波乱の入学式
最近勉強によって投稿できませんでした。どうもすみません。
「ついにこの時が来た!」
俺とガブさんは一週間ひたすら勉強し中学までの学習内容と一般常識を覚えたのだ、多分。
いやー、スキルっていうのは素晴らしいね。
なぜって?仕方ないな説明してあげよう。
実のところ俺は勉強内容を覚えていない。しかし、ガブさんが覚えてくれるので教科書を見るだけで良いのだ。
それに「無限スタミナ」のスキルで睡眠が要らなかった。おかげで一週間という短時間で出来たのである。
そして明日は入学式!俺の高校デビューだ。
「渡辺さん、ありがとね。こことはお別れだけど絶対にまた訪れるから」
そう。俺はここの喫茶店を離れて渡辺さんが準備してくれたアパートに一人暮らしする事になったので。
「私も短い間楽しかったですよ。後、高校での荷物はアパートに置いてあります」
「ありがとう。じゃもう行くね」
そう言い俺は玄関に行く。
「旅河さん、最後に一つだけ。生きてまた会いましょう」
「当たり前だ」
俺は玄関のドアを開ける。
これから新たな生活のスタートだ。
俺は渡辺さんが書いてくれた地図通りに進み小さなアパートにたどり着いた。
「ここだよな?」
《マスター、ここです》
かなり歩いた気がする。
とりあえず俺は大家さんに挨拶し鍵をもらって自分の部屋に入った。
大家さんはランクより家賃を払ってくれる人を大切ににする考え方をしている方だ。
「おっ。いいじゃん」
部屋は1Kでトイレと風呂が分かれている。一人暮らしには最適のサイズだ。
その後、俺は荷物を整理して一息つく。
「あー、終わった」
疲れてはいないがやり遂げた感がある。
ふと、一枚の紙があった。読んでみると高校から入学式について書いてある。
「えっ、マジ!」
誰もいないのに一人で驚くのはこの手紙の内容にこう書いているからだ。
「Dランクの生徒は入学式の時間の一時間早く登校しなさい。来なかった者は退学させる」
なぜ、一時間も早く来ないといけないの?
ガブさん、どう言うことなんだ?
《これは入学式の準備をさせるためと考えられます》
そういうのは先生がするもんでしょ。
俺は学校に抗議してやろうかと思ったがそれはいけないとガブさんに怒られたので渡辺さんの作ったサンドウィッチを食べて寝た。
〜午前七時〜
「眠い」
俺は時計を見て焦った。入学式はまで後一時間十分。
このままでは完全に遅刻する。俺はさっさと服を着替えようとするが
「あれ?高校は制服だよな普通」
荷物の中に制服が無い。
《Dランクの生徒は制服はないと渡辺さんから聞いていますよ。そんなことより急いでください》
「はいはい」
てか今日の荷物要らないな。なので荷物が入っていないリュックを背負い戸締りをして全力疾走で学校へ向かう。
〜午前七時十分〜
ギリギリだったがなんとか間に合った。
「Dランクの教室はあちら」
と書いてある看板を見つけ『1-D』と書いてある教室に着いた。
「ここ部屋の生徒たちと友達なれるかな?」
第一歩として友達作りから始めようと考えているけど大丈夫か?
そんなことを考えながら教室のドアを開けて中に入る。
そこには二十席あり、そして十九人が教室にいた。
つまり、俺は最後の一人だった。
何人かと視線があったが気づいてないフリをして残り一つの席に座る。
そして先生が来るまでじっとしようとしたが
「ねぇ、君?」
といきなり声を掛けてきたので振り返ると
「実は、君以外のみんなは中学校一緒で軽い挨拶で終わってるんだけど君の事はみんな知らないので自己紹介してくれないか?」
へっ?俺以外のみんなは知り合いで、そして今から自己紹介だなんて急展開過ぎだぞ。
「おーい、転校生が自己紹介するって」
とクラスに一人はいるテンション高い男子が俺が自己紹介するとみんなに叫んだ。
まだするとは言ってないけどやらなければいけない雰囲気になってしまった。
仕方ないな。
俺は黒板の前に行くと視線はこっちを向く。だが一人だけはこちら向かない、てか寝てる。
よし!気を取り直して
「えー、名前は神河 凪です。よろしくお願いします」
と実にシンプルな自己紹介をしてしまい数秒の沈黙が続いた。
「あのー、好きなの食べ物はなんですか?」
来た、質問!まずは食べ物からか。
「そうですね。サンドウィッチかな」
と言うと渡辺さんが作ったサンドウィッチが脳裏に浮かんだ。
その後もいくつかの質問を答える。
けど、こういう時は男子からの質問なのに全て女子が質問してくる。
するとコソコソ話をしていた男子から質問が来た
「あのー、彼氏はいますか?」
その質問を聞いて何もかも分かった。
俺、間違われて女の子と思われているな。
すると、寝ていた子が起きてこっちをじっと見て来る。
そして
「あれ、あの時の兄さん?」
あの時?と思ったが顔を見て分かった。散歩中に助けた女の子である。
「恵衣、寝ぼけてる?助けてくれたお兄さんの話は皆知ってるけど。Dランクではないだろうしこんな姿なわけがないよ」
と女の子の友達がまさかという顔で聞いている。
しかし
「いいや、絶対あの時のお兄さんだよ」
と女の子はそう言い張る。
「恵衣、そんなこと言ったら転入生がかわいそうだよ。すみませんねうちの友達が」
どうしようかこの状態。
考えようとしたが面倒になったので正直に話すことにした。
「あの女の子の言う通りだよ。俺は見た目が女の子っぽいが男子だ」
そうきっぱりと言うと少しの沈黙があったのち
「えーーーーーー!」
と俺と助けた女の子以外の十八人が同時に叫んだ。
正直に話したのは正解だったみたい。
皆は少し驚いていたけどそのクラスのまとめ役の子が一旦落ち着くように言いなんとか落ち着いた。
ホッとして席に着くと先生が来た。
「今からそれぞれ各教室に行ってもらい机や椅子の点検をしてもらう」
と黒板に十組のペアつまり二人一組を書き出した。
「俺のペアは赤木さんって人だな」
すると誰かが肩を叩いて来た。
「よろしく、旅河君」
と笑顔で話しかけてきたのはこのクラスのまとめ役の子だ。
軽い挨拶をした後、俺らはすぐに指定された教室に向かい掃除をし始めた。
「旅河君、さっきの自己紹介緊張してたよね」
「してた」
「けど驚いたよ。僕も最初は女の子が来たと思ったら男だったとは」
「ええ、よく間違われますよ」
実際に初対面で男と分かったのは渡辺さんだけだ。
「それに神河さんが言ってたんだけど一人で三人相手に勝つなんてすごいよ」
「そうかな、相手は弱かったよ」
「いやいや、相手の強さじゃなくてランクだよ。相手は三人ともCランクだったらしいね」
「その時はランクなんか気にせず助けたいと思っただけだよ」
実際はランクの制度なんか知らなかったんだけどね。
「神河さんもおそわれたときは怖かっただろうね」
へー、あの女の子は神河って名前だったのか。たしか、友達から恵衣と呼ばれていたから本名は「神河 恵衣」か。
、、、ん?
「ねぇ赤木さん、神河さんにお兄さんさんはいたかな?」
「いたよ。たしか四年前かな交通事故でお兄さんが亡くなったらしい。それにお父さんとお母さんもその前に交通事故で亡くしてるから彼女は『呪いの子』と呼ばれてDランクに落ちたんだ」
ここで確信が出来た。
《マスター、あの少女が目的の人物です》
そうか。ラッキーと言うべきか?
話によると俺のせいで彼女がDランクになっているのか。
けど、一番の目的である人物に出会えたのだ。
「旅河君このくらいにして教室に戻ろう」
赤木さんはそう言いうので俺も教室に戻った。
「お疲れ様」
俺らが教室に戻ると他の皆がいたので俺らが最後だな。
「次は何するの?」
俺はまだ時間に余裕があるのを知り赤木さんに聞くと
「後はクレームの対処かな?」
クレーム?誰がしてくるんだと思ったが聞くのはやめといた。
その後はみんなで雑談や俺が神河さんを助けた話について盛り上がった、少し話の内容は変えて話したけど。
「そろそろかな?」
赤木さんはみんなに席につくように命令をした。
そろそろってクレームの事かな。
「おい、テメェら。謝罪しろ!」
それは俺が予想していた以上の奴がクレームをして来た。
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