表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
決闘部  作者: ハルキューレ
天下一部活動会
11/14

ターン10 図書館決闘

記念すべき10話目です。皆様のおかげでここまで来れました。この場を借りて感謝いたします。これからもハルキューレと『決闘部』を宜しくお願いします。

 今日も今日とて降る五月雨、如何お過ごしだろうか読者諸君。先日、宇宙キター(物理)をしかけた赤堀相馬だ。俺達は今、学校の図書館にいる。時刻は放課後を意味する午後4時を指していた。何故図書館に居るのか? 戦争でもするのか?  その答えを、共に探って行こう。



 遡ること三十分前、俺とアキノは帰りのホームルームを終え、部室に向かおうとしていた。

「赤堀君、秋野原さんちょっといい? 」

 安西先生が俺達に一枚の紙を渡してどこかに消えた。その紙には急ぎ生徒会へ来るようにという活字と、生徒会室に赤丸の付いた校内地図が印刷されていた。

「なにこれ、面倒だからばっくれても良いよね? 」  アキノがこちらを見上げる。先日の一件以降『孤高の騎士団団長 ハク』を俺が預かっているため、腰が少し低い。

「生徒会の判子あるから行かないと部にペナルティ入るけど? 」 

 流石に先輩方へ迷惑が掛かる事を考慮し、渋々了承するアキノ。

 生徒会室は一階昇降口近くにある。そこへ足を運ぶ。道中、先輩方へ事情を携帯で説明しておいた。

「ここか」

 生徒会室前に着き、深呼吸をする。アキノが

「相馬、私の髪変じゃない? 」 と慌ててスマホを鏡代わりに身だしなみを整えている。ある一点を除けば気になる所はない。ただそのある一点とは……

 ピョコ

 どれだけ直しても復活する恐怖のアホ毛。何あれ形状記憶? とツッコミを入れるのも面倒なので、

「いつも通りですよいつも通り」 適当に流す。雑に扱われたアキノがご立腹だったが、無視してドアをノックする。少しして部屋のドアが横に動き、前に立っていたメガネの男子生徒に入室を促された。

 促されるまま生徒会室に入ると、右手に資料棚、左手に2,3台のパソコン、中央に比較的新しい机4つと、その奥に年季の入った机と椅子、横にホワイトボード。そこにはホウレン草のイラストが書かれていた。

「会長、お連れしました」

 先ほどの男子生徒が俺達と同じ方向を向いている年季の入った椅子に声をかける。それと同時に、椅子が反転し、会長と呼ばれた男が姿を見せる。

「よく来たね。凡人諸君! 」

 そう言えばこの作品で癖のないやつなんていなかった!



「よく来たね。凡人諸君! 如何にも私がこの県立東高校の生徒を束ね、生徒を罰し、生徒を導く一等星! 生徒の頂点に君臨し、それをまとめる生徒会をまとめる生徒会会長! それこそがこの私、三年B組所属、雅 無双だ。この無双という名前は……」

 長い、あと長い。因みにここからは相馬に代わり私アキノが話を進めます。相馬は会長の話を、ハァ、とかフゥン、とかどっかのゲームの村人みたいな反応で乗り切るので手一杯みたいだから。

 私? 凡人諸君の辺りから聞いてない。細かいことは相馬がやるでしょ。会長の話はここから五分位自分の出生とかだけだったから必要そうな所までカット。

「さて、君たちを呼んだのは他でもない。新聞部についてだ。いや~我々も彼らには手を焼いていてね。下手に動くと被害が拡大しかねない。そんな相手に一歩も引かない小規模部活があると聞いて、しかも部長は一年生と来たからには是非とも会ってみたいと思ったんだよ」

 苦笑いをする相馬。私もだが、今の今まで新聞部の存在忘れてた。校内のゲリラ新聞も最近あんまり見ないし。

「そこで提案なんだが、相馬君。君たち、生徒会の傘下に入らないか? 」

 ピンとこない相馬の顔を見た会長が、先ほどのメガネの男子生徒に目で合図をする。

「では自分から説明を。現在生徒会には幾つかの傘下部活があります。活動内容は変わりませんが、傘下部活は部費が非傘下に比べ多少上乗せされます。本来生徒会で話し合い、全国大会出場等の実績のある部活が傘下部活として認められます」

「生徒会傘下ともなれば新聞部も手出し出来まい。そこでだ、決闘部を傘下とし、新聞部への抵抗の旗印とする。新聞部の被害を受けた中小部活からの君たちへの信頼はかなりのものだ。君たちが御旗となり、彼らが自主的に抵抗するよう促す。こういうことだ」

 詰まり、

・新聞部に生徒会として直接手出し出来ない

・被害部活に立ち上がってもらうため決闘部を傘下に入れる

 成る程、二文で収まる内容を長々しく話すこいつらは正直言って苦手だ。

 どうかな、と聞く会長に対し、

「こちらとしても部費が増えることはありがたいことですので、是非お願いします」 と答える相馬。私も文句はない。ニヤリと笑う会長、何か怪しい。

「細かいことはまた後日」

 その一言で退出しようとした相馬と私を、会長が呼び止める。

「いや~君たちが引き受けてくれて良かったよ。いやなに、この話を他の部長に話したら、そんな訳のわからない部活を傘下にするならウチも、ってもんでうるさいからさぁ、決闘部を決闘部の流儀で倒したらいいよ! って言っちゃったんだよ。というわけだから、これから君たち、他の部活に勝負持ちかけられるだろうからヨロシク!! 」

 は? イマナンテ?

「またまたご冗談を会長閣下」

 ひきつった笑顔の相馬が聞く。

「本当、メンゴメンゴ! あと流石に決闘部対全部活だと可哀想って言ったら弓道部と水泳部が君たちの味方についてくれるそうだよ。良かったね」

 その一言と共にピシャッとドアが閉められる。石化する相馬と私。それを解いたのは、どこからともなく聞こえてくる轟音だった。

「決闘部はドゴジャァイ。出てこいや」

 柔道着を着た屈強な集団がこちら目掛けて走ってくる。

「とにかく逃げるぞアキノ」

 私の手を握り走る相馬。本来なら胸が焦げるシチュエーションなのだが、相馬は生徒会室で緊張していたのか、とんでもない手汗である。今にも滑りそう。てかキモチ悪い。

 その後も私達の行く先々で襲いかかる様々な部活。部室に戻ることも叶わない。特に柔道部の追撃が辛い。アイツら結構足速いんだもん。

「とりあえず、ここから一番近い図書館まで行くぞ。そこなら他の部活も下手には動けない。そこで先輩方や室岡先生と合流しよう」

 相馬の作戦に頷き、一つ上の階にある図書館まで走る。運動は得意な方だが、上履きとなれば話は別だ。正直言って疲れた。

「大丈夫、あと少しだ、アキノ」

 こいつがここまでカッコよく見えるとか一生の恥だ。


 相馬の助けもあり、何とか図書館に着く。空いている席に腰をかけ、先輩方へ連絡をしようとしたその時、

「いたぞ! 決闘部だ捕まえろ」

 声の主はわからない。ただ大勢の生徒がこちらを見ている。部費ってそんなに大事?

 入り口も塞がれている。逃げ場はない。会長は私達の流儀で勝負するよう言っていたが、彼らがそれを守る保証はない。どうしたものか。

「さっきから五月蝿いのよ貴方たち」

 突然席で読書をしていた女子生徒が立ち上がり、私達の包囲陣に啖呵を切る。

「だいたいなんだってんだ。会長から手荒なことは禁止だって言われただろ。そもそもあんたらカードゲームろくに出来ないから強行手段に出たんだろうけど、ダサすぎるよ! 」

「何か今日やけに喋る人に会うな」 相馬が呟く。

「ほら、わかったら帰った帰った。んでそのツルツルな脳でゲームの勉強でもしてきな」

 そう言われ、多くの生徒達が身を引く。図書館は元の静けさに包まれる。

「ありがとうございました。助かります」

 そう言い頭を下げる相馬。

「礼なんて要らないよ。そんなことより私と決闘しなさい。私達文芸部だって傘下狙ってるんだから」

 助けてくれたのはそういうことか。

 彼女、文芸部部長三年、文月さんが提案してきたのは三対三のチーム戦だ。一戦だけじゃ興ざめだろとのこと。体つきはお世辞にも良い方ではない文月先輩。どうやらオカルトチックな本を好むようで陰のオーラをまとい、一部がウェーブしたその髪型も相まって、「図書館の魔女」 と呼ばれているらしい。私は先輩方へこの事を連絡。間もなく先輩方が図書館へと入ってきた。

「ごめんなさいアキノさん。今回の件、部長として事前に知っておきながら、会長の口止めがあったから言えなかったの」

 深く頭を下げる弓衣先輩。

「いいんです。先輩が悪い訳ではないんですから」

 俺は? と不思議がる相馬を放置する。

「とりあえず代表三人決めてもらえますか? 」

 こっちはベストメンバー出揃ってるんだけどとせかす文月先輩。

 話し合いの結果、先鋒弓衣先輩、次鋒ハルナ先輩、大将相馬となった。

「なら早速第一試合はじめよか」

 図書館決闘開始!


「ま、まさか! 」

 驚きを隠せない文芸部先鋒の一年生。カードゲームにおいて大きくアドバンテージが取れるポーカーフェイスを決めた弓衣先輩に弱点はない。

「『ソフィア』でトドメよ」

 まず一戦、私達の勝利。

「なかなかやるじゃないの」

 まだ余裕なのか、不敵な笑みを浮かべる文月先輩。

「うちの部員舐めないでもらえますかね」

 椅子でふんぞり返る相馬。ムカつくから椅子の足を軽く払うと勢いよく滑り落ちる相馬。ついでに変な声出しながら。

 ただ相馬がふんぞり返るのも解る。何故なら次は決闘部最強と名高いハルナ先輩だからだ。ただ当の本人は、

「やだ、尊い。胸が焦げる」

 恋愛小説に相当やられている。不安要素が強くなってきた。お願いだから落ち着いて。


 次回、次鋒戦開始!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ