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魔女の従者と永劫の契約と  作者: 華月瑞季
一章 金色の魔女と従者の契約と
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 『雪人形と雪の花』

10話「寝起きの少女と雪の物語」に登場した絵本です。

女の子と雪人形の物語。


 さむい さむい 冬の日に 女の子が 1人 外で あそんでいました。女の子の なまえは リリー。1人 さびしく 雪が つもった じめんを 見ていました。


 遠くの方では 楽しそうに あそぶ 何人もの 子どもたちが います。しかし、リリーは そのわに 入っていくことが できません。

 なぜなら、リリーは 人前に出ると きんちょうで しゃべることが できなくなるからです。今日も また、リリーは 1人で あそぶのでした。


 とある 雪の ふる日、リリーは ともだちが ほしくなり こうどうを おこすことにしました。しかし、リリーには みんなに 話しかける ゆうきが ありません。

 そこで、リリーは まえに おばあちゃんに 教えてもらった まほうを つかってみることにしたのです。


 おばあちゃんに 教えてもらった まほうは モノに いのちを ふきこむ まほうでした。おばあちゃんは 言っていました。


「マホウを つかえば モノに いのちを ふきこむことが できるわ。めばえた いのちは きっと あなたのことを たすけてくれるはずよ」


 リリーは おばあちゃんに おしえてもらった とおりに まほうを つかうことにしました。


 まずは、ゆきを つかって 人形を作ります。手で雪を かためると 雪の人形の かんせいです。

 次に、雪の人形に いのちを ふきこむ まほうを かけます。おばあちゃんに 教えてもらった ことばを となえるのです。


「セイレイヨ ワレノ マエニ ヨウセイノ スガタト ナリテ スガタヲ ミセヨ」


 リリーが まほうを となえると 雪の人形が 光はじめました。光がなくなると 今まで うごけなかった 雪の人形が うごきはじめます


「こんにちは ぼくは 雪の ようせい。きみの なまえは何て言うんだい」


 雪の人形の しつもんに リリーは 答えました。


「わたしの なまえは リリーって言うの。あなたの おなまえは?」


 こんどは 雪の人形が答えます。


「ぼくの なまえは まだないんだ。もしよければ、リリーが つけてくれないかな」


 リリーは 雪の人形の たのみに しんけんに 考えます。はじめての ともだちに つける なまえは とくべつな ものでした。


「あなたの なまえは ユーリ。ユーリにするわ」


 ユーリという なまえを もらった 雪の人形は そのばで おおよろこびをします。


「はじめての プレゼントを ありがとう」


 早くも 2人は うちとけました。ほかの 子どもたちと お話ができない リリーも ユーリの前では きんちょうすることもなく お話ができます。


 リリーと ユーリは それから毎日 いっしょに あそびました。雪山をソリで すべったり 雪のキャンバスで お絵かきをしたりして あそびます。

 リリーが ともだちと やってみたいことは すべて やりつくしました。ユーリとの日々は 毎日が 楽しくて 毎日が しあわせでした。


 でも、そんな楽しい 毎日は長く つづきません。冬がおわり 春がくると ユーリの体が とけてしまうからです。

 それを知ると リリーは なきました。はじめての ともだちとの わかれを かなしく思ったからです。

 それを見た ユーリは リリーの なみだを見て かなしい きもちになります。


「ねぇ、リリー。リリーが なくと ぼくも かなしくなるよ。」


「ユーリとの おわかれが かなしいの」


 なきやまない リリーに ユーリは おまじないを することにしました。


「リリー、おまじないをしよう。ぼくたちが ずっと ともだちで いられる おまじないを」


 ユーリの ことばに リリーは かおを上げます。


 ユーリは 木のえだで じめんに もようを 書きはじめます。もようを 書きおえると 2人は やくそくを するのです。


「ユーリと リリーは ともだち。冬がきたら ここで また会おう」


「リリーと ユーリは ともだち。冬がきたら ここに また会いにくるわ」


 リリーと ユーリは また会う やくそくをして おわかれをしました。


 リリーは ユーリに また会えるのを 楽しみに 毎日すごします。つぎの冬も そのつぎの冬も 雪がつもると 2人は やくそく通り いっしょに あそびました。

 雪をつかって 小さな おしろを 作ったり こおりの 上で スケートをして あそんだりしました。


 しかし、ある冬に リリーが 会いに こなくなります。

 ユーリと あそぶように なってから リリーは 明るくなりました。そんな リリーを見た 子どもたちが リリーを あそびに さそうように なったのです。

 新しい ともだちが たくさん できた リリーは その子たちと あそぶようになりました。2人だと できない あそびも みんなと いれば できるのです。


 つぎの冬も そのつぎの冬も リリーが 会いにくることは ありません。リリーは 大人に なるにつれ だんだん 外で あそばなくなりました。

 けしょうを おぼえて かわいい 女の子から きれいな 女の子へ せいちょうして いきました。


 ユーリは 風のうわさで リリーが けっこん したことを 知りました。リリーは もう会いにきて くれませんが ユーリは しあわせな きもちになります。

 ユーリは リリーの けっこんを いわいたくても いわって あげることが できません。


 ユーリは さいごに いちどだけ リリーに 会いたいと ねがうのです。

 リリーのつかった まほうの こうかが きえかかっていました。ユーリが おまじないで こうかを 長くしましたが それにも げんかいが きたのです。


 さいごの 冬にも リリーは 会いにきて くれませんでした。春が くると 雪は だんだん とけていきます。

 ユーリは リリーが 会いに きてくれることを しんじて 少しだけ 雪を ふらせるのです。


 きせつはずれの 雪に まちの 人たちは おどろきました。雪は つもるくらい ふることは ありません。

 それでも ユーリの ねがいには じゅうぶんでした。なぜなら きせつはずれの 雪を見た リリーが 会いに きてくれたからです。


「リリー、また会えて うれしいよ」


 ユーリは とけかかっては いましたが それでも リリーが 会いにきてくれた ことが 何よりも うれしく思えました。


「ユーリ、ユーリなの?」


 まほうの こうかが 切れていると 思っていた リリーは ユーリの すがたに おどろきを かくせません。


「けっこん おめでとう。」


 ユーリは ようやく リリーを おいわいすることが できました。


「ありがとう。わたしも ユーリに 会えて うれしいわ」


 リリーは とけかかった ユーリを やさしく だきしめました。


「いままで 会いにこなくて ごめんなさい」


 リリーは 子どもの ときみたいに なきました。でも、ユーリは リリーの なみだを のぞんでいません。


「なかないで リリー。ぼくは リリーと ともだちに なれて しあわせだったよ」


 ユーリは リリーを だきしめました。


「わたしも ユーリと ともだちに なれて しあわせだったわ」


 リリーと ユーリは お話をします。リリーは ユーリの おかげで ともだちが できたこと はじめて こいをして 人を すきになったことを。

 ユーリは リリーの お話を 楽しそうに ききました。いままで 会えなかった じかんを とりもどすように 2人は お話に むちゅうに なりました。


 それでも、おわかれは やってきます。雪がやむと ユーリは とけてしまうのです。


「リリー、さいごに ぼくから プレゼントが あるんだ」


 ユーリは さいごの 力を ふりしぼると まほうを つかいました。すると ユーリは すがたを けしたのです。


「ユーリ、ユーリ?」


 リリーが こえを かけても へんじが ありません。ユーリの いたばしょには いちりんの 花だけが のこされていました。

 リリーは こおりで できた 花を 手にとると その花に ユーリの おもかげを かんじました。

 ユーリからの プレゼントは リリーの けっこんを いわう こおりの 花でした。その花は とけることもなく えいえんに リリーの となりで さきつづけます。


「ねぇ、きいて ユーリ」


 リリーは きょうも こおりの 花に お話をします。まるで ユーリと あそんでいた ころのように うれしそうに 話しかけます。

 リリーの 話を 楽しそうにきく こおりの 花は 美しく いつまでも いつまでも さきつづけるのでした。



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