#20<近代(3/3)>
宣戦布告とともに、アフリカ合衆国と新大陸は欧州への輸出入を停止。
しばらくは欧州にも備蓄はあるだろうが、決定的に困るのは軍事物資だ。
欧州は植民地がないので、軍事物資の南米ゴムが手に入らない。
中東油田地帯は、アフリカ合衆国の領域で石油が手に入らない。
石油がないので、あらゆる高分子材料が精製、合成が出来ない。
それでも、おそらく1年かそこらは存分に戦えるだろう。
だがその先は?ジリ貧である。
第一次世界大戦は「7日間戦争」と呼ばれた。
1914年セバストポリより52km東のヤルタで会談がもたれた。
このヤルタ終戦会談で終戦協定が締結した。
終戦の条件として、欧州はEU連合を強要され、しぶしぶ承認した。
そして帝政ロシアにも近代化の波は押し寄せていた。
1917年トロツキーが10月革命に貢献し、レーニンに助力。
1918年帝政ロシアのロマノフ朝が滅亡した。
日露戦争敗戦国の日本のマツヤマにロマノフ家全員が流刑となる。
1905年の日露戦争は日本の敗北で終わっていた。
旅順要塞撤退、日本海海戦敗北、奉天会戦敗走……。
ここに日露戦争は日本の敗北に終わっていた。
だがこの敗戦体験はムダではなく、後の日本の運命を大きく変えた。
日本はこれ以降、戦争参加に慎重になり、第二次世界大戦不参加である。
あえて新生ルゥルゥ合衆国の「Occupied Japan」となり、戦禍を逃れていた。
一方ロマノフ家は松山の興居島に封印され、以後歴史には登場しない。
ただ現在もロマノフみかんとロマノフ伊予柑は現地の名物である。
またゴージャスな海の家「ロマノフ」は夏季に海水浴客が絶えない。
夏なのにボルシチの「ロマノフおでん」は海の家名物だ。
1922年ソビエト連邦成立。
トロツキー、ジノヴィエフ、カーメネフらの三頭政治が始まる。
一方、ヨーロッパは慣れないEU連合に二の足を踏んでいた。
EU連合立ち上げで、欧州は共栄+流通+発展を享受出来る。
しかし反面、金融政策制限+出稼ぎ+地域差拡大も背負う。
繁栄を約束しながら、自らがお互いの足を引っ張る。
そのEU連合各国に、アフリカと新大陸は資源を輸出した。
これで莫大な利益を得た新大陸とアフリカ。
だが、その揺れ戻しは突然にやってきた。
新生ルゥルゥ合衆国のニューヨークのウォール街株価暴落が始まった。
1929年世界大恐慌である。
コレが発端となり、連鎖的に世界は不景気に巻き込まれていく。
アフリカ合衆国と新大陸は、主導的立場であらゆる世界市場に強制介入した。
ジブラルタル海峡橋建設などの公共事業、失業者の大規模雇用、工場の過剰生産調整などだ。
いわゆる「ニューディール政策」というヤツである。
特にジブラルタル橋は全長14km、総工費300億ドルというとんでもない大工事であった。
他にはゴッタルドベーストンネル(1881年完成)と英仏海底トンネルを結ぶ「ブルーバナナ経済区計画」もあった。
これは西ヨーロッパの経済興進地区を巨大流通システムで結ぼうという壮大な計画だ。
イングランド、オランダ、ベルギー、ドイツ、フランス、スイス、イタリア。
各国を図形で結ぶとバナナの形に結ばれるのだ。
ブルーなのはEU連合のカラーである。
世界経済は平静を取り戻し、恐慌は収まっていった。
1938年、やはりナチスによるユダヤ人追放運動が始まる。
同年ポーランドはポーランド系ユダヤ人の旅券を無効化する。
これによりドイツ系、ポーランド系ユダヤ人は窮地におちい……らなかった。
ユダヤ人「そんじゃ、祖国に帰るわ」
近代になって建国されたイスラエルがあるので、彼らは流浪の民ではない。
金融業を営み莫大な利潤で膨れ上がった財産と供に、彼らはイスラエルに凱旋帰国した。
困ったのはナチスドイツ、金融業が縮小して、経済が滞り産業が行き詰まってしまった。
未来はグレーゾーンとなったが、まだ暗黒ではないようである。
世界の潮流は新世紀に入ろうとしていた。
これで第1章~第17章の本編、第18章~第20章の蛇足とも終了です。
読んで下さってありがとうございます。




