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ボードゥアン4世を救え!  作者: 登録情報がありません
4/20

#4<サラディン1/2>

そして300年後、時は12世紀。

錬金術は沈静化し、大学の研究室に移行した。

ファーティマ朝時代のアズハル学院という大学だ。

主に神学、法学を学ぶが、鉱物学、植物学分野も豊富だ。


そして欧州から十字軍がやってくる。

次々と陥落する中東の都市。

そしてエルサレム。


十字軍がエルサレムを簒奪したと言われている。

だが実際には少々ややこしい経緯があった。


十字軍がセルジューク朝ダマスカスを支配して南下しつつあった。

当時エルサレムはセルジューク朝の代官ソクマンとイルガジの支配下にあった。


十字軍南下に伴い、セルジューク朝のエルサレムは孤立してしまう。

一方、エジプトにはファーティマ朝があった。


これを好機と判断したファーティマ朝は大軍団でエルサレムを包囲。

セルジューク朝の混乱と弱体化に乗っかってエルサレムを攻撃。


支援のないエルサレムはあっという間に陥落した。

ここにファーティマ朝のエルサレムが誕生する。

治めるのはアル=アフダルである。


アラブ人同士の結束が一番必要な時に、あろう事か、勢力争いに陥っていた。

もしセルジューク朝とファーティマ朝が結束していたら?


エルサレム北側の城壁の崩落もなく、弱点もないだろう。

十字軍も跳ね返す事が出来たかも知れない……。

だがそうはならなかったのだ。


この後、エジプトのイフティハール将軍の治政時代となる。

ここに十字軍がエルサレムに到達し、戦闘となった。


エジプト軍は善戦空しく、敗北してしまった。

エルサレムは十字軍のものとなった。

ここで十字軍は残虐の限りを尽くした。


こうして中東は戦乱の時代をむかえる。


この戦乱の時代に一人の英傑が誕生する。

その名はサラディン。


ここはアレクサンドリアから1550km離れたイラクのモスル。


サラディンはバクダードの北西にあるモスルで生まれる。

少年時代は父の移住に伴って各地を転々としていた。


モスルからバールベックへ、バールベックからダマスクスへ。

少年サラディンは父アイユーブの赴任先ダマスクスで20年を過ごす。


この頃シリアの君主ヌール・アッディーンはダマスクスを併合。

叔父で将軍のシールクーフの紹介もあり、君主の目に留まる。

頭脳明晰にして臨機応変、洞察力もある彼はあっという間に出世した。


サラディンには兄と弟がいた。

兄トゥーラーンシャー。

弟アーディル。


サラディンの兄は弟の出世街道にほとんど姿を現さない。

無能ではなく平凡な人物だったようだ。


少年サラディンは14歳にしてシリアの君主ヌール・アッディーンに仕えた。

非凡な才能を発揮して、騎士の称号と領地を手にしている。

14歳はイスラム世界では帯剣の資格を持つ大人だ。

サラディンは弟アーディルに語る。


サラディン「オレもとうとう1人前だ」


アーディル「すごいよ、兄ちゃん」


サラディン「だがなあ、オレは時々考えるんだよな」


アーディル「なんだい、兄ちゃん」


サラディン「こうやって領地を与えられてさ、不満はないよ」

「でもさ、いつまで続くのかなって思ってさ」


弟のアーディルはじっと兄の顔を見た。

こういう前置きをする兄は変わった事を話し出す。


サラディン「自分の国を持ちたい」

「シールクーフおじさんには悪気はないんだよ」

「北アフリカのエジプトをなんとか手にしたいね」


アーディル「ダマスクスじゃないの?」


サラディン「ここはヌール・アッディーンさんの土地だろ」

「欧州の十字軍がエジプトを攻めれば、うちに援軍の要請が来る」

「それに乗っかってカイロに入城しちゃえばいい」


アーディル「兄ちゃんはいつも抜け目がないね」


サラディン「オレはサラディン」

「サラーフ・アッ=ディーン:誇り高き信義だ」


弟のアーディルはじっと兄の顔を見た。

このセリフが出ると話は終わりなのだ。

1163年十字軍はエルサレムからエジプトに迫った。

当時のエジプトは病弱のカリフに実権はなく、宰相が国を治めていた。


その宰相が政敵の軍部の将軍に国を追われ、シリアに落ち延びてきた。

十字軍が迫っているというのに、今度は内乱騒ぎであった。


宰相はシャワールというアラブ人であった。

軍事政権に陥ったエジプトは、自由も権利も無い。

エジプトを救えば、救国の英雄として、宰相に返り咲けるだろう。


シャワール「5000の兵を持ってエジプトを取り戻したい」

ダマスクス1000+ヒムス1000+ハマー1000+モスル2000でほぼ全軍だ。


アッディーン「それではちと少ない、もっともっと兵を送ろう」

トルコマーン6000+ジャズィーラ3000+クルド4000+アラブ5000=18000


なんと、周辺同盟国や遊牧民騎兵まで出陣させようというのだ。

その合計はなんと正規軍5000+遊牧民騎兵18000合計23000の大軍団である。

シャーワールはぶったまげてしまった。


正規軍はともかく、その他の兵は略奪が目的の雑兵だ。

しかも24000といえばエジプト全土を侵略出来る大軍団である。

ちなみにエジプト正規軍は4000だから、兵力比は約6倍である。


こんな大軍団をエジプトに招き入れたら、どうなるか?

十字軍ではなく、シリア連合軍に国家を蹂躙されてしまう!


アッディーン「どうなされた、お顔の色が青いが」


シャワール「いや、あの、その、頼もしい限りで……」


何の事はない、ヤブヘビだったのだ。


シリア軍は十字軍を撃退しべくエジプトに遠征する。

サラディンは26歳の時に、エジプトに遠征するシリア軍に同行した。


エジプトに到着したシリア軍は政敵の軍部将軍と会敵した。

シャワール「悪く思うな、これもさだめじゃ!」

軍部将軍はあっけなく敗北して、戦死してしまった。


シャワール「勝った!」

シャワールはエジプトの宰相に返り咲いた。


遠征軍の将軍はサラディンの叔父シールクーフであった。

シールクーフ「よし!次は十字軍だ!」

「一緒に十字軍を蹴散らそう!」


シャワール「ほひえれれ……」


シールクーフ「どうした?一緒に蹴散らそう!」


だが、エジプト軍と十字軍は協力して、シリア軍に立ち向かった。


十字軍とぉ???

協力ぅ???

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