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第一章 学校


「透様。新しいものを拾って来ました。例の子です。とのことです。」

「そうか、あの子か。俺の推薦で校長にまわせ。」

報告をしている男はわかりましたと言って深くお辞儀をして部屋から出て行った。

「どうなってるかな」


*  *  *


目を開けたら、真っ白だった。外じゃないことだけは分かった。体を起き上らせたら、

「っ!」

体に痛みがはしった。地味に痛かった。ていうか俺、怪我してたんだ。

俺いつ怪我した?

「あっ!起きたんだ。ここは保健室。体調大丈夫?」

「あんた、誰?」

「私は、・・・。そのうちわかるよ。」

「は?」

「あっ!東条先生」

「おぉー起きたか。校長室に行くぞ」

黙ってついていった。校長室に行くまでの廊下は足音すら聞こえなかった。


       *  *  *


「連れて来ましたよー」

「ありがとう。さて、こんにちは。鬼帝唯翔くん。僕はここの校長の杉山薫すぎやま かおるです。」

唯翔は校長を凝視した。ほんわかな人で校長だとは思わなかった。

「これから君はこの学校に入ってもらうよ。」

「・・・」

「反論は無いのかい?」

「あぁ無いね」

「そう。(有っても拒否権はないけど)じゃあ手続きするね。ここは寮生活だから荷物の片付けしていてね。東条君教室までよろしく。」

「はい」

「あと、唯翔君。スクーロ学校へようこそ」

唯翔は会釈した。

唯翔と東条は校長室を出た。廊下を歩いて曲がってまた歩いたら教室に着いた。

「ここがお前の教室だ。ちなみに俺は東条鳳夜だ。中入ったら自己紹介しろよ。」

ガチャ

扉を開き東条は入った。

「おーい。立っている奴席につけ。」

クラスのみんなが席についたと同時に東条が喋った。

クラスの一人が 起立 礼 といい、おはようございますとクラス全員で挨拶をした。

「突然だが、転校生を紹介する。おい。入れ。」

東条は黒板に 鬼帝 唯翔 と書いた。

鬼帝きてい 唯翔ゆいと。よろしく」

唯翔が教室に入るとざわざわと騒いだ。女子、男子ともに。

「なかよくしろよー。席はあそこだ。」

東条は窓側の一番後ろの席を指さした。

そして唯翔は指定された席に座った。

「わからないことは委員長に聞け」

東条は唯翔の返事を待たずに 以上、解散 と言って教室を出て行ってしまった。

「こんにちは。鬼帝君」

「ああ。あんたか」

話しかけてきた少女は保健室にいた子だった。唯翔は驚いてない様子だった。

「何で驚かないのよ」

「保健室を出たときに予想はしてたからな」

「あら、そうなの。私はこのクラスの委員長、祇園ぎおん 華緒里かおり、よろしくね」

唯翔は頷いた。

「昼休み、学校案内をしたいんだけどいいかな?あ、でも班わかんないや」

「・・・。ああ、たのむ。」

唯翔は少し疑問に思ったが気にしなかった。

急に教室の扉が大きな音をたててひらいた。東条がそこにいた。

「あー、忘れてた。鬼帝、おまえは死神班な」

静かになったと思った。が、ほんの一瞬だった。

そのあと騒ぎだした。ありえない 転校初日だぞ などの驚きの声が聞こえた。 一緒だー と華緒里ははしゃいでいた。一方で一人の男子生徒が唯翔に探りを入れるように睨んでいた。唯翔は死神班のことが気になってすぐ近くにいるクラスメイトに聞いた。

「死神班って何なんだ?」


 *  *  *


「死神班って何なんだ?」

クラスメイトはおどおどしていたので代わりに委員長が答えた。

「この学校は名前の通り暗殺者を育成するところ。だから授業内容には暗殺専門授業があるの。そこでは三人行動スリーマンセルが原則。で、そのチームには格付けがあってトップのチームが死神班。ちなみに私とそこにいる風神君が一緒のメンバーよ」

「ちなみに日常生活でもチーム行動だ。」

湊が説明に加わって来た。

「一人が問題を起こすとチーム責任になるからきをつけて行動しろ」

「ああ、わかったが、おまえの名前はなんだ」

風神かぜかみ そうだ。湊でいい。」

と、湊は手を出してきた。

「俺も唯翔でいい。よろしくな湊」

唯翔はその手をとって握った。

「ああ。唯翔。」

湊は握り返した。

「なあ華緒里学校案内待ってくれないか?」

「うん、わかった」

「唯翔、行くぞ」

「ああ」

湊は唯翔を連れて寮に向かった。

「放課後に変更するね」


*  *  *


「ここだ。」

「・・・」

「でかいのは、俺らが死神班だからだ。」

「よくわかったな、俺の考えていること」

「顔を見れは分かるんだよ」

と、得意げに言った。

「唯翔も驚くんだな」

「気をつけるよ」

「隣の部屋はお・・れ・・」

湊は唯翔を見ようとして振り返ったら気が付いた。

唯翔はうつむいていた。その顔は赤く染まっていた。

湊は笑いながら

「さぁ。荷物片づけるぞ」

「ああ」

唯翔は照れながら返事をした。

数時間後

唯翔と湊は荷物をあらかた片付け終わった。

「唯翔の荷物重いし、多かったな」

「悪いな、手伝わせて」

湊は大丈夫だと、言ってニッコリと笑った。

「学校行くぞ」

「ああ、授業だったな。行くか」

唯翔と湊は走って学校に向かった。

午後の授業は数学・国語と続いた。授業はいたって普通だった。


*  *  *


放課後。湊、華緒里、唯翔たち三人は、教室に集まっていた。

「さあ、行きましょう」と、華緒里

「ああ」と、湊

「よろしく」と、唯翔

三人は横に並んで歩き出した。


*  *  *


廊下を歩いていると生徒たちが騒いでいるのが目についた。

祇園さんだ。相変わらず美しい 湊君よ‼ 

(そらそうだわな)

華緒里は清楚系美人で学級委員長。湊はワイルド系のイケメンで成績トップ(さっき女子が言ってた)目立つんだな。

「どうしたの?」

湊は笑いをこらえているようだった。

「湊!」

「悪ぃ悪ぃ・・・あーダメだ。フハハハハハ」

華緒里だけきょとんしている。湊と唯翔は笑いあった。

この二人といると楽しいな。仲間はいいな。やっぱり。

「ありがとう唯翔(鬼帝君)」

「! なん・・・」

唯翔が言い終わる前に湊が自分の口を指でトントンと、指した。

唯翔は手で口を確認するように触ったら、口角が上がっていた。

「輝かしい笑顔だったわよ。ね、風神君」

「文字通り顔に出ていたな。面白いくらい」

笑いながら言う湊は唯翔は怒ると思っていた ので、不思議に思い唯翔を見ると唯翔の顔はとても赤色に染まっていた。湊と華緒里は唯翔の印象が変わっていた。第一印象はクールで何事にも動じない、鉄仮面で無関心だと思っていたが意外と可愛いところが有って仲間思いな部分もあるということを知った。

「風神君、鬼帝君って可愛いところがあるのね」

「ああ。俺も昼休み知った。」

「これ言ったら鬼帝君怒りそうね」

「だな」

湊は華緒里にニッコリと笑って見せた。

おーい唯翔いつまで照れているんだ?と笑いながら湊は唯翔にかけ寄って行った。華緒里は二人を見つめていた。というよりかは奏を見つめているようだった。

「華緒里次いくぞ~」湊は唯翔に無理やり肩を組んで華緒里を呼んでいた。

「うん、今行く」華緒里は満面の笑みを浮かべて走って二人の元へ向かった。


* * *


学校案内が終わった。華緒里は最後に

「鬼帝君、明日特別授業があるから準備しといてね。詳しくは風神君に聞いてね。じゃあ また明日」

と、残して手を振りながら帰って行った。


* * *


次の日、唯翔は湊と一緒に登校していた。今日の授業は数学、英語、化学、現国だった。昼休みになり湊と華緒里と一緒に食堂へ向かうところで、東条に止められ服を渡され、午後の授業で着るように言われた。唯翔達は食堂で昼食を済ませ、一度華緒里と別れ、更衣室で着替えた後に華緒里と合流した。

「あら、案外似合ってる。」

「馬子にも衣装だな!ハハ」

「うるさい、黙れ」

「ハイハイ。場所は何処だっけ?」

「第一グランドだよ」

「そうか」

唯翔はただ二人について行くだけだった。

唯翔達は第一グランドに着いた。

 「二学期初めての特別授業。楽しみ!」

 「月曜日にもあると聞いていたけど」

 「あー。二学期初めの登校日が昨日だからな」

 「そうなのか」

唯翔が言い終わったと同時に先生が現れクラスの中の一人が号令をかけた。

 「今日は50メートルを測る」と、先生が授業内容を発表した。50メートルを測るといっても普通の50メートルではない。第一グランドは森。つまり、木と木を50メートル渡った時の速さを測るという内容だ。先生が並べと声をかけた。最初の人から13秒、10秒、12秒、9秒、・・・・。決して遅くないダイムだ。と先生は言っている。

「次!」

「はいっ」

次は湊だった。

 次は風神君よー!キャーカッコイイ

女子たちが騒ぎ始めた。

湊は元気な声で返事をし、先生の合図で走り出した。

 「7秒48」

 「さすがだな」

 「ありがとうございまーす」

 「さぁー、次!」

 「はいっ!」

綺麗な声で返事をしたのは華緒里だった。

 次は華緒里様だ!見なければ!今日もお美しい~

今度は男子たちが騒ぎ出した。

華緒里も、先生の合図でスタートした。

 「7秒57」

 さすがです!華緒里様!さすが。華緒里ちゃん!

 「次!」

 「唯翔。次お前だぞ、頑張って来い」

 「おう」 

 次、鬼帝か。最下位になるのがオチだな。ハハハハ

クラスメイト達は唯翔をなめていた。一方、湊と華緒里は連帯責任にならないことを心の中で祈っていた。

唯翔は先生の合図で走りだした。

     ピッ

ストップウォッチを止める音が聞こえた。

 「6秒89」

 うそ~。風神君が!

 風神を抜きやがった!

クラスメイト達がざわついていた。

 「やるな、唯翔」

 「お疲れ様」

 「おう」

突然クラスメイトの一人が

 おい!鬼帝!オマエフライングしただろ!もう一回やり直せ! と、言いだした。

湊と華緒里は言い返そうと前に出ようとしたが、唯翔が止めた。

 「・・・。先生よろしいですか?」

 「ああ。かまわん」

唯翔はもう一度スタートラインに立ち先生の合図で、走り出した。

「6秒54」

「げっ!速くなってやがる」

「これで満足か?」

唯翔はクラスメイトの男子に余裕の笑みを浮かべ身下すように言い放った。クラスメイトの男子は口を噤んでしまった。

 「終わったか?水、飲みに行こうぜ」

 「ああ。俺も行く」

唯翔は飲道水の所へ向かった。しかし、女子たちに囲まれてしまった。女子たちは 私のを 私のを と、押し付けてきた。唯翔は湊ならどうするのかと行動をうかがっていた。湊は女子たちに

 「ありがとう。気持ちだけで充分だ」と、流したのである。そして女子達は退散していった。

唯翔は驚きながらも俺には何も関係ないことだろ思っていた。油断大敵。女子達は唯翔の方にも駆け寄ってきた。女子達は50メートル走の一件でときめき、惚れたからである。そして押し付けコールが始まった。唯翔はそれらの行動にイラついていた。なので、唯翔は勢いに任せてしまった。

 「うるさい。モノを人に押し付けるな。鬱陶しい」


 「殺すぞ」


唯翔は冷ややかな声で静かに怒った。

 「わーカッコイイ」

と、湊がニヤけずらで茶化してきた。唯翔はその反応に対応するよりも女子達が何もしなくなったことに一安心していた。

 「湊はすげーな」

 「どうした急に」

 「いや、何となくな。はぁー」

湊は不思議に思ったが気に留めなかった。

一方、女子達はフリーズしていた。が、突然糸が切れたように崩れていった。

 やばい、ちょーカッコイイ

腰、抜けた

女子達は恐れたのではなく逆に好感度を上げてしまった。

唯翔と湊は次の授業のために第一グランドに戻って行った。

 並べ、時間だ!

先生が生徒たちを呼ぶ声がしたのでクラスの大半が集まっていた。が、

 「先生!自過君がいません」

 「知らん!」

 「探しに行こ。連帯責任だし。」

 「はぁー」

自過君とは自過じか 剰信じょうしん。さっき唯翔をもう一度走らせた人物だ。今探しにいったのはそのチームメイトである。

先生はそれらの行動は気にせず授業内容を説明し始めた。

 今から班ごとでフラッグ戦を行う!

フラッグ戦とは相手チームの陣地に設置したボタンを押すという内容だ。ぼたんを押すと開始と同じブザーが鳴る。それが終わりの合図である。相手チームのボタンを押しに行く攻撃力と自分のボタンを守る防御力のバランスをよく考えて作戦を練らなければならない。そのとき自動的に複数ある班には番号が振り分けられる。

試合の対戦相手はくじで決める。では、最初の試合、死神班と悪魔班1!

 えっ、マジで

悪魔班1のメンバーが最初に思ったことである。一方クラスメイト達は

 死神班と悪魔班の中でも1番強いところだ!これは見ものだ

 いやいやこれは死神班の圧勝でしょ

 いや、鬼帝が加わるんだぞ!チームのバランスが崩れるって!

クラスメイト達はどちらが勝つか予想していた。その結果勝つのは悪魔班と予想した。それは唯翔がメンバーに入ったばっかりでチームによる連携が難しいと見たからである。クラスメイト達は思った。勝つのが死神班にせよ悪魔班にせよこのゲームが見られるだけで幸せだと、この組み合わせに感謝しなければ。

ありがとー先生―

先生はそれに気づいたのか振り向きながら綺麗な歯を見せてぐっとサインを見せていた。その行動をしていた先生の心の中は へ?俺何かしたか? というように混乱していた。

それらの一連の流れを見ていた湊は一人でひっそりと声を抑えながら笑っていた。

 はあー腹いてー

 「風神君!聞いてる?作戦は風神君に任せるけどいいかな?」

 「おうよ」

死神班の作戦内容は湊を中心に決まった。悪魔班の方も決まったようなので各班、スタート位置に着いた。

 では、始める よーい

       ビー

先生がブザーを鳴らし、始まった。

クラスメイト達が各自で 見るぞー と、気合を入れた。その数秒後・・・

       ビー 

ボタンを押したときの音、終わりの音が鳴った。

 えっ!もう終わったの?結果はどうなった?

表を見ると

      53秒43      悪魔班1

表にはボタンを押した時間と押されたボタンの方のチームが表示される。つまり、死神班の勝利である。

 強すぎる。勝てる筈がなかったんだ。少しでも勝機を見た自分がバカバカしい

悪魔班1の全員が死神班の強さに圧倒されていた。

 鬼帝凄かったな

 ああ、というか悪魔班は既に実力で負けてたし、作戦でも負けてた。

 あの作戦考えたの風神だよな?

 だろうな。祇園さんのサポートは、風神より完璧だった

クラスメイトで唯一試合を見ていた二人組がいた。その二人は圧倒されて拍子抜けだった。一方唯翔達は、喜びにみちていた。

 「やったー二学期初めての授業で勝てたー」

 「早く試合したい」

 「唯翔が試合好きになっている」

 「風神君のおかげね」

「そうだな。性格に似合わず頭良かったんだな」

「唯翔一言余計だぞー。」

「話戻るけど、鬼帝君を中心にした作戦を考えるなんて誰も思いつかない。鬼帝君きたばかりだから。」

湊が考えた作戦とは舐められてるであろう唯翔をボタンを守ってる奴と合わせ、華緒里と湊が攻めてくる奴を足止めする。ボタンが守ってる奴が二人いるときは華緒里を行かせるというものだった。

「俺はそこに付け込んだよ。みんなが油断しているところにな。案の定油断していたしな。それ以前に唯翔があそこまでできるとは予想してなかった。」

 (俺はボタンを押せるまで2分はかかると思っていた。あいつは暗殺術なんか習ってないはずなのにあそこまでできたんだ?それに先生達のような動きだった。)湊は唯翔の行動に動揺していた為我を失っていた。

 「おい、湊!湊!」

唯翔が湊を呼ぶ声で目が覚めた。

 「なんだ?」

 「大丈夫か?」

 「心配してくれたのか~?」

湊はニヤッと笑って、からかう体制に入っていた。が、唯翔は

 「そうだ。心配してるんだ」

といった。湊は そうか、ありがとう と言って誰もいないところへこっそりと行った。

 「不意打ちかよ」

湊は赤面する顔を隠しながら小さい声で言った。

 集まれ!挨拶するぞ!

先生が授業を閉めようとしていたので、湊は走って唯翔達が集まっている所へ向かった。クラスメイトの一人が号令を掛けた。湊にはその号令が雑音でしか思えなかった。

 「帰ろうぜ。湊」

 「ああ」

湊はゆっくりと微笑み、幸せを噛みしめていた。


私は初めて書いた作品です。なので不十分な点などが多数あると思います。もの申したいことやアドバイスがあればぜひ、お教えください。どうぞこれからもよろしくおねがいします。

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