二度目〜誕生〜
「これからの説明がありますので起きて下さい」
誰かに話しかけられているな。そう思い起きてみる。
「あれ、ここはどこだ?」
何にもなく照明がないのに明るい部屋にいた。
「ここは、何もない部屋〈無〉です」
と話しかけてくるものがいる。
「すいません。貴方は誰ですか」
俺は落ち着いてので話し相手を探してみるがどこを見てもいない。
「私はあなたの心に話しかけています。そして、これからの詳しい説明をする為のスキルです」
スキル?何だそれと思ったがゲームであるようなスキルであると信じて会話を続ける。
「まず、あなたの記憶について説明します。あなたが選んだ記憶と常識の記憶と死後の出来事だけを覚えている事になります」
「そうか、常識ってどのくらいだ?」
「それは小学生くらいですね」
マジか。中学と高校の勉強がチャラになるののか。また勉強しないといけないな。
「以上で説明は終わりです。これで私の仕事も終わりですね。最後なので何か質問したいことありますか?」
なんだか悲しそうに聞いてくる。ここは励ましてやろう。
「何が最後だよ。俺以外にもまだまだいろんな人に説明するだろ」
「いいえ、あなたで最後の仕事です。我々は期間ごとに交代することになってます。そして、仕事が終わった物は消滅するのです」
ポジティブに聞いてみたがネガチィブになって帰ってきた。
「でもさ、生き残る方法はあるのか?」
「、、、一つだけありますが」
「ならいいじゃん、その一つ教えてよ」
余り言いたくなさそうだったが消滅するよりマシなので聞いてみた。
「分かりました。我々スキルは元々自我がないので生物に取り付くことで存在を維持してました。しかし、私達は自我を持っているので生物に取り付かずに存在することが出来たのです」
なんか難しい事言っているが答えはわかった。
「じゃあさ、俺に取り付いたら」
「えっ、本当ですか?」
なぜか驚いているが俺に取り付いたら消滅しなくて良くなるってことじゃないか。
「理解していますか?私が取り付いたらあなたが死ぬまで取り付くんですよ」
だからか。一生取り付くから迷惑になると思っていたのかな。
「いいよ別に消滅してしまうよりマシだよ。それにこの出会いは運命かもしれないぜ」
俺は覚悟して半神半人になったんだ。だから、俺の目の前でスキルでも消滅して欲しくない。
「了解しました。今からスキル転移を始めます」
、、、。あれ何も起きない。どうしたんだ。
「マスター、成功しました」
えっ?あっという間で体にも異常がない。それにマスターなんて恥ずかしい。
「これからよろしくお願いします、マスター。もうすぐで地球に転送完了です」
と言われると凄い眠気に襲われて寝た。
「マスター、マスター、マスター!!」
うわっ、大きな声出すなよと思ったがそれは心の中に話しかけられていたのて耳は痛くなかった。
「ここが地球か」
死後の世界からの記憶ははっきりと覚えているが前世の記憶がない。
「ここは裏路地と言われている所です。とりあえず大きな道に出ましょう」
俺はスキルの言われるまま裏路地という所から出た。
目の前にはたくさんの人間。それに自分の十倍以上大きさがある建物がある。
《マスター、とりあえず歩いてみましょう》
頭が混乱するが今はスキルに任せて進む。
歩き始めて五分ぐらいだった時、誰から話しかけられた。
「やぁ、君は半神半人かい?」
ビクッ、、、え?バレた。
突然、若い大人の男性が聞いてきた。
「半神半人?そんなの聞いたことがないですよ。俺じゃなくて他の人に聞いたらどうですか?」
今ピンチだよな。ゼウスさんは嘘ついていたのか。
「あれ?別にあなたに聞いてた訳じゃないんですが」
あ、終わった。自分で墓穴を掘ってしまった。二度目の人生あっさり終了と思ったが
「ふふ、冗談ですよ。私もあなたと同じですよ。我は導きの神との半神半人である渡辺導と申します」
なんと!こいつは半神半人と言った。
しかし、こいつは俺を騙してるだけかもしれない。
「なに変なこと言ってるんですか。そんなこと言うなら何か証拠はないのか」
「そうですね。ではこれでいいですか」
と言いカバンにあるカッターで指を切った。すると怪我した指が直ぐに治っていく。
「私は指ならばすぐに再生するんですよ。これで信じて頂けましたか」
俺は目の前で凄いのを見てしまった気が確かに渡辺さんは半神半人である。ここは渡辺さんを信じてみよう。
俺は渡辺さんに付いて行くと裏路地にある部屋に案内された。
「ここは私の家です。お茶持ってきますので座っといて下さい」
俺は言葉のとおりに座布団に座り。周りを見ていると渡辺さんがお茶と書類を持ってきた。
「まず、名前を聞いていませんでしたよね。戸籍を作るので書いてください」
なんだ名前かと書き始めようとすると
「ただし、前世の名前は禁止ですよ。バレてしまう可能性があるので」
と言われ俺は書くの止めた。
(嘘だろ。名前を自分で決めるなんて今すぐとか絶対ムリ)
「いえ、別に明日でいいですよ」
あれそんな事言ってないのに。
「言い忘れておりました。私のスキル『透視』によりあなたの感情が読めるのです」
すげ〜、俺もこんなスキル欲しいな。
「今欲しいなと思ったでしょ。そんなことより、名前以外を決めましょう」
俺は他の欄を見る。
「性別は男にして、年齢かどのくらいにしよかな」
「男でよろしんですか。一度そこの鏡で見てみたらどうでしょうか」
そういえば、自分の姿を見ていなかった。どんな姿かワクワクして見てみると
!!!
鏡に居たのは銀髪で髪が肩まである凄い美人な人がいた。
「は?前世の姿とはちがーう!」
「あれ説明聞いていませんでしたか。半神半人になると姿と形はあなたと融合した神に似るんですよ」
おい、スキルさんよ。そんな説明してくれたか。
《マスターすみません。その時はこれが最後の仕事だと思っていたので、詳しい所で説明するのを忘れてました》
まぁそうだな、俺も質問しなかったしここは五分五分ってことにしよう。
そんなことより俺の性別だ。答えを見つける方法が俺の中では一つしかない。恐る恐る、股間を触ると
「ない!あれがない。渡辺さんどうしよう」
俺は渡辺さんにガキみたいな質問をすると
「あれ、おかしいですね。私の『透視』から男だと判断してるんですが」
「なら、普通あるだろ。これ見て男と判断できるか」
と服を脱ごうとしたとき
「そういうことでしたか」
おい、何渡辺さんさんだけ理解してんだよ。俺は渡辺さんに問いただしてみると
「半神半人は人間ではないと言われたでしょ。なので、あなたの場合性別は無いのでしょう」
俺は大きなため息をついた後
「分かったよ。性別は無しでいいんだな」
これから一生性別不明になるのね、俺。
「いいえ、戸籍を作るのでどちらか選んでください」
性別不明はいけないんだ。俺は渡辺さんが男と判断していたので男と書いた。
「後は年齢なんだけど15歳でいいかな」
「了解しました。では、高校一年の男でよろしいですね。いやー、羨ましいですよ。死ぬまでこの年齢ですから」
そうなんだ。死ぬまで15歳ね。
マジで!
「どういうことだよ、俺らは年を取らないのか」
「そうですよ。わたしを二十代のすがたで百年してますから」
あっさりと返事が来たな。百年って初期からいた事になるな。
「半神半人って凄いな。あらためて思ったわ」
「何言ってるですか。まだまだこれからですよ」
二人で笑いあった後、晩御飯を作ってくれると渡辺さんはキッチンに行ったので俺は散歩することにした。
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