並の人間では到底追い付かない速度で。
「一人も死なないうちに殺さないと...」
殺意を宿した緋色の眼。
「攻撃範囲まで後100メートル...50メートル...ここなら!」
すると少女は握りしめた拳を一気に解放し、怪物を終らぬ夢へ誘った。
「対象確認...flamma!」
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考えろ...今の状況を整理するんだ。
奴の一撃は一発でこの家を粉砕してしまった。
俺の頭に狙いが定まった時はそれこそ神のところに逆戻りである。
それはそれでどんな反応が返ってくるか楽しみだが自分の命くらいは大事にしろって先生に言われてたっけ。
ということでなんの反応もない、骨折れの右足を引きずりながら左手にユアを抱えて右手で頭を全力死守する、という壊滅的な絵面が出来上がってしまった。
「ウラァァァァァ!」
来る!
奴が棍棒をおおきく振りかぶった瞬間、それと同時にサイクロップスの体が焼け落ちた。